TidBITS#1077 日本語版

TidBITS Japanese hosoka @ ca2.so-net.ne.jp
2011年 5月 21日 (土) 01:10:23 UTC


TidBITS#1077/16-May-2011
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     英語版: <http://tidbits.com/issue/1077>
     日本語版: <http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1077.html>


   先週の大ニュースは Microsoft が 85 億ドルで Skype を買収したことだった。
   私たちの切なる願いは、その結果としてこのインターネット電話プログラムの
   Mac 版により良いインターフェイスがもたらされて欲しいということだけだ。
   その他のニュースとしては、オンラインのパスワードサービス LastPass がセ
   キュリティ保護違反となる可能性のある状況が起こっていたことを認め、数多
   くの小規模な iOS 開発者たちが Lodsys という会社から特許侵害を主張する
   警告状を受け取った。Adam が以上すべてを詳しく解説する。それから、新し
   い TidBITS スポンサーとして Dolly Drive 社を歓迎するとともに、最新刊の
   電子ブック "Take Control of Scrivener 2" の出版をお知らせする。これは
   受賞に輝いた Literature & Latte のライター向けツールの解説本だ。今週注
   目すべきソフトウェアリリースは、Sandvox 2.0、iPhoto 9.1.3、Corel Painter
   12、Mactracker 6.0.1、Snapz Pro X 2.3.0、Acorn 3.0.1 だ。

記事:
     Microsoft、Skype を $8.5 Billion で買収
     新刊 Take Control ブックが Scrivener 2 を解説
     Dolly Drive が TidBITS スポンサーに
     LastPass、セキュリティ保護違反の可能性を認める
     Mac 起動問題を RAM を装着しなおすことで解決する
     小規模 iOS 開発者がアプリ内購入で特許警告の標的に
     TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 5 月 16 日
     ExtraBITS、2011 年 5 月 16 日


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   Best of Show at Macworld 2011. <http://www.dollydrive.com/>

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Microsoft、Skype を $8.5 Billion で買収
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12165>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   Microsoft のデザイナーが CEO Steve Ballmer に対して Mac 上での Skype 5
   のための新しいインタ^フェースが素晴らしいと話をした後で固まった話の中
   で (冗談!)、 Microsoft はインターネット電話の会社 Skype を $8.5
   billion の現金で買収することで合意した。この買収は  Microsoft にとって
   も最大となるもので、これまで同社は 2007年に aQuantive に対して約 $6
   billion を支払ったことがあるが、おおよそ $50 billion と言われる SAP
   (2004年) と Yahoo (2008年) の話は両方とも失敗に終わっている。

<http://www.microsoft.com/Presspass/press/2011/may11/05-10CorpNewsPR.mspx>

   Skype はこれまでに結構波乱に富んだ過去を持っている。2003年に創業、2005
   年には eBay によって $2.6 billion で買収されたが、この時の思惑は eBay
   の買い手も売り手もオークションに関して Skype を使って話をしてくれるの
   ではなかろうかというものであった。これは狂気であった - そもそも eBay
   の意義は相手方と話をしないで済むというものである - そして eBay は株式
   の 70% を 2009年に投資家集団に売却した。Skype は 2010年には上場を考え
   ていたが、新しい CEO を雇った後この上場計画を棚上げにした。上場すれば
   約 $1 billion を調達出来ると期待されていたが、Facebook, Google, そして
   Cisco, 等々からの買収話が出てきたことから Skype の経営陣は代わりに買収
   に応じれば $5 から $6 billion を手にすることが出来ると考えるようになっ
   た。

   と言うことで Microsoft からの $8.5 billion というのは棚ぼたであり、
   Skype が純利益という観点から見るとこれまで殆ど稼いでこないで、昨年は
   $7 million の損失を計上したことを考えればとりわけそうだと言える。Skype
   の売上の殆どは電話番号への長距離通話のために料金を支払う人からのもので
   ある、何故ならば Skype から Skype への通話は無料だからである。それにも
   かかわらず、Skype は毎月 170 百万人のユーザーを誇り、そして Skype の
   ユーザーは 2010年には音声とビデオを合わせて 20 億分(ふん)の通話を
   行った。

   Microsoft は Skype を、Xbox や Kinect の様な機器に、広範囲の機器上で走
   る Windows Phone に、そして色々なその他の Microsoft 製品や構想に統合す
   る計画である。Mac や iOS の (多くのその他も含めて) Skype クライアント
   の将来を心配するのは理解できるが、Microsoft は、非 Microsoft プラット
   フォームに対する Skype クライアントにも引き続き投入を続けるしサポート
   も行うと言っている。もし Microsoft が本当に我々を愛してくれているな
   ら、友好の印として最初に Skype 5 インターフェースを捨ててくれるであろ
   う。

   この買収は多くの視点から見ても意味を成す、何故ならば Skype はこれまで
   持続できるビジネスモデルを考え出せていないし、そして Skype の主要資産
   - その音声とビデオ通話のための業界一の技術 - はそれを数多くの製品や
   サービスに生かすことのできる大企業の技術ポートフォリオに良く適合する。
   ただこの合意は Microsoft が携帯キャリアとの交渉事に問題を引き起こす可
   能性も持っている、何故ならば voice-over-IP は彼らのコアビジネスに対す
   る脅威と捉えているからである。

   この傾向は結構長い間続いてきているが、この買収劇は大企業がいかに実時間
   の音声とビデオの通信を総合的な技術プラットフォームの重要要素として見て
   いるかを示すものでもある。Apple は iChat (いずれ消えてゆく運命にあると
   思われる、何故ならば AIM に依存しているからである) を持っており今は
   FaceTime があり、Google は Google Talk を持ち、そして今や Microsoft は
   Skype を手にした。

<http://www.apple.com/macosx/what-is-macosx/ichat.html>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/macosx/what-is-macosx/ichat.html>
   "アップル - Mac OS X - Mac OS Xとは? - iChat"
<http://www.apple.com/mac/facetime/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/mac/facetime/>
   "アップル - FaceTime - MacからiPhone 4とビデオ通話を。"
<http://www.google.com/talk/>
   (日本語)<http://www.google.com/talk/intl/ja/>
   "Google チャット - 家族や友だちとチャット"

   Skype の歴史とこの買収の影響についての良くできた図解のまとめが
   Muhammad Saleem の解説画像にある、ご覧になることをお勧めする:
   "Skype: From Conception to Acquisition."

<http://www.focus.com/images/view/58070/>


     ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12165#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12165>


新刊 Take Control ブックが Scrivener 2 を解説
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     文: Michael E. Cohen <lymond @ mac.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12168>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   長年、さまざまのワードプロセッサが存在してきた。(何たること、私は無為
   に過ごした青春時代、ワードプロセッサのデザインを手伝ったことさえある。)
   それらの大多数は、あの影のような正体のはっきりしない人物「一般ユーザー」
   (どうやらその種のユーザーはパーティーの招待状を作ったり迷子になったペッ
   トを探す貼り紙を作ったりするのが大好きらしい) か、あるいは同じくらい正
   体の知れないその従兄弟「ビジネスユーザー」(どうやらその種のユーザーは
   歴史的に社内連絡票を司る女神を心の支えとしているらしい) を対象としてい
   る。けれども Literature & Latte の製品、受賞に輝く Scrivener は、決し
   てそんな類いのワードプロセッサではない。「コンテンツ生成ツール」や「ラ
   イターのスタジオ」などとさまざまに形容される Scrivener は、ライターが
   デザインした、ライターのためのツールだ。

<http://literatureandlatte.com/scrivener.php>

   さて、私たちのように毎日ピクセルまみれになって言葉を書き綴ることに苦闘
   している人たちのためのパワフルなツールであるこのソフトウェアに、今回と
   てもフレンドリーで役に立つガイドブックが出来た。Kirk McElhearn による
   $10 の "Take Control of Scrivener 2" だ。105 ページから成るこの電子ブッ
   クで Kirk が扱うのは小説、論文、脚本、ノンフィクションなど、長文の著作
   プロジェクトに取り組むライターがその構想を練り構成を進める作業であって、
   その作業を支え手助けするために Scrivener が提供する、さまざまのことが
   語られる。

<http://www.takecontrolbooks.com/scrivener-2?pt=TB1077>

   この "Take Control of Scrivener 2" の中で、Kirk は Scrivener のプロジェ
   クト・テンプレートの一つを取り上げて、それを用いて著作プロジェクトをど
   のようにセットアップするかを具体的に解説する。このプログラムの Research
   フォルダの中に、ほとんどあらゆる本を書く際に助けとなるさまざまのメモ、
   テキストクリッピング、写真、ウェブページ、PDF その他の題材を集める方法
   の説明がある。ライターが作業を進めるにつれて、それらの題材を検索し、フィ
   ルタ分けし、読み、利用する方法が語られる。Scrivener に内蔵されたプラン
   ニングツール、例えば柔軟性に富んだ Corkboard や Outliner などについて
   探究したり、ライターが自分で作成して整理し、作業しながら参照できる文字
   あるいは設定のフォルダやファイルについて調べたりする。そうした、ライター
   が集めたり作ったりしたさまざまの題材を、あちこち移動させたり見直したり
   あるいは修正したりもできる Scrivener の Binder についても説明する。こ
   こに、その著作プロジェクトの全体が一つにまとめられる仕組みなのだ。

   それからもちろん、Kirk は Scrivener が著述作業をより効率的かつ効果的に
   できるように助けるさまざまの機能についても実地に説明する。フルスクリー
   ン表示、タイプライターモード、分割エディタ表示、それから長くて複雑な作
   品の中の離れた部分同士を一続きのテキストとして表示し編集もできる非常に
   便利な Scrivenings 表示について解説がある。毎日の作業目標を文字数、単
   語数、あるいはページ数でライター自身が設定する方法の説明もあるし、大胆
   な書き換えを試してからその後であらかじめ保存しておいたスナップショット
   に戻るやり方も示される。二つあるいはそれ以上の原稿のバージョン同士の間
   で比較することもできる。著述のたくさんのピースを全部一つに寄せ集めて最
   終的な書類を作成し、それを数々の一般的なフォーマット、例えば Word 書類
   や、PDF、HTML、さらには EPUB や Mobipocket の電子ブックフォーマットの
   形でさえも保存できることが語られる。

   この本のあちこちに、自分の作品のために実際に Scrivener を採用した著者
   たちによる証言がちりばめられている。David Hewson、James Fallows、Jason
   Snell、Jeff Abbott、Michael Marshall Smith といった面々だ。

<http://www.davidhewson.com/>
<http://www.theatlantic.com/james-fallows/>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Jason_Snell>
<http://jeffabbott.com/>
<http://www.michaelmarshallsmith.com/>

   小説を書くことを志したり、あるいはその他の書籍レベルの長さの作品を書く
   プロジェクトを実行した経験のある人なら、実際に作品を一つにまとめ上げる
   ことの難しさを誰もが身に染みて感じているだろう。ことに、回顧録 (memoir)
   でなく覚え書 (memo) を書くためだけにデザインされたソフトウェアと格闘し
   た人には苦い思い出があるに違いない。けれども Scrivener は、ライターの
   旅路の邪魔をするためでなく援助するためにデザインされている。Scrivener
   があって、その横に "Take Control of Scrivener 2" があれば、どんな著者
   も、野心的な若い人も既に定評ある作家も、誰でも準備万端で次の創造的旅路
   へと船出ができるだろう。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12168#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12168>


Dolly Drive が TidBITS スポンサーに
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12181>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   私たちの最新の TidBITS スポンサーとなった Cirrus Thinking を心から歓迎
   したい。同社は、Apple の Time Machine にオンラインバックアップを組み合
   わせる Dolly Drive ソフトウェアおよびサービスのメーカーだ。初めて登場
   したのは Macworld 2011 においてであったが、その会場で Dolly Drive は
   Best Software 賞と Best of Show 賞を MacLife からダブル受賞した。Dolly
   Drive の目的は、Time Machine の働きを拡張して、Time Machine の持ついく
   つかの限界を解消したいということだ。(そう、お察しの通り、Dolly Drive
   という名前は哺乳動物としては世界初のクローンとなった羊の Dolly に由来
   している。)

<http://www.dollydrive.com/>

   最も注目すべきこととして、Time Machine はデフォルトではローカルなバッ
   クアップしか提供しない。けれども、最近起こった地震と津波で日本の東部が
   大きな打撃を受けたことを考えればまざまざと明らかなことだが、どのような
   バックアップ戦術においてもオフサイトのバックアップというものが根本的に
   重要な部分となる。そこで、Dolly Drive があれば、あなたの Time Machine
   バックアップが、Dolly Drive が米国とヨーロッパに設置した複数のデータセ
   ンターに送られるようになる。その上、Dolly Drive の Inclusions Assistant
   を使えばあなたがバックアップしたいものだけを選択することもできる。これ
   は、Time Machine が単にフォルダやディスクを対象から除外する指定ができ
   るのみであるのに比べて、より的確な設定機能だ。また、Time Machine では
   ブート可能なクローンを作成する方法はないが、Dolly Drive ではローカルな
   ハードディスクにブート可能なクローンを作成することができるので、たとえ
   あなたの Mac のハードドライブが故障したとしても直ちに仕事が再開できる。

<http://tidbits.com/resources/2011-05/Dolly-Drive.png>

   Dolly Drive のバックアッププランは 50 GB のストレージで月額 $5 から、
   2 TB のストレージで月額 $55 まである。いずれのプランでも、購読者に対し
   て毎月 5 GB ずつの追加ストレージ容量が Dolly Drive から贈られるので、
   あなたのハードディスクの内容が増えるにつれてバックアップのストレージ容
   量も自動的に増える。最大の 2 TB プランは始まったばかりだ。そんな大量の
   データをアップロードするなど想像もできないという人たちのために、Dolly
   Drive では Dolly Seed プログラムもスタートさせようとしている。これは、
   最初にハードディスクがあなたのところに送られてきてあなたがそれを使って
   初めの Time Machine バックアップを作成し、そのハードディスクを送り返せ
   ばその後はインターネット接続経由でバックアップが継続できるというものだ。

<https://get.dollydrive.com/purchase>

   どのようなクラウドベースのサービスでも同じだが、セキュリティは重要な点
   だ。そのために、Dolly Drive はすべてのローカルセッションで認証を用い、
   すべてのデータを暗号化し、暗号化されたデータすべてをセキュアなトンネル
   を通して転送し、あなたの直接認証がアクセスに必須となる仮想ストレージテ
   クノロジーの内部にデータをカプセル化している。

<http://www.dollydrive.com/secure/>

   私はここしばらくの間 Dolly Drive を使ってみているが、大体においてこれ
   は Time Machine と同様の感じで働く。ただし、データの送受信がローカルな
   ハードディスクでなく私のインターネット接続を通してなされるので動作速度
   は遅くなる。動作のしかたについてのステップ・バイ・ステップのツアーが
   Dolly Drive の Getting Started ページにある。

<http://www.dollydrive.com/learn_more/getting-started/>

   Dolly Drive が Time Machine を拡張しているのは素敵なことだ。さらに、
   Dolly Drive のプログラマーたちは他にもいろいろな拡張のアイデアをたくさ
   ん持っている。例えばローカルの保存先とオンラインの保存先を両方同時にサ
   ポートするとか、あるいはクローンのアップデート作業をスケジュール化する
   といったアイデアだ。

   TidBITS へのサポートと、Mac コミュニティーへの貢献に対して、感謝の気持
   ちを Dolly Drive に捧げたい!


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12181#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12181>


LastPass、セキュリティ保護違反の可能性を認める
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12177>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   ウェブベースのパスワード保存サービス LastPass について、去年私は記事を
   書いた。(2010 年 12 月 13 日の記事“LastPass が Xmarks を買収”参照。)
   その LastPass が、最近同社の内部ネットワーク上で疑わしいネットワーク活
   動が発見され、調査の結果、一定限度の量のデータが外部からアクセスされた
   可能性のあることが判明した、と発表した。同社は未知の場所からのアクセス
   を防止するためすべてのアカウントをロックダウンするとともに、発見された
   事実を同社のブログで発表し、メディアとの会見をおこなった。

<https://lastpass.com/>
<http://tidbits.com/article/11827>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1057.html#lnk3>
   "LastPass が Xmarks を買収"
<http://blog.lastpass.com/>

   さらなる解析の結果、顧客のデータがアクセスを受けたという直接の証拠は見
   つからなかったが、最悪のシナリオの下においても、LastPass の発表によれ
   ば流出した可能性があるのは LastPass ログインアカウント認証情報、つまり
   電子メールアドレスと、マスターパスワード、それにマスターパスワード用の
   ヒントのみであり、またたとえ流出していたとしても、それは暗号化された形
   のもののみに限られるという。ユーザーアカウントに付随した他のデータ、例
   えばサイトのユーザ名やパスワード、フォーム入力データ、請求書情報、その
   他は流出していない。今回の事件に関する詳しい Q&A が、LastPass Status
   ページにある。

<https://lastpass.com/status.php>

   LastPass ユーザーにとって実質的な要点となるのは、もしもあなたのマスター
   パスワードが強力なものなら、つまり辞書に載っているような単語は避け、数
   字や句読点を含ませ、しらみつぶし攻撃に耐えられるだけの長さを持ったもの
   なら、あなたは何も心配する必要がないということだ。けれども、とにかくこ
   れを機にパスワードを変更しておくのも悪くない。また、他のサイトで同じパ
   スワードを使っていないことも確認しておこう。いずれにしても、あなたがど
   こか別の場所から(あるいは誰かがあなたのふりをして)ログインしようとす
   ると、あなたがマスターパスワードを変更するかまたはあなたが現行のマスター
   パスワードでよいと確認するかするまでの間、LastPass はあなたの電子メー
   ルアドレスを認証するよう要求してくる。この予防措置により、たとえあなた
   のパスワードが漏洩していたとしても、あなたのアカウントが不正アクセスを
   受ける事態は防げるだろう。

   このような問題が起こったという事実自体、パスワードやその他の機密情報を
   オンラインに保存することに対する懸念の根拠となる。ただ、LastPass のセ
   キュリティはおそらく大半の会社や個人に比べてはるかにより良いものであろ
   うが。なぜなら、明らかに LastPass のようなところは直接攻撃のターゲット
   となりやすいからだ。犯罪者たちが特定の個人をターゲットにして攻撃をする
   ことは考えにくい。それよりも、マルウェアやソーシャルエンジニアリングに
   よる攻撃の方が一般的だ。(2011 年 5 月 2 日の記事“偽の MACDefender ア
   ンチウイルスソフトウェアに注意”参照。)だから、あなたの Mac 上でパス
   ワードを 1Password の中に保存しておく方がより安全だと思われる。また、
   それを Dropbox 経由で複数の機器の間で共有してもそれほど悪くはない。な
   ぜなら、たとえ Dropbox のセキュリティが破られたとしても、1Password の
   パスワードファイルは依然として暗号化されているからだ。

<http://tidbits.com/article/12149>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1075.html#lnk1>
   "偽の MACDefender アンチウイルスソフトウェアに注意"
<http://agilebits.com/onepassword>
<http://www.dropbox.com/>

   それでもなお、LastPass は今回の事態を可能な限りうまく処理できたように
   見える。最近起こったいくつかのセキュリティ保護違反事件、ことに Sony
   PlayStation Network に打撃を与えた事件に比べれば雲泥の差だ。そのこと自
   体は良い兆候であり、LastPass がセキュリティを真剣にとらえていることの
   表われと言える。

<http://en.wikipedia.org/wiki/PlayStation_Network_outage>
   (日本語 
)<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%80%8B%E4%BA%BA%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%B5%81%E5%87%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6>
   "プレイステーションネットワーク個人情報流出事件 - Wikipedia"

   結びに、LastPass の自動ログイン機能とマシンによらず使えることの便利さ
   とが、あなたのパスワードをオンラインで第三者に任せて保存しておくことの
   リスクを考えても使う価値があるかどうかを判断できるのは、あなた自身以外
   にいない。例えば、LastPass は価値あるものだけれど、それを使うのは純粋
   にあなたが自身の身元を特定する手段としてログインの際に必要とするような
   サイトのみに限ることにして、機密の情報が保存されているようなサイトでは
   使わない、というのも一つの判断だろう。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12177#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12177>


Mac 起動問題を RAM を装着しなおすことで解決する
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12169>
     訳: 柳下 知昭 <tyagishi @ gmail.com>

   普段のやり方だと私の Mac Pro は、夜には自動的にスリープし、朝、仕事を
   する際にスリープを解除する。スリープ、スリープ解除、スリープ、スリープ
   解除 - この繰り返し。だから、先日、私がスリープ解除しようとしてキー
   ボードに触れても、ただ無視されたときの驚きを想像できるでしょう。だっ
   て、私が Tristan を起こしにいったとき、彼はぐっすり寝ているふりをする
   か単に意識がもうろうとしているプレティーンだけれども、いつも最終的に
   は、ベッドから出てくるのである。

   この時、Mac Pro は、ファンが回っている音は聞こえたが、スリープから復帰
   しなかった。私は、何かがクラッシュしたと考えたので、電源ボタンを数秒間
   押し、電源を落した。電源ボタンを再度押したところ、ファンが回転しはじめ
   たが、それ以上何も起らなかった。起動音もなく、モニタも映らなかった。実
   際にはそれだけではなかった。安定した点灯の代りに、電源 LED が過去に見
   たことも無いような点滅をしていた。

   私の MacBook で "Mac Pro power LED flashing" で検索したところ、様々な
   討議用フォーラムでのたくさんのスレッドを見つけ、そのどれもが、RAM を再
   装着することを提案していた。議論のひとつでは、アップルのサポート文章が
   起動時のセルフテスト (POST) での音と点滅での通知方法についてもう少し詳
   細に説明していることを説明していた。どちらも、まずは RAM を装着しなお
   すことを試みるべきで、もしうまくいかなかった場合には、RAM を交換すべき
   ということで一致していた。

<http://www.google.com/search?q=Mac+Pro+power+LED+flashing>
<http://support.apple.com/kb/HT2341>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/HT2341?viewlocale=ja_JP>
   "Intel ベースの Mac において起動時のセルフテストで表示される RAM エ 
ラーコード"

   私の Mac Pro (Early 2008) では、RAM は少し複雑なパターンで 2 枚のメモ
   リーカード上にDIMM が組合わされて装着されている。10 GB の RAM を装着し
   ているので、2 枚の 1 GB DIMM と 4 枚の 2 GB DIMM という6 枚の DIMM が
   装着され動作している。最初、単純にメモリーカードを抜き出して、差し戻す
   ことをしてみた。良くならなかった。次に、両方のメモリーカードを取り出
   し、それぞれの DIMM  を外して、よく見てみた、その後、元に戻した。再
   度、Mac に組付けてみたが、起動しなかった。(Mac Pro の電源コードを 15
   秒以上抜くことで、SMC (システム管理コントローラ) をリセットもしてみ
   た、それもしたほうが良いことであった。しかし、なにも変らなかったし、
   Mac がまったくブートしなくなったので、PRAM を変更することはできなかっ
   た。)

<http://support.apple.com/kb/HT4433>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/HT4433?viewlocale=ja_JP>
   "Mac Pro:メモリの取り外し方法と取り付け方法"
<http://support.apple.com/kb/ht3964>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/HT3964?viewlocale=ja_JP>
   "Intel-based Macs:SMC (システム管理コントローラ) のリセット"

   私は、心配になってきたが、約束があったので、出掛けなければならなかっ
   た、そこで、熱をさますように Mac の電源をオフにして出掛けた。戻ったと
   き、Mac は、いまだブートできなかったので、簡単なテストで、熱は関係ない
   ことがわかった。私は、DIMM が故障していることを、心配しはじめた。いざ
   となれば OWC が新品との交換に応じてくれるだろうし、その点 OWC は信頼で
   きるけれど、それでも面倒に思えた。メモリーは、2 年以上もこの Mac Pro
   にとくに触りもせずに装着していた(悪いメモリは、通常すぐにわかる)ので、
   全体の状況は奇妙に思えた。Mac Pro 自体は振動にさらされず、2010 年の終
   りに SSD を装着して以来、何カ月も開けさえしていなかったので、装着しな
   おしは、あまり関係がなさそうだった。

   次に、どの DIMM が悪いのかを見付けようとして、Mac がブートできるように
   なるまでDIMM のペアを外してみた - 聞き慣れたトーンを聞いたときに、ほっ
   としてため息がでた! -そして、問題のある DIMM を区別するために、個々の
   DIMM を交換しはじめた。けれどもその後、私はトラブルシューティングで常
   にすべきことをした。つまり、異なる設定 (今回の場合は、異なるメモリー
   ボードへのセット) でインストールし直すことで、実際にどの DIMM に問題が
   あるのかを切り分けようとした。そこでどうなったと思います? 動いたんで
   す!もう十分な時間をかけたので、私は、Mac Pro の問題を終らせ、仕事に
   戻った。

   とはいえ、エラーが一時的に止っただけではないかと心配だったので、次の週
   末に可能な限り動作するものを減らした状態でリブートし、フリーの Rember
   ユーティリティ (これは、Memtest という OSX のコマンドラインユーティリ
   ティのフロントエンドである) を使用して、48 時間かけてフリーなメモリー
   のすべてについてメモリーテストを実行した。メモリーテストは、大成功で、
   まったく心配ないということだった。Mac Pro のメモリーカードのうちの特定
   のスロットが故障していることも考えられ、Twitter 上で何人かの人が、POST
   が再度失敗するようならば、DIMM に接点クリーナを使うことを勧めてくれ
   た。しかし、1 週間以上問題がなかったので、装着しなおしたことで問題は解
   決したと考えた。

<http://kelleycomputing.net/rember/>
<http://www.memtestosx.org/>

   お祝いするには、すこし早いことがわかった、この記事を最初に書いたときか
   ら数日がたった時、私の Mac Pro の電源 LED は、起動時に再び点滅したの
   だ。このときは、すぐに問題の DIMM を分離することができたが、動作するよ
   うにするためには、DeoxIT D100P pen で接点をきれいにして、Mac Pro のメ
   モリーカード上に再度装着する必要があった。私は、同じ事を他の DIMM でも
   行なったが、それ以来数日間、この Mac は問題なく動いている。

<http://store.caig.com/s.nl/it.A/id.1607/.f?sc=2>

   このお話しからの教訓は、2 つある。1 つ目は、もしあなたの Mac の電源
   LED が点滅した時には、たぶん RAM を装着しなおせば直るだろうというこ
   と。2 つ目は、メモリーを正しく装着しなおす際には、単に外して再装着する
   よりも少し手間を掛けることが必要かもしれないということ。


    ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12169#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12169>


小規模 iOS 開発者がアプリ内購入で特許警告の標的に
-------------------------------------------------
     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12174>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   [最新情報: 2011 年 5 月 15 日に、Lodsys は同社のブログにかなりの量の情
   報を公表し、今回の状況でこれまで明らかになっていなかった数多くの事柄に
   対処した。その内容をこの記事の中に織り込むことは止めて、最後のところに
   私の考えをもう少し書き加えておいた。-Adam]

   TLA Systems の James Thomson は、ちょうど PCalc 2.4 が App Store に承
   認されるのを今か今かと待っているところだった。彼の許に FedEx で配達さ
   れた箱を開けてみると、そこに入っていたのは 100 ページにもわたる特許侵
   害警告状で、彼の無料の PCalc Lite がアプリ内購入を使っていることが特許
   の侵害にあたると主張するものだった。荷物が一つ届いただけで一日が台無し
   になるとは、まさにこのことだ! ひどい目に遭ったのは Thomson だけではな
   かった。他の iOS 開発者たち、例えば mobileAge の Patrick McCarron や、
   他のもう少し大手の会社でも、同じような特許侵害警告状を受け取っていた。

<http://www.tla-systems.co.uk/>
<http://itunes.apple.com/us/app/pcalc-rpn-calculator/id284666222?mt=8>
<http://itunes.apple.com/us/app/pcalc-lite-calculator/id300311831?mt=8>
<http://mobileage.com/products/>

   Thomson も McCarron も、特許侵害訴訟をするぞと書面で脅してきたこの会社
   の名前に当初全く心当たりがなく、二人とも受け取った法的文書を Apple に
   転送した。けれども、これは Macworld が確認したことだが、問題の会社は
   Lodsys という名前であって「製品ないしサービスの提供者のために、それら
   の製品ないしサービスのユーザーと相互作用してそれらのユーザーから情報を
   集め、その情報を提供者に送信するためのシステムおよび方法に関する」4件
   の特許を所有している。いかにも特許専門の弁護士が好きそうな文章だ。

<http://www.macworld.com/article/159868/2011/05/ios_developers_threats_legal_action_in_app_purchasing.html>
<http://www.lodsys.com/>
<http://www.lodsys.com/our-patents.html>

   詳細な情報はまだ判明していないが、以下に述べる理由により、この問題はす
   べて Apple の問題であるべきだと思われる。

   アプリ内購入の利用は、iOS Developer Program License Agreement に従って
   行なわれる。そこには In App Purchase API が Apple の知的財産であって、
   それが iOS 開発者にライセンスされたものであることが、はっきりと明記さ
   れている。

   法的な関連を辿るとなかなか興味深い。まず第一に、Apple は iOS Developer
   Program License Agreement の目的を述べており、そこには Apple が Apple
   Software の所有権を有することが宣言されている。

       あなたは(以下に定義された意味の)Apple Software を使い、iOS の走
       る Apple ブランド製品用に一つまたはそれ以上の(以下に定義された意
       味の)Applications を開発する。Apple はあなたに対し Apple Software
       を使ってあなたの Applications を開発しテストするための限定付きライ
       センスをこの Agreement に明記された諸条件の下で許諾する用意がある。

   次に、Apple は Apple Software が何を意味するかを定義するが、そこには開
   発者たちが iOS アプリを書くために使う Software Development Kit も含ま
   れている。

       "Apple Software" は以下のものを総称する: (a) SDK、(b) iOS、および
       (c) Provisioning Profiles。また、前述のものに対する Updates であっ
       てあなたに Apple が提供したものも含む。

   では、その SDK には何が含まれているのか? それもまた定義されている。こ
   こで鍵となる言葉は API、つまり application programming interfaces であっ
   て、開発者たちはこれに依存することにより自分のアプリで特定の事柄が起こ
   るようにできる。

       "SDK" (Software Development Kit) とは、Documentation、ソフトウェア
       (ソースコードおよびオブジェクトコード)、アプリケーション、サンプル
       コード、シミュレータ、ツール、ライブラリ、API、データ、ファイル、
       およびあなたが Application を開発することに関連してあなたが使うた
       めに Apple により提供された題材である。また、この Agreement に準拠
       して Apple によりあなたに提供されるかもしれぬ Updates も含まれる。

   ここで Apple はさらに具体的な点に踏み込み、Documented API と、その他の
   API で Apple が文書化していない(従って開発者が使うべきでない)ものと
   を区別している。

       "Documented API(s)" とは Apple により文書化され Apple Documentation
       に出版された Application Programming Interface(s) を意味し、これは
       Apple Software に含まれる。

   その次こそが問題の核心、つまり In App Purchase API の定義だ。

       "In App Purchase API" とは、追加のコンテンツ、機能性あるいはサービ
       スを購入し供給されあるいは Application 内部で使用するために利用で
       きるようにすることを可能にする Documented API である。

   最後に、Apple は Apple Software(そこには In App Purchase API も含まれ
   る)の所有権を主張するとともに、Apple の知的財産に対するいかなる請求に
   ついても開発者たちが Apple に通知するよう要求している。

       Apple は、Apple Software、およびこの Agreement に従ってあなたに提
       供されたかもしれぬすべての Updates に関するあらゆる権利、権原、な
       らびに利益を留保する。あなたは、Apple による Apple Software の所有
       権を擁護するため Apple と協力することに同意し、Apple Software に関
       係したいかなる請求についてもあなたがそれを知った場合には相応の努力
       をして迅速にその請求について Apple に通知することにも同意する。

   Thomson と McCarron がしたのはまさにその行為であった。そして実際、彼ら
   が実行を許されていた行為はそこまでですべてであった。Apple は次のことに
   関しては開発者たちに責任があると定めている:

       (iii) Licensed Applications、ないしエンドユーザーがそれらの Licensed
       Applications を所持し使用することが、第三者の持つ著作権あるいはそ
       の他の権利を侵害するという請求

   また、補償条項もあって開発者たちがさまざまの理由で契約に違反した場合に
   Apple を保護するようになっていた:

       (ii) あなたの Application ないしその配布、販売、販売のための申し出、
       あなたの Application の使用または輸入 (単独にも、あるいはある組み
       合わせの中の基幹的部分としても)、Licensed Application Information、
       またはメタデータが、第三者の知的財産あるいは所有権に対し侵害あるい
       は違反しているという請求

   けれどもそれらの要件は次の陳述によって直ちに限定付けられる:

       あなたは、いかなる場合においても、Apple によりあらかじめ書面による
       同意を得ない限り、Apple の権利に影響を及ぼしたりまたは Apple に何
       らかの方法で義務を負わせたりするような合意あるいはその他の契約を第
       三者と交わしてはならない。

   だから、結局帰着する結論は何かと言えば、Thomson も、McCarron も、ある
   いは他の iOS 開発者たちも、Apple の知的財産を Apple によるライセンスの
   下で使用していることについて Lodsys により警告を受けているのであるけれ
   ども、彼らにとって iOS Developer Program License Agreement に違反する
   ことなしにはどんな種類の和解をすることさえも不可能なのだ。Apple の In
   App Purchase API が Lodsys の特許を侵害していると彼らが合法的に合意を
   することも不可能であるし、たとえ何が起ころうとも Apple がそのようなこ
   とに許可を与えることはあり得ない。そんなことをすれば iOS 開発そのもの
   に萎縮効果を及ぼすだろうからだ。

   Lodsys がなぜこのようなやり方を選んだのかははっきりしない。彼らの弁護
   士たちが iOS Developer Program License Agreement を読んでいて、iOS 開
   発者たちが和解に応じるのが不可能であるのを知っていたことに疑いの余地は
   ない。その上、彼らが選んだのはあまりにも小規模のターゲットに過ぎず、彼
   らが搾り取れるだけの金額を全部寄せ集めても到底法廷費用を支払う足しにさ
   えならないだろう。意味のある戦略として考えられることは一つ、小規模の開
   発者たちをターゲットとすることによって、彼らは Apple により大きな圧力
   をかけて早期の解決を図ろうとしているのだ。

   今回の状況についてもっとずっと詳しいことを知るまでは、はたして Apple
   が実際にこのアプリ内購入に関して確固とした法律的足掛かりを持っているの
   か、それとも Lodysys の特許が侵害されたという方が正当であって Apple が
   前もって許可を依頼するよりも後になってから許しを請うための支払いをする
   方が安くつくと考えているのか、私たちが見極めることは不可能だ。

   Apple にコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。ただ...


**最新情報** -- 2011 年 5 月 15 日に、Lodsys は一連のブログ記事を公表し
   て、同社が Apple のアプリ内購入テクノロジーに及ぶと主張している特許権
   を執行しようとする同社の取り組みに際して持ち上がった疑問点の多くに答え
   ようとした。そこに述べられた情報の中には、最初に Lodsys のターゲットと
   された開発者たちにとってさえ初耳のものもあった。

   Lodsys の主張によれば、同社はアプリのアップグレードの目的でアプリ内購
   入を使っている個々の開発者たちに対して同社の特許をライセンスすることを
   目指しているのだという。そこではおそらく、アプリ内購入を他の目的、例え
   ば購読や、ゲームの追加レベルなどといった目的で使っている人たちとは区別
   されているようだ。最も興味深いのは、Lodsys が Apple を追いかけようとし
   ない理由が「Apple はその銘板の製品やサービスのためにライセンスされてい
   るから」だと主張している点だ。それが何を意味するのかはさっぱり分からな
   いが。

   その上、ホテル建設業の会社と比較するという苦痛にひん曲がったような例え
   を持ち出して、Lodsys は最終的に顧客とやり取りをするビジネスにとっても
   Lodsys の特許権に料金を支払うのは意味のあることだと主張している。まる
   で、ホテルが開業してから何年も経ってから、ホテルのオーナーはそのホテル
   の建設の際に用いられた金づちについての特許に使用料を支払い続けるべきだ
   と言わんばかりに。

   これほどまでに入り組んだ理由を解きほぐすのも困難なことだし、そこで主張
   された Apple による既存のライセンスをどのように解釈すべきかを見極める
   のもまた困難なことだ。Apple は iOS Developer Program License Agreement
   が対象とする知的財産に対する所有権を "Apple Software" として主張してお
   り、ライセンス契約の条項を大幅に変更する可能性のあるような法的債務につ
   いて明確に述べておくことは慣習的、あるいは少なくとも望ましいことであろ
   う。仮に Apple が Lodsys の特許に気付いていたとして、私に考え得るまと
   もな可能性は、Apple が同社が Lodsys との間で結んだ既存のライセンスが
   iOS 開発者たちのためにアプリ内購入もカバーしていると考えたか、あるいは
   Lodsys の特許が実際関係していないと考えたか、どちらかしかない。開発者
   たちがどこかの第三者に余分の手数料を支払わなければならないだろうと知っ
   た上で Apple がアプリ内購入を作ったというのはどう考えても筋が通らない。

   興味深い事実が一つある。Lodsys は、アップグレード用にアプリ内購入を利
   用する iOS 開発者たちから徴収したいと同社が希望するライセンス料金を公
   表していて、それは米国内での収入の 0.575 パーセントだという。これは取
   り立てて高額な料金ではない。米国内で 100 万ドルの収入を得た開発者は、
   5750 ドルを支払わされるというわけだ。ひょっとしたら、これこそ非常に小
   規模の開発者がターゲットとされた本当の理由かもしれない。つまり、小規模
   の開発者が支払わされる金額はあまりにも少額で、弁護士に相談することさえ
   見合わない程度だからだ。そして、もしも小規模の開発者たちが支払いに同意
   すれば、Lodsys はその事実を利用してターゲットをもっと大規模の開発者た
   ちに向け、より実入りの良い会社を取り込もうと考えているのではないか。そ
   れにもちろん、より多くの iOS 開発者たちを追いかけるようになるにつれて、
   Lodsys が特許料の率をもっと引き上げない理由は何もないだろう。

   ブログ記事の中で、Lodsys は極めて防御的な印象を与えようと努めている。
   批判的な報道や嫌がらせの手紙が殺到している被害者を装おうとしているのだ。
   けれども、この会社は既に確立している市場の中へいきなりやって来て「おい、
   聞けよ、君たちみんな俺に金を払う義務があるぞ」と言い出したのだから、そ
   んな相手に同情の気持ちを持つ人は少ないだろう。第一、その対象そのものが
   まともな人ならば iOS Developer Program License Agreement でカバーされ
   ているとすぐに判断できるようなツールを使うことに関したことなのだから。
   最後にもう一言。Lodsys が購入したこの特許が正当なものである可能性はも
   ちろんあるけれど、それが何らかの革新に寄与したと論ずるのはなかなか難し
   い。今回のことは過去に遡った適用が議論されているのであって、その特許に
   よって何かの製品あるいはサービスが生み出されたわけではないのだから。

   私が iOS Developer Program License Agreement の意味を正しく理解できて
   いるのかどうかはわからないけれど、また Lodsys から新たな情報が明かされ
   たことはあるのだけれど、いずれにしても次の一手は Apple の法務部門から
   来るべきものだ。そこでは現在、活発に状況を調査中に違いない。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12174#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12174>


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 5 月 16 日
-----------------------------------------------------------
     文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12180>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

**Sandvox 2.0** -- Karelia Software が、同社のウェブサイト作成ソフトウェ
   ア Sandvox のメジャーな新バージョンを出した。Sandvox 2.0 では 60 個以
   上の新機能が追加されている。主なものとしては、サイトの基本的デザインを
   手早く選択できる新しいインターフェイス、より直観的な WYSIWYG インター
   フェイス、Facebook と Twitter 用のプラグインサポート、それにパワーユー
   ザー向けの機能として生の HTML、JavaScript、PHP,その他のウェブコードを
   挿入できる機能がある。(Sandvox は挿入されたコードに対する妥当性チェッ
   クや、標準準拠のテストさえもできる。)また、Disqus、IntenseDebate、
   Facebook Comments を経由してコメントのサポートも実現した。Sandvox 2.0
   によるサイトは HTML 5 など現代のウェブテクノロジーに対応するようビルド
   され、jQuery など JavaScript ライブラリを通じて豊かな相互作用も提供で
   きる。Karelia では 2011 年 5 月 20 日まで、新規購入とアップグレードを
   $10 値引提供している。(新規購入 $77,アップグレード $47、2011 年 1 月
   5 日以降の購入ならば無料アップグレード、28.7 MB)

<http://www.karelia.com/sandvox/>

   Sandvox 2.0 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12173#comments>


**iPhoto 9.1.3** -- Apple が iPhoto 9.1.3 をリリースした。リリースノート
   によれば、今回のアップデートはただ一つの問題に対処しているのみで、その
   問題はこの写真管理ソフトウェアの中で結合されたイベントが、iOS デバイス
   へ同期させた後でそのデバイス上で複数のイベントに分割されてしまうことが
   あるというものであった。(新規購入 $14.99,無料アップデート、106.3 MB)

<http://support.apple.com/kb/DL1379>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1379?viewlocale=ja_JP>
   "iPhoto 9.1.3"
<http://itunes.apple.com/us/app/iphoto/id408981381?mt=12>

   iPhoto 9.1.3 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12172#comments>


**Corel Painter 12** -- Corel が、Mac 用としては最も長期間にわたり活躍し
   ているグラフィックスアプリケーションの一つである Corel Painter のバー
   ジョン 12 をリリースした。今回の新リリースには多数の拡張機能が含まれて
   おり、大きく改善されたパフォーマンスと、それぞれのユーザーの必要に応じ
   てフルにカスタマイズできるユーザーインターフェイスが実現された。けれど
   も一番の新機能は、Painter がいくつかの現実的な新ブラシに対応したことだ。
   同社の発表によれば、これらのブラシをグラフィックスタブレットと共に使え
   ば「伝統的なキャンバス上のアートにおける動きと感触」を再現できるという。
   無料で 30 日間使える試用版もある。(新規購入 $429、アップグレード $229、
   297 MB)

<http://www.corel.com/servlet/Satellite/ca/en/Product/1166553885783#tabview=tab0>
<http://www.corel.com/servlet/Satellite/us/en/Content/1153321430604?pressId=1304719387742>
<http://www.corel.com/servlet/Satellite/us/en/Product/1208716842481#tabview=tab7>

   Corel Painter 12 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12171#comments>


**Mactracker 6.0.1** -- カナダの開発者 Ian Page が、人気の Apple ハード
   ウェア百科事典アプリ Mactracker のメンテナンスアップデートをリリースし
   た。バージョン 6.0.1 では、ホワイト iPhone 4(2011 年 4 月 27 日の記事
   “ホワイト iPhone 4 ついに登場”参照)と、新機種の iMac(2011 年 5 月
   3 日の記事“新 iMac に Thunderbolt、FaceTime HD、クアッドコア CPU を装
   備”参照)についての詳細情報が加わった。さらに、今回のリリースではあな
   たが持っているモデルについてこのアプリのデータベースから該当する項目を
   直接抽出してあなたの個人用記録を作成する機能や、Apple Remote Desktop
   の作成したリストを読み込む機能、その他いくつかのマイナーな機能追加や修
   正も盛り込まれた。(Ian Page のウェブサイトから、また Mac App Store か
   らも無料、27.7 MB)

<http://www.mactracker.ca/>
<http://www.mactracker.ca/releasenotes-mac.html>
<http://tidbits.com/article/12132>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1075.html#lnk2>
   "ホワイト iPhone 4 ついに登場"
<http://tidbits.com/article/12150>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1076.html#lnk0>
   "新 iMac に Thunderbolt、FaceTime HD、クアッドコア CPU を装備"
<http://itunes.apple.com/app/mactracker/id430255202?mt=12>

   Mactracker 6.0.1 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12170#comments>


**Snapz Pro X 2.3.0** -- Ambrosia Software が Snapz Pro X のバージョン
   2.3.0 をリリースした。人気のこのスクリーンキャプチャソフトウェアでは、
   Mac OS X の中で静止画像のスクリーンショットとビデオ映像の両方を撮影で
   きる。同社の発表用リストに送られた電子メールの文面によれば、今回のアッ
   プデートではいくつかの機能拡張が盛り込まれており、主なものとしては新た
   なオーディオフォーマットに対応したこと、複数モニタの処理が向上したこと、
   ビデオキャプチャの堅牢性の改善、Sparkle ベースの自動アップデート、長時
   間の録画でオーディオがずれる問題の解消、その他多数の修正もあるという。
   (新規購入 $69 (画像 + ムービー) / $29 (画像のみ)、アップデートは無料、
   8.5 MB)

<http://www.ambrosiasw.com/utilities/snapzprox/>

   Snapz Pro X 2.3.0 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12167#comments>


**Acorn 3.0.1** -- Flying Meat Software が Acorn のバージョン 3.0 をリリー
   スした。ますますパワフルになる同社の Mac OS X 用画像編集アプリだ。今回
   の新リリースでは種々雑多な新機能が盛り込まれたが、主なものとしてはレイ
   ヤースタイル、ライブのグラディエント、instant alpha、さまざまの新フィ
   ルタ、それから Photoshop の PSD ファイルフォーマットとの互換性がある。
   この 3.0 リリースの後すぐマイナー改訂版の Acorn 3.0.1 が出たが、ここで
   は合計で 30 個以上のバグ修正や訂正が施された。(新規購入は Flying Meat
   のオンラインストアからも Mac App Store からも $49.99、アップグレード
   $19.99、14.8 MB)

<http://flyingmeat.com/acorn/>
<http://flyingmeat.com/acorn/releasenotes.html>
<https://secure.flyingmeat.com/store/>
<http://itunes.apple.com/ca/app/acorn-the-image-editor-for/id402280036?mt=12>

   Acorn 3.0.1 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12166#comments>




ExtraBITS、2011 年 5 月 16 日
-----------------------------
     文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12179>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   ウェブの素晴らしさは、知ることができて嬉しいちょっとした事柄があまりに
   もたくさんあって、そういう事柄を誰かが既にウェブで共有してくれていると
   いう点にある。今週はそうしたリンクをいくつか集めてみた。まず 1Password
   のメーカーが会社名を変更し、米国議会図書館の National Jukebox が登場し、
   新型 iMac のメインのハードドライブが交換不可能という厄介な事実が明らか
   になった。


**1Password メーカーが AgileBits と改名** -- 人気の 1Password ユーティリ
   ティのメーカーである会社が、これまでの名前 Agile Web Solutions (彼らは
   実際ウェブソリューションを提供していたわけではなかった) から、より簡潔
   かつ的を射た AgileBits という名前に改名した。とりたてて大ニュースとい
   うわけではないが、フィッシングやその他さまざまな迷惑メールの類いが溢れ
   ているこの時代、使っているツールのメーカーの正しい名前を知っているのは
   重要なことだ。

<http://blog.agile.ws/2011/05/we-are-agilebits/>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12178#comments>


**米国議会図書館が National Jukebox を公開** -- 米国議会図書館 (U.S.
   Library of Congress) が National Jukebox を開始した。このウェブサイト
   では、1900 年から 1925 年までに Victor Talking Machine 社から出された
   10,000 点以上の 78 rpm レコードに対する Flash ベースのストリーミング・
   アクセスが提供される。(これらのディスクは、著作権者 Sony Music による
   包括的許可のお陰で利用可能となったものだ。)今後も何千という新たなレコー
   ドが追加される予定だという。これもまた、インターネットの大きな将来性の
   一つと言える。ただし、録音をダウンロードできないことに注意したい。なぜ
   なら、1972 年以前に出版された録音物は連邦著作権法ではなく州法や普遍法
   の保護下にあるため、2067 年に至るまではフルにパブリックドメインに入る
   ことができないからだ。

<http://www.loc.gov/jukebox/>
   (日本語)<http://www.current.ndl.go.jp/node/18145>
   "米国議会図書館(LC)、歴史的録音資料が聴ける“National Jukebox”を 
開始 | カレントアウェアネス・ポータル"

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12176#comments>


**新型 2011 iMac のハードドライブは取り外しも交換も不可** -- Other World
   Computing が新しいブログ記事で、新型の 2011 iMac が 7-wire SATA 電源コ
   ネクタと Apple 独自仕様のファームウェアとをメインのハードドライブに使
   用して、ドライブの温度をモニターするようになったと説明している。これを
   取り外したり交換したりすれば、iMac のファンはその後常にフルスピードで
   動作するようになってしまう。つまり、iMac のオーナーがドライブをサード
   パーティーのベンダーの製品と交換することができなくなったわけで、この件
   については Apple に非難の声を挙げたい! Other World Computing のフォロー
   アップ記事も併せてご一読あれ。

<http://blog.macsales.com/10146-apple-further-restricts-upgrade-options-on-new-imacs>
<http://blog.macsales.com/10206-further-explained-apples-imac-2011-model-hard-drive-restrictions>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12175#comments>




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