[SPAM: score5.0] TidBITS#1080 日本語版

TidBITS Japanese hosoka @ ca2.so-net.ne.jp
2011年 6月 20日 (月) 04:50:51 PDT


TidBITS#1080/13-Jun-2011
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     英語版: <http://tidbits.com/issue/1080>
     日本語版: <http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1080.html>


   WWDC が終わり、Lion は 7 月になるまで登場しないし、iCloud は霧のごとき
   大きな塊の中にまだ私たちを包み込み始めたばかりなので、今はただいろいろ
   と質問を発し始めたり、Apple の発表を秩序立てて眺め直したりすべき時だろ
   う。Glenn Fleishman は、バンド幅の上限が iCloud の使用に及ぼすかもしれ
   ない効果について検討し、また Joe Kissell と協力して Lion が Mac App
   Store のみに依存する (DVD はない?) と言われていることに関する疑問を列
   記する。Glenn はまた、Lion の新機能の多くが iOS インターフェイスにその
   まま対応するよう作られているのではなく、むしろクラシックなデスクトップ
   のインターフェイスから iOS 流のアプローチへと前進したいという意図を持っ
   ているのだと論ずる。その他のニュースとしては、iBookstore がついに iTunes
   に登場し、Guy Kawasaki が MacTech Conference 2011 でキーノート講演をし、
   Amazon が Mac Downloads Store を発表した。最後に、Rich Mogull が「クラ
   ウドコンピューティング」とは実際には何を意味するのかについて詳細な解説
   を寄稿する。実は、これは単にインターネットに何かが存在するとかいうだけ
   のことではないのだ。

記事:
     iBookstore、ついに iTunes に登場
     Guy Kawasaki が MacTech Conference 2011 でキーノート
     Amazon 狙いを Mac App Store に
     iTunes 10.3、自動ダウンロードと購入品へのアクセスを提供
     Lion の App Store インストール条件に対する質問
     バンド幅の上限が iCloud の輝きを奪う
     Lion の二つの顔
     iCloud、Dropbox、Elastic Computing について: クラウド入門
     ExtraBITS、2011 年 6 月 13 日


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    Lawrence Orr 氏と William J. Chaloupka 氏の暖かい支援に感謝!

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   it easy to synchronize contacts, calendars, music, photos
   and more between a Mac and MOTOROLA, HTC, NOKIA, BLACKBERRY
   and other smartphones. <http://www.markspace.com/bits>

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   editing PDFs; TextExpander for saving time and keystrokes while you
   type; DiscLabel for designing CD/DVD labels and inserts. Free demos,
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   Named Best of Show by MacLife Magazine at Macworld 2011!
   Cloud & clone from 50 GB to 2 TB. <http://www.dollydrive.com/>

* With ChronoSync you can sync, back up, or make bootable backups.
   Sync or back up your Mac to internal or external hard drives, other
   Macs, PCs, or remote network volumes you can mount on your Mac.
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iBookstore、ついに iTunes に登場
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12233>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   先週 Mac 上で米国 iTunes Store のホームページに行き、そこをよく観察し
   てみた人は、Apple の新しい翼、iBookstore を初めて目にする喜びに浸った
   はずだ。その通り、これによってついに、Mac や PC からも、iTunes の中で
   iBookstore にあるすべてのタイトルをブラウズすることが可能になり、iOS
   機器上の iBooks アプリからアクセスする以外の方法ができた。(米国以外で
   iBookstore が利用できるかどうかについてはまだよく分からない。おそらく、
   Apple は異なる国それぞれで別々にスタートさせ、国によってタイトルの取り
   揃えも異なったものになるのではないかと思う。)

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iBookstore-on-iTunes.png>

   今回のことはあまりにも長い間もうじき来るという状態が続いていたし、それ
   が必要であることも痛々しいほど明らかであった。iBooks 内から本が購入で
   きることに何も問題はなかったし、それは Kindle から本が購入できるのと同
   じこととも言えたが、Mac や PC 上の iTunes 内で本の購入ができないことは
   全く意味を成さなかった。ことに、これまで Apple はあまりにも多くのタイ
   プの購入を iTunes を使ってするよう私たちを訓練し続けてきたのだから。
   Amazon が比率を公開することはあり得ないだろう(その点では Apple も同じ
   だろう)が、Kindle ブックの大多数は同社のウェブサイト経由で購入され、
   あとで Kindle 機器あるいはアプリにダウンロードされて利用されるのが実態
   だと私は確信している。それこそが、Amazon で Kindle ブックの売り上げが
   印刷本の売り上げを凌いだ大きな要因となったに違いない。

<http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=176060&p=irol-newsArticle&ID=1565581>

   もしもあなたが iTunes Store に慣れていさえすれば、iBookstore もシーム
   レスにそこに融合するだろう。Books のトップレベルボタンがあり、その単語
   の上にマウスを持ってくれば現われる小さな三角形をクリックすればメニュー
   がドロップダウンする。このメニューにはすべてのプロモーションとカテゴリー
   がリストされ、その一つを選ぶとそのカテゴリーに属する本だけが表示される。
   また、New & Notable とか Bestsellers とかいうコレクションもある。(私
   たちの Take Control タイトルのいくつかや、私たちの執筆陣による他のいく
   つかの本が Bestsellers リストに登場しているのも嬉しいことだ。)

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iBookstore-computer-category.png>

   検索結果に出た本は一つのカテゴリーとなるが、残念なことに、本のタイトル
   が長い場合、iTunes はその終わりの方を切り捨ててしまう。iBooks でも同じ
   ことだが、これは Take Control のようなシリーズ本では非常に不都合な結果
   となる。"The Complete Idiot's Guide" シリーズの場合はさらに深刻で、肝
   心のその後の部分がすべて切り捨てられてしまい何の役にも立たない。このよ
   うに長いタイトルを差別する iBookstore のやり方を回避するにはサムネイル
   写真に見える文字が読みやすいという点がこの上なく重要となる。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iBookstore-truncated-titles.png>

   購入はまさしく予期した通りに働く。ダウンロードした本は iTunes の中で
   Books カテゴリーに置かれ、あとでそれを iOS 機器へと同期できる。注意し
   ておくべきは、今後初めて iTunes から購入をする際、Apple の取引条件規約
   の変更に同意するよう求められることだ。変更された点のうち最も重要な三つ
   は以下の通りだ:

* Apple は iBookstore を iTunes に追加したかもしれないが、この取引条件規
   約には iBookstore から購入したものが「コンピュータ上で購入したとしても、
   コンピュータ上で表示させることはできず、表示のためには iOS 機器と、そ
   の上の互換なソフトウェアとが必要となる」とはっきり明言されている。願わ
   くは、Apple が Mac OS X 10.7 Lion で Preview をアップデートして、EPUB
   ファイルも読めるようにしてくれればと思わずにいられない。当面は、Firefox
   で EPUBReader を使う(2010 年 9 月 10 日の記事“EPUBReader で EPUB を
   Firefox に表示する”参照)か、あるいは全然 Mac 風の感じのしない Calibre
   を使うかすれば、少なくとも出版社が DRM なしで出版することを選んだタイ
   トルについては読むことができる。

<http://www.epubread.com/en/>
<http://tidbits.com/article/11590>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1045.html#lnk2>
   "EPUBReader で EPUB を Firefox に表示する"
<http://calibre-ebook.com/>

* Apple は、アプリ内購入以外の何かを購入するためにアカウントのパスワード
   を入力すれば、その後 15 分間は同じことのために再びパスワードの入力を求
   められることはなく、また、アプリ内購入のためにアカウントのパスワードを
   入力すれば、その後 15 分間は追加のアプリ内購入のために再びパスワードの
   入力を求められることはないとはっきり述べているようになった。Apple がい
   かにしてこのポリシーにたどり着いたかについては、2011 年 3 月 11 日の記
   事“iOS 4.3、アプリ内のうっかり購入を予防”を参照のこと。

<http://tidbits.com/article/12027>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1067.html#lnk2>
   "iOS 4.3、アプリ内のうっかり購入を予防"

* 新たに設けられた取引条件規約で、新規または過去に購入したコンテンツを複
   数のコンピュータや iOS 機器に自動的にダウンロードさせることができると
   いう点が説明されるとともに、それらの機器がどのようにアカウントと対応さ
   せられていなければならないかについても説明がある。iCloud がフルに稼動
   を始めたら、これらの変更された規約をよく読んで、何が許されているのかを
   きちんと知っておく必要があるかもしれない。

   検索結果に対する懸念と、Mac 互換な EPUB リーダーが Apple から出ていな
   い点とを除けば、私たちは Apple が iBookstore を iTunes にもたらしてく
   れたことを大きな喜びをもって迎えたい。私たちの出している電子ブックの売
   れ行きが良い影響を受けるかどうかも気になるところだ。私たちの正直な気持
   ちを言えば、既存の顧客の皆さんには今後も私たちから直接購入をしていただ
   きたいと思う。なぜなら、その方が私たちが手にする売り上げも多いのだし、
   また私たちのシステムから購入していただければ個々の顧客ごとに自動的に
   Take Control アカウントが作成され、その人が購入した本の記録がそこに追
   加されるからだ。それに対して、iBookstore から購入された方についてはア
   カウントの作成やタイトル管理を手動の作業で施さなければならなくなる。け
   れどもその一方で、iBookstore のお陰で新しい顧客が私たちの仕事の成果を
   発見できる可能性が高まるとなれば、それは非常に歓迎すべきことだ。そして、
   iBookstore が iTunes からもブラウズできるようになることで、その可能性
   はますます高まるに違いない。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12233#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12233>


Guy Kawasaki が MacTech Conference 2011 でキーノート
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12221>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   MacTech Magazine は 11月にある MacTech Conference 2011 のキーノートスピー
   カーとして比類なき Guy Kawasaki、前の Apple の首席擁護者が登場すると発表
   した。昔からの Mac ユーザーの多くは Guy の仕事、そして彼の最新の著書 "
   Enchantment: The Art of Changing Hearts, Minds, and Actions" が New York
   Times のベストセラーリストに顔を出したことを知っているであろう (私の記事
   "Guy Kawasaki の "Enchantment" は真に魅了する" 21 March 2011 参照)。

<http://www.mactech.com/conference/about>
<http://www.guykawasaki.com/enchantment/>
<http://tidbits.com/article/12050>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1069.html#lnk4>
   "Guy Kawasaki の "Enchantment" は真に魅了する"

   (もしあなたが "Enchantment" を既に購入しているのであれば、Garr Reynolds
   による "Presentation Zen" の無料電子本を入手できる期間限定の機会がある。
   この本は、プレゼンテーションを行うことに関する最も有用でそして重要な本の
   一つと言える。もし MacTech Conference 2011 に参加する前にこの両方の本を読
   んでいれば、Guy は "Enchantment" に書いた彼のアドバイスと、そして Garr
   Reynolds が "Presentation Zen" で説いたレッスンを実行に移していることを見
   て取れるであろう。)

<https://alltop.wufoo.com/forms/enchantzen/>
<http://www.presentationzen.com/>

   この三日間の MacTech Conference 2011 は 11月2日から 4日まで Los Angeles
   の Sheraton Universal で開催される。昨年の様に、これはセッション単位の技
   術カンファレンスで、対象は IT と企業の専門家、そして Apple 開発者で、これ
   らの主たる聴衆に対する個別のトラックが用意される。セッションは、デスクト
   ップ (Mac OS X) とモバイル (iOS) の両方の分野をカバーする。そしてApple
   Certification 試験も別料金で受けられる。

   MacTech Conference 2011 の料金は、全ての食事を含んで $999 だが、30 June
   2011 までならアーリーバード割引 $200 が適用されるので $799 となる。数に制
   限があるが Sheraton Universal での宿泊も一泊 $179 の割引料金で提供されて
   いる。この料金にはインターネットアクセスも含まれる。

<http://www.mactech.com/conference/register>


     ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12221#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12221>


Amazon 狙いを Mac App Store に
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   文: by Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
   原文記事: <http://tidbits.com/article/12202>
   訳: 柳下 知昭 <tyagishi @ gmail.com>

   なんと! Amazon は予想されていなかった Mac Downloads Store を発表し
   た、それは恐らく Amazon からパッケージ販売もされているMacintosh のソフ
   トウェアとゲームからいくつかえりすぐりのものを提供する。いくつかの有名
   なデベロッパのパッケージ、Microsoft や Adobe、Intuit を除くとこれを書
   いている時点では、200 のソフトウェアパッケージのほとんどは、言語学習
   コースとトレーニングソフトウェアとみえる。残りの 51 はゲームである。

<http://www.amazon.com/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=1000691231#>

   この記事の最初に Web に公開されたバージョンでは、私は、なぜ物理的な流
   通で販売していない独立デベロッパが含まれていないのか疑問だった。Amazon
   は、多数の有名な開発者にアプローチしていたが、Amazon に、十分な説得力
   がなかったのか、それとも開発者が必要な労力に対して、十分有利な機会であ
   ると考えなかったために私が話を聞いただれもこの話には乗らなかったことが
   わかった。

   私は、新たなチャネルを扱う時間ができるにつれて、いずれ多数の Mac 開発
   者が Amazon の Mac Downloads Store でも販売を開始するようになるのでは
   ないかと思う。単に Amazon にリストされただけでは販売の保証はないが、主
   な否定的側面は、また新たな再販業者と作業を始めなければならないことであ
   る(特に、小さな開発者にはそれはかなり大きな負担になりえる)。良い点
   は、Amazon は、アップルが Mac App Store での販売に要求するのと同レベル
   の審査を行わないことであり、そのため、開発者は、アップルが許可しないソ
   フトウェアも Amazon で売ることが可能となる。

   Amazon が Mac App Store と競合しようとしていない 1 つの点は、統合であ
   る。購入すると、後々 Amazon からダウンロードするためのアクセスはできる
   が、現在のところ、Amazon は ユーザにアップデートの通知(email 以外)の手
   段を持たず、ダウンロード可能となったアップデートについても、手動でのダ
   ウンロードとインストールが必要となる。FAQ の中で、Amazon は、以下のよ
   うに言っている:

        いくつかのゲームとソフトウェアは、パッチやアップデートを自動で
        探します。アップデートを自動で行なわないその他の製品は、
        製品の製造元のウェブサイトでアップデートやパッチを探す必要が
        あります。

   FAQ にある別のコメントは、それ以上の詳細が説明されていないが
   少し気掛りである。DRM について、Amazon は以下のように言っている:

        ダウンロードしたソフトウェアやゲームには、DRM ソフトウェアが
        含まれています。DRM (デジタル著作権管理) の詳細については、
        エンドユーザーライセンス (EULA) を参照してください。

   長期的に見たときに、どちらのストアの方が安くすむかについてまとめること
   はできない。今、Mac Downloads Store と Mac App Store の両方で販売され
   ている製品はほとんどない; Macware からリリースされているMacFreelance
   と Logo Design Studio Pro が販売されているのを見つけた。両方とも
   Macware 自身のウェブサイトより安く販売されていて、Mac App Store では
   MacFreelance がより安く、Log Design Studio Pro は、$5 のディスカウント
   によって、Mac Downloads Store で、より安くなっている。

<http://www.macwareinc.com/>

   今のところ、Amazon Mac Downloads Store は、Mac App Store ほど、魅力的
   ではないが、Amazon は、非常に多くの小売りの経験を持っているし、マー
   ケットを作るまでに必要な辛抱強さも見せている。一年もしないうちに、Mac
   Downloads Store は、非常にバラエティに富んだ Mac のソフトウェアを探し
   て購入するための信用できる方法になるかもしれない。


**使い方** ーー Amazon の Mac Downloads Store がどのようなものか見るた
   めに、そう高くないゲーム - Airport Mania: First Flight をダウンロード
   してみた。(この Store が開店したとき、このゲームは、無料だった。)

<http://www.amazon.com/Airport-Mania-First-Flight-Download/dp/
   B004YF1FG0/>

   一度、アプリケーションを購入すると、すぐにダウンロードできる権利か
   Amazon の Your Games and Software Library から後で取得できる権利が与え
   られる。もしソフトウェアがアクティベーションキーを必要とする際は、同様
   に、Your Games and Software Library から入手できる。

<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download1.png>

   "Start Download" をクリックすれば、操作手順を説明したウェブページが開
   く。操作手順はごくおおざっぱなものだが、要するに Amazon はあなたにディ
   スクイメージに格納された Amazon Software Downloader を取得せよと言って
   いるのだ。Amazon Software Downloader をディスクにコピーする必要はない;
   ダウンロード手続きを継続するためには、ディスクイメージから起動するだけ
   でよい。

<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download2.png>
<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download3.png>

   Amazon Software Downloader は、購入したものを取得する処理をすすめ、ダ
   ウンロードフォルダに保存し、終了すると Install ボタンが現れる。それは
   アプリをアプリケーションフォルダにインストールするためのものだと思うか
   もしれないが、そうではない; Install ボタンをクリックすると代わりに購入
   したもののディスクイメージを開く。Airport Mania の場合は、インストール
   は単にドラッグアンドドロップするだけだが、他のアプリケーションではおそ
   らくインストーラーを使用するのだろう。

<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download4.png>
<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download5.png>
<http://tidbits.com/resources/2011-05/Amazon-download6.png>

   まとめると、個々の手順は、多くあった - Mac Downloads Store は、
   Mac App Store の手順ほどのシンプルさではなかった - が、
   ソフトウェアをダウンロード購入した経験があれば
   特に難しい手順はない。


    ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12202#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12202>


iTunes 10.3、自動ダウンロードと購入品へのアクセスを提供
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     文: Kirk McElhearn <kirk @ mcelhearn.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12235>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   今週の WWDC キーノートでの音楽関連の iCloud 機能の発表と並んで
   ("iCloud の出現で、長期予報は嵐を予想" 6 June 2011 参照)、Apple は
   iTunes の新しいバージョンをリリースしユーザーにクラウドの味見の機会を
   与えた。iTunes 10. 3 は、Software Update 経由或いは Apple の Download
   iTunes Now ページから入手可で、このプログラムに対して二つの大きな変更
   をもたらす。(10.3 はまた新しいバグももたらした、何故ならば Apple は数
   日後に iTunes 10.3.1 をリリースしたからである;これがこの記事を書いて
   いる時点での最新版でもある。)

<http://tidbits.com/article/12232>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1079.html#lnk6>
   "iCloud の出現で、長期予報は嵐を予想"
<http://www.apple.com/itunes/download/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/itunes/download/>
   "アップル - iTunes - iTunesを今すぐダウンロード"

   iCloud に関連したこれら二つの変更は、iTunes Store から購入したコンテン
   ツに関係する。最初は Automatic Downloads で、これによりどの iTunes -
   そして あなたの iOS 機器も - でも他のコンピュータや機器上で iTunes
   Store から購入したコンテンツを自動的に捕まえられるようになる。iTunes
   Preferences ウィンドウの Store ペインに Automatic Downloads の場所が追
   加され、そこには三つのチェックボックスがあり、あなたの iTunes Store ア
   カウントにリンクした他のコンピュータ又は機器上で購入された時自動的にダ
   ウンロードされるコンテンツの選択が出来る: Music, Apps そして Books で
   ある。これらのどれをチェックしても iTunes にあなたが購入 - 或いは無料
   ダウンロード - したファイルのコピーを自動的に行うよう指示する。これは
   あなたが同じ Apple ID を使っている限り、どんな機器を使っているかに拘わ
   らず行われる。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iTunes-Automatic-Downloads.png>

   あなたの iOS 機器では同様なオプションが Settings > Store で見つかる。
   他には 3G が使える機器では、もし Wi-Fi が使えない場合セルラーデータを
   使うかどうかのオプションもある。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iOS-Automatic-Downloads.png>

   Automatic Downloads は機能するが、未だ完璧というわけにはいかない。私が
   iMac 上の iTunes から無料の曲を一曲ダウンロードした時、ダウンロードは
   私の MacBook Air 上でも直ちに開始した。こちらの方ではこの機能を既にオ
   ンにしていたのである。同時に、私の iPad と iPod touch にも通知が届き、
   私が一曲ダウンロードしたばかりであり、将来これらの機器に自動的に同期さ
   せるため自動ダウンロード機能をオンにすることが可能であることを伝えてき
   た。しかしこれらの機器で Automatic Downloads をオンにした時、Mac 上で
   無料の曲をダウンロードしても、これがこれらの機器にコピーされることは無
   かった。また、Adam Engst の場合は、彼の機器のどれにも通知が来ることは
   無かった、そしてこれには Automatic Downloads が既にオンにされていた機
   器も含まれる。しかし、この機能が再度オフにされていた場合、この機能が再
   度オンにされると今度はどこでもダウンロードは期待された様に機能した。あ
   なたの iTunes パスワードを入力するよう要求される場合もあるが、これは必
   要な認証が最近なされていない場合である。

   二つ目の変更は、iTunes での購入履歴を見る、そしてあなたが既に購入し
   た、或いは無料でダウンロードしたコンテンツを iTunes Store から再ダウン
   ロードする能力である。(待ちかねた!) iTunes Store のメインページに行
   き、そして、右にある Quick Links の所で Purchased をクリックする。
   iTunes は、あなたがこれまでダウンロードしたことのある音楽、アップスそ
   して本の全てが見られるページをロードする。そのリストをスクロールして、
   項目を選択することが出来、その項目があなたの現在の iTunes ライブラリに
   無い場合は、クラウドアイコンをクリックすることでダウンロード出来る。も
   しそれがあなたのライブラリに既にある場合は、iTunes は Downloaded とい
   うアイコンを代わりに表示する。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iTunes-purchase-history.png>

   同じ機能が今や iOS 機器上の iTunes アプリでも使える;音楽のリストを見
   るにはツールバーにある Purchased のボタンをタップする。iOS の iTunes
   は購入した曲のみへのアクセスを提供する;App Store アプリのツールバーで
   の Purchased ボタンをタップすると以前購入したアップスのダウンロードを
   させてくれる。同様に、この機能はこの場合は新しいものではないが、iBooks
   (Store をタップ、それからツールバーの Purchased ボタン) もまた購入済み
   の本を再度ダウンロードさせてくれる。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/iPad-music-purchase-history.png>
<http://tidbits.com/resources/2011-06/iPad-app-purchase-history.png>

   しかしながら、この機能には多少の付帯条件が付く。まず、米国以外にお住ま
   いなら、少なくとも音楽に関しては運がない。Apple は世界中のレコードレー
   ベルと未だ交渉成立まで行っていないので、もし U.S. iTunes Store アカウ
   ントをお持ちでないなら、アップスと本だけを見ることになる。

   第二に、このサービスを記述している脚注で Apple が言っているように、
   "以前に購入したものでも現在 iTunes Store に無いものは入手できないかも
   しれない。" 私の場合、私の購入した音楽のうちかなりのものがもう入手出来
   ないということを発見した。例えば、2005年に私が購入した "Complete U2"
   は今ではもう無い。

   興味深いことには、私の購入履歴リストで U2 の下に "A Celebration" とい
   うのがあり、これは U2 の曲の中でも一番のコレクションだと思えるのだが、
   これをクリックすると出てくるのは "Three" というタイトルの EP である。
   私が 2006年に買った "Bob Dylan - The Collection" の全セットは "Dylan"
   として出てきて、多くの曲が私の iTunes ライブラリには無いと示される、実
   際にはそこにあるのにである。そして Vagn Holbmoe の "Four Symphonic
   Metamorphoses" は 3つのトラックしか入手できないと表示される (アルバム
   には 9 曲収められている)、そして View Full Album へのリンクをクリック
   すると、iTunes ダイアログが出てきてこの音楽は U.S. iTunes Store では入
   手できないと言ってくる。

   私の購入履歴にある音楽の多くに対しては、この新しい機能は十分に働くが、
   私はクラシックの音楽を結構 iTunes Store から買っているので、アーティス
   トのリストは紛らわしい。多くのアルバムが一旦個々のアーティストの名前の
   下になると、何回もリストされる。しかし検索フィールドがあるので、曲を手
   早く探すにはそこに作曲家、曲、或いはアルバムの名前をタイプすることも出
   来る。或いはまた、Not in My Library ボタンをクリックすれば、あなたのラ
   イブラリに現在入っていないと iTunes が思うコンテンツを見ることが出来
   る。しかしながら、私の場合はこれで Bob Dylan による 170 トラックもが見
   つけ出されたが、前にも言ったようにこれら全ては私のライブラリの中に存在
   している。

   アップスに対しては、この機能はよりよく働くようである。これは - ちょっ
   とびっくりしたのだが - 471 ものアップスを私が購入したものとして見つけ
   出した。私は私のアカウントを息子と共有している、そしてこのリストアップ
   されたアップスの多くは彼のダウンロードで、かつその多くは無料のものであ
   る。しかしリストがこれほど長くなると、一度は試してみたが消してしまった
   無料のアップスの様なものを間引きし、それらをリストから除去できると都合
   が良いのだが。このリストを多少見やすくするために、iPhone (そして iPod
   touch) 或いは iPad 用のアップスを選択することも出来る。

   最後に、本を再ダウンロード出来る、そして、繰り返しになるが、私がダウン
   ロードした無料の本、そして私が購入した本の両方に対して、多くの購入品が
   リストされない経験をしている。例を挙げれば、私は Stephen King の Dark
   Tower シリーズ全 7 巻を iPad で読むため数年前に購入したが、私の購入リ
   ストにはそのうち 3 冊しか現れなかった。

   この機能は完璧に働くべきだが - Apple はあなたの購入履歴を持っているの
   だから - 私が経験したようにあなたの場合もリストに出てこないコンテンツ
   がある可能性がある。結論を言えば、この様にコンテンツを再ダウンロード出
   来ることに依存するべきではなく、そしてあなたの購入品は常にバックアップ
   すべきである。Apple はその iCloud Features ページで、これらの新機能は
   単にベータの状態であると言っているので、構築に多少手の届かないところが
   あるだけなのかもしれない。

<http://www.apple.com/icloud/features/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/icloud/features/>
   "アップル - iCloud - あなたのすべての音楽を、すべてのデバイスに。"

   最後の一つの新機能もようやく今週日の目を見た。これは iTunes 10.3 に直
   接関係しているわけではないが iTunes Store に施された変更だ。言ってみれ
   ば見栄えのいい Web ページとそう変わらないのだから、ここは一瞬にして変
   わることが出来る。iBookstore からの本が、一部の Take Control 電子本、
   例えば私の"Take Control of iTunes 10: The FAQ" も含めて、Mac 上の
   iTunes 内で買うことが出来るようになった。ただし、これらを Mac 上で読む
   ことは出来ない。更なる詳細については、Adam の "iBookstore、ついに
   iTunes に登場" 7 June 2011 を参照のこと。

<http://itunes.apple.com/us/book/itunes-10-the-faq-take-control/id395530900?mt=11>
<http://tidbits.com/article/12233>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1080.html#lnk0>
   "iBookstore、ついに iTunes に登場"

   と言うことで iTunes 10.3 は幾つかの興味深い機能を iTunes Store からコ
   ンテンツをダウンロードする人々にもたらしたが、現実を見れば、これは今日
   では殆ど誰でもということを意味する。とりわけ、Automatic Downloads は何
   台かのコンピュータと iOS 機器を持っている人には嬉しいもので、また一つ
   のアカウントを誰かと共有しており、彼らが何をダウンロードしたかを知り、
   彼らの音楽、アップス、そして本も試してみたいという人にはとりわけ嬉しい
   ものである。

   [Kirk McElhearn は Macworld への Senior Contributor であり、TidBITS に
   も時折寄稿している。彼のブログ Kirkville では Mac だけでなくいろいろ書
   いている。Kirk の最新の本は "Take Control of Scrivener 2" である。彼を
   Twitter で追いかけたい人は @mcelhearn で。]

<http://www.mcelhearn.com/>
<http://twitter.com/mcelhearn>
<http://www.takecontrolbooks.com/scrivener-2?pt=TB1080>


     ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12235#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12235>


Lion の App Store インストール条件に対する質問
----------------------------------------------
   文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
   原文記事: <http://tidbits.com/article/12231>
   訳: 柳下 知昭 <tyagishi @ gmail.com>

   Mac OS X Lion では、DVD は見捨てられる - それが必要なあなたには、天の
   助けを!アップルは、$29.99 のオペレーシングシステムアップデートは、Mac
   App Store 経由のダウンロードのみで入手できるとしていて、10.6.6 Snow
   Leopard 以降でのみ購入できる。このことから、Mac App Store で 突然 Lion
   が購入できるようになるその日まで回答を得ることができそうもない多くの質
   問へとつながる。


**インストール** -- アップルは、インストールプロセスのかなりの部分を説
   明してくれている。我々は、同一の Apple ID を使用しているならば、複数台
   のコンピュータに Lion をインストールすることができる。つまり、$29.99
   の Lion の料金で、Snow Leopard では、$49.99 であり、Leopard では、$199
   であったファミリーパックにとってかわることとなる。

   しかし、アップルがインストールの数を制限するかどうかやどうやって制限す
   るかについてわかっていない - 恐らく、あなたの iMac や MacBook にインス
   トールする $29.99 の Lion のコピーと 25 人のオフィスの全ての Mac にイ
   ンストールするためのものとは、違うだろう。そして、そのような小さなオ
   フィスでも少なくとも 25 回の Lion のダウンロードが必要だろうし、数百台
   や数千台のインストールが必要になるような企業のインストールは、どうなる
   だろうか?

   1 つの可能性として、ありそうもない 1 つかもしれないが、シリアル番号が
   ある、1 つのコピーをダウンロードし、適切なシリアル番号を使用して複数回
   インストールするのである。アップルは、これまでデスクトップ Mac OS X ク
   ライアントのインストールでシリアル番号を要求したことはないが、Max OS X
   Server で、昔は、シリアル番号が必要だった。Lion Server は、Max App
   Store から別途 $49.99 でダウンロードされ、Lion 上にインストールされ
   る。

   Mac App Store 経由で Lion を購入し、ダウンロードすると、アプリケーショ
   ンフォルダのインストーラが実行可能となる。表面上は、このインストーラを
   他のコンピュータへコピーすることができ、ダウンロードすることなしに起動
   することができる。Lion の要求システムは、Intel Core 2 プロセッサ以降の
   プロセッサを必要とし、2006 年以降の全てのマシンが含まれる。しかし、
   10.4 Tiger や 10.5 Leopard で Lion のインストーラを起動できるだろう
   か?もしくは、Lion のインストール前に Snow Leopard へのアップグレード
   が必要なのだろうか?調査を待たなければならないが、アップルのウェブサイ
   トでは、最初に Snow Leopard へのアップグレードが必要であると暗示されて
   いる。( 開発者向けプレビューでは、答えはわからないだろう、それは、市販
   でのインストール向けに設計されていないのだから。)

<http://www.apple.com/macosx/how-to-buy/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/macosx/how-to-buy/>
   "アップル - OS X Lion - Lionを7月に手に入れよう。Mac App Storeだけで 
購入できます。"

   我々は、インターネットへの回線が無い、もしくは限られたスピードのユーザ
   について特に心配している。遅い回線のアカウントの人もいる(例えば、衛星
   通信や遅い DSL 通信)、25% のアメリカ人は、いまだダイアルアップアクセス
   を使用してインターネットへ接続している。さらに、世界の多くの地域でイン
   ターネットアクセスは、従量制であり、数ギガバイトのダウンロードは、少な
   くない料金になる。現在、言えるところでは、このような状況の人達は、代替
   手段を考えなければいけない。しかし、もしその人達がラップトップを持って
   いなかったり、手近な代替手段がなかったら?アップルは、ダウンロードを簡
   単に行うことのできない人達に、Lion に DVD インストールのオプションを追
   加してくれてもよいのではないだろうか?27-inch の iMac をもよりの Apple
   Store や、認定販売店へ持っていく必要があるのだろうか?我々は期待するこ
   とはできるが、アップルはこの件について何も言っていない。


**復旧** -- もちろん、Mac OS X は一度インストールすればよい、、、ラッ
   キーならば。我々が知るところでは、インストールは、失敗することがある
   し、ハードディスクは故障するし、ユーザーはより大きなディスクへとアップ
   グレードする、そのため、そのような時に、オペレーシングシステムの再イン
   ストールが必要となる。これまでは、頼りになる Mac OS X インストール DVD
   があったが、もし Lion を Mac App Store から入手した場合は、別のリカバ
   リー手段を使わなければならない。(それが何を意味しているかは、2011 年 6
   月 10 日の記事"Recovering from Disk Corruption Without a SuperDrive"
   を参照のこと)

<http://tidbits.com/article/12239>

   もちろん、Lion のシステムを Time Machine バックアップを使用してリスト
   アすることは以前の Mac OS X のバージョンと同様にできる。しかし、Lion
   は、特別なリカバリーパーティションを内蔵ハードディスク内に作成し、その
   パーティションから Lion の最小インストールを起動することができ、そこに
   は、別パーティションを修復したり Time Machine から復旧するための標準的
   なMac OS X のユーティリティすべてが含まれている。これは、Apple が良い
   ことをしてくれたと言える。

   しかし、もしハードディスクが故障して、リカバリーパーティションからも
   ブートできなくなり、Time Machine のバックアップが最新で無く、別のバッ
   クアップ手段でブート可能ボリュームを作成しないものを使っていたとした
   ら?DVD や フラッシュドライブにブートできる Lion インストーラを作成で
   きるかわからない。Mac App Store から取得できるものは、それ自体がアプリ
   ケーションであって、ディスクイメージでないのだから。この問題への解決策
   は、持ち主がバックアップやハードウェアへの配慮を欠いていたとしても一定
   の間隔で、不安定な Mac を調子の良い状態にする必要に直面するような Mac
   のコンサルタントにとって特に重要である。

   ほとんどの人達は、疑う余地なくこれらの問題に遭遇しないが、これらの問題
   は、それに遭遇する人達だけにとって致命的なのではない、Mac 人口の増加 -
   5400 万のアクティブなユーザーを思い出してほしい -によって、インストー
   ルの問題や、問題発生時の再インストールの問題に実際に遭遇する人数は、増
   加する。

   我々は、積極的にこれらの質問へのアップルの回答を見いだそうとしている
   が、アップルは、率直であるとは思えないので、7 月のいつかに Mac App
   Store に Lion が現われるまでは、確実な情報は手に入れられないかもしれな
   い。


    ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12231#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12231>


バンド幅の上限が iCloud の輝きを奪う
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     文: Glenn Fleishman <glenn @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12227>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   iCloud の同期サービスと、Mac OS X Lion と iOS 5 が両方ともダウンロード
   で入手できることになるという発表とを見れば、バンド幅というものが安価で
   かつ潤沢に手に入る未来を Apple が心に描いていることは明らかだ。高速の
   インターネット接続と、活発な 3G データ接続を持っている人々の数がますま
   す増えつつあることに疑問の余地はないけれども、Apple の計画はそれを相殺
   する効果を持つトレンドに、真正面から衝突してしまう可能性がある。それが、
   毎月の使用量上限と超過料金だ。

   OS のアップデートは数百メガバイトから数ギガバイトに達することもあり、
   iCloud ではインターネットとの間で何ギガバイトものデータを毎月やり取り
   することになるかもしれない。そこで、バンド幅の上限を超えてしまう懸念が、
   突然困難な、かつ費用のかさむ問題として持ち上がりかねない。もしもあなた
   が現在既にバンド幅の上限からそう遠くない量を使用しているのなら(例えば、
   ストリーミングで Netflix から映画を観たり、バンド幅の使用の多いゲーム
   をプレイしたりしている場合は)そこに iCloud を加えるやいなや、たやすく
   上限を超えてしまう可能性がある。

   AT&T は 2011 年 5 月に、有線ブロードバンドサービスに毎月の使用料上限を
   導入した。その結果、現在では米国内でブロードバンド契約をしている家庭の
   半数以上が何らかの種類の上限を持つこととなった。AT&T などいくつかの会
   社では、設定された制限値、例えば毎月 100 GB とか 250 GB とかいった値を
   超えた使用量に対して料金を課している。Comcast などの会社では、250 GB
   という毎月の上限を設定しておき、あなたが初めてその上限を超えた際には警
   告を出して、その後一年以内に二度目の警告を受ければあなたのサービス契約
   が取り消されるようになっている。

<http://www.dslreports.com/shownews/Exclusive-ATT-To-Impose-150GB-DSL-Cap-Overages-113149>

   モバイルブロードバンドにはずっと以前から制限が課されていた。段階付きの
   サービスプランはたった数百メガバイトから 1 ないし 2 ギガバイトまで程度
   しか提供しない。米国の T-Mobile では、これは世界中の多くのキャリアでも
   似たようなものだが、あなたがこの上限を超えればバンド幅を毎秒数十キロバ
   イト程度に絞るし、他の会社では超過料金を課したりあるいは接続を切ってし
   まったりするところもある。(Verizon Wireless の iPhone プランでは現在
   のところそのようなことはないが、近いうちに同社が他のスマートフォンで提
   供しているような段階付きプランへと移行することが予想される。)

   では、Apple の約束する各種サービスが、あなたの限られたバンド幅の中から
   どの程度の量を消費するか、それぞれ見て行こう。

* **PC Free の iOS 5 とそのアップデート:** 従来、すべての iOS アップデー
   トはまずあなたの Mac または PC に iTunes 経由でダウンロードされ、それ
   から USB 同期でインストールされていた。けれども、iOS 5 におけるメジャー
   な新機能の一つは、ここでコンピュータの必要をなくすことにある。それは確
   かに便利だが、iOS 5 は少なく見積もっても間違いなく数百メガバイト以上は
   あるだろうし、たとえ Apple がアップデートを比較的サイズの小さなパッチ
   として出すようになるとしても、それでも相当のサイズになるだろう。私たち
   の予想では iOS へのアップデートは Wi-Fi に限定されるだろう。なぜなら、
   一回のアップデートのみでたいていのモバイルブロードバンドデータプランの
   上限を超えてしまうからだ。

* **Wi-Fi Sync:** Apple は、iOS 5 に登場予定の新しい Wi-Fi Sync 機能に
   おいて、注意深く 3G データの使用を避けている。もちろん名前からもそれと
   見て取れる。Wi-Fi Sync はローカルなファイルのコピーのみのためのもので、
   ビデオや写真アルバムを同期させたいコンピュータと共通の Wi-Fi ネットワー
   ク上のみで使える。そうでない場所 (3G または Wi-Fi 上) では、Apple がコ
   ンピュータへの遠隔アクセスを有効にする必要がある。Wi-Fi Sync は、あな
   たのブロードバンド使用としてカウントされるアクションを実行しない。だか
   らこれについて心配する必要はない。(ただし、802.11n 対応のベースステー
   ションにアップグレードすべきかもしれない。最近の iOS 機器は、802.11g
   に比べて 802.11n で2倍から4倍高速で動作するからだ。)

* **同期とバックアップ:** iCloud の「アプリケーション、本、バックアップ」
   機能は、ブロードバンドの使用量上限に関してより心配の種となる可能性があ
   る。Apple はバックアップやリストアを Wi-Fi ネットワークのみに制限して
   いるが、新しい PC Free のアプローチでは、バックアップがクラウドの中に
   保存されることになり、リストアの動作もどうやらローカルネットワーク上の
   コピーを参照しないようだ。その代わり、iTunes から購入されたすべてのア
   プリ、音楽、本など(ただしビデオと映画は別)は、インターネット上で、ま
   たワイヤレスで、リストアされる。その結果として、何ギガバイトものデータ
   が iCloud から転送される。例えばあなたが Wi-Fi 版の iPad のために MiFi
   を使って 3G ベースのインターネットアクセスを得ているような場合、特に注
   意が必要となる。なぜならその場合、iOS からはあなたが 3G データを食い潰
   していることが分からないからだ。iOS からは、直接使っている Wi-Fi しか
   認識できない。

<http://www.apple.com/icloud/features/apps-books-backup.html>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/icloud/features/apps-books-backup.html>
   "アップル - iCloud - iCloudにコンテンツを保存してバックアップ。"

* **iTunes in the Cloud:** デフォルトで iTunes in the Cloud 機能は Wi-Fi
   のみを使うが、3G を有効にすることも可能だ。一般的に音楽ファイルは一つ
   数メガバイトもあるので、多数のファイルを 3G 上で同期すれば破滅的に高く
   つくこともあり得る。明らかに Apple はバンド幅の使用を抑えようと努めて
   いるし、あなたが既に購入済みで iTunes 経由で iOS 機器に同期しておいた
   曲は iTunes in the Cloud 機能を有効にしても新たにダウンロードされるこ
   とはない。けれども、そのファイルが保存されていない機器上では、あるいは
   その機器上であなたが音楽を切り替えた場合は、iCloud が新たな転送をしな
   ければならない。だから、音楽の同期には注意を払う必要がある。

<http://www.apple.com/icloud/features/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/icloud/features/>
   "アップル - iCloud - あなたのすべての音楽を、すべてのデバイスに。"

* **Photo Stream:** Wi-Fi Sync と同様、Mac や iOS 機器の間で写真の同期を
   する iCloud の Photo Stream 機能も、Wi-Fi ネットワーク上でのみ使える。
   現代のカメラは写真一枚あたり数メガバイトもするサイズのファイルを作るの
   で、Photo Stream も相当にバンド幅を消費することが考えられる。特に、大
   量に写真を撮影する人たちは注意すべきだ。

<http://www.apple.com/icloud/features/photo-stream.html>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/icloud/features/photo-stream.html>
   "アップル - iCloud - 撮影した写真を、あなたのすべてのデバイスに。"

* **最初の設定:** もしもあなたが新しい iOS 機器の中に巨大サイズの iTunes
   ライブラリを詰め込み、その一方でネットワーク上には iTunes があって、同
   じ音楽が両方に重複ないし片方がもう一方に含まれていたとしよう。その場合、
   あなたの機器が Wi-Fi Sync を使うようになるのか、それとも iCloud から直
   接コンテンツを回収することになるのか、はっきりしない。Wi-Fi Sync なら
   ばバンド幅の消費は少ないが、Apple は最初の同期作業の際にそれが使われる
   のかどうかについて何も発表していない。この難しい問題を避けて通るために、
   最初の同期には USB を使うのも良いかもしれない。

* **Mac OS X Lion とそのアップデート:** 最後に、iOS 5 がバンド幅のバ
   ケツから大量のデータを流し尽くしてしまうとお思いのあなたに一言。あなた
   が Lion にアップグレードしようと思う時が来れば、さらにまた見たこともな
   かったような事態が起こることになる。私たちとしては、十分太いインター
   ネットのパイプを持ち合わせていない人たちのために Apple が何らかの代替
   方法を提供して Lion の入手をさせてくれると信じたいが、この件に関し
   Apple はまだ何も詳細情報をリリースしていない。(2011 年 6 月 8 日の記
   事“Lion の App Store インストール条件に対する質問”参照。)Lion のダ
   ウンロードが数ギガバイトに達することに疑いの余地はなく、アップデートも
   決して小さくはない。報道によれば個々のコンピュータが個別にインストーラ
   をダウンロードする必要があるらしい。インストールが済めばインストーラが
   削除されるので、マシンごとに新たに取り寄せる必要が生じるからだ!

<http://tidbits.com/article/12231>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1080.html#lnk4>
   "Lion の App Store インストール条件に対する質問"

   あなたが MiFi などのパーソナルホットスポットを使って iCloud を欺いてい
   る場合を別とすれば、iCloud サービスがそれ自体のみで一般的なモバイルブ
   ロードバンドの使用量上限を超えることは考えにくい。けれども iCloud は、
   ブロードバンド転送をあなたのいつもの使用量に加えてさらに数ギガバイト、
   場合によっては数十ギガバイトも増やすかもしれず、Lion と iOS 5 もあなた
   のバンド幅要求をただただ増すのみだ。一言で言えば、あなたが Apple の新
   しいオペレーティングシステムの使用に次第に慣れてくるにつれて、ブロード
   バンドプロバイダが提供しているあなたの使用量グラフや警告に、しっかりと
   注意を払っておく必要があるということだ。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12227#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12227>


Lion の二つの顔
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     文: Glenn Fleishman <glenn @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12237>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   月曜日に Apple の Worldwide Developer Conference 基調講演があって以来、
   私が最も頻繁に耳にした質問は、Mac OS X 10.7 Lion が「つまらない」もの
   なのかどうか、という問い掛けだ。それは、もっともな質問だ。ユーザー体験
   に大きく影響するような機能のオーバーホールが Mac OS X に真の意味で施さ
   れたのは、10.5 Leopard が最後だった。10.5 Leopard ではインターフェイス
   が調整されるとともに、私たちがいつも使っている数多くのアプリケーション
   やシステム要素、例えば Finder などに改善が施された。それとは対照的に、
   Apple は 10.6 Snow Leopard を主として内部的な変更を施して、パフォーマ
   ンスを改善するとともに将来の発展のためにより一貫性のある基盤を提供する
   ものと位置付けた。(個人的には、私は Snow Leopard が強力なリリースだと
   感じたことは一度もない。初期のいくつかの改訂版では数多くの問題を経験し
   たし、今もまだ説明の付かないシステムの故障が起こって再起動を余儀なくさ
   れることがあって、その頻度は私が Leopard や、さらには 10.4 Tiger で経
   験したよりも高い。)

   けれども Lion は、数多くのユーザーレベルの仕掛けや、飾り立てや、新しい
   作業のやり方などに満ち満ちている。Lion をテストしながら、私は Apple が
   長年 Mac OS X に存在していたけれどもあまり価値が高くなかったもののいく
   つかを _削除_ しさえしたことに気付いた。(それらが具体的に何かはリリー
   ス後に議論したい。)

   しかしながら、それらの新機能の大多数は、これまで一度も Mac を使ったこ
   とがない、さらにはコンピュータを使ったことさえないユーザーたち、あるい
   は伝統的なオペレーティングシステムを使いこなすのにいつも困難を感じてい
   たユーザーたちを狙ったものだ。iOS は、コンピュータを欲しいと思わない人
   たちを惹き付けることに成功した。なぜなら、iPhone や iPad はデスクトッ
   プのオペレーティングシステムと同じ困難を引き起こさず、過剰な選択肢を提
   供しないからだ。

   あなたが iPad の電源を入れると、スワイプすればスクリーンのロックが外れ、
   あなたにできることが画面一杯に表示される。それらはアプリであるが、同時
   にそれぞれが通常非常に具体的なアクションと結び付いている。大多数のアプ
   リはたった一つのことだけをするからだ。Apple は、ウィジェットだらけの多
   目的プログラムが増えないようにと努めてきた。一方 Mac や Windows のシス
   テムに電源を入れれば、さまざまのものたちがあって、それらとやり取りでき
   る方法も多種多様に可能なので、圧倒されてしまうことがある。私の義理の母
   が言うように「何かを何かの中へ動かそうとしても、何にも起こらないことが
   よくある」ということにもなる。

   クラシックなデスクトップのインターフェイスは、1950 年代のオフィスのデ
   スクの上という時代遅れなモデルを持っている。書類はフォルダの中に入れて
   整理され、傍らにはゴミ箱がある。このモデルは、何百万という人たちにとっ
   て Unix のコマンドライン・インターフェイスに比べてずっと使いやすかった。
   それはちょうど、コマンドライン自体がそれ以前のコンピュータとの交流方法
   (パンチカード、スイッチ、ワイヤーなど)に比べて大きな前進であったのと
   同様だ。そして、1980 年代に成人した人たちや、あるいはデスクトップのメ
   タファーが自然に感じられる人たちにとっては、たとえ抽象的なものと具体的
   なものを奇妙な具合に頭の中で結び付けなければならなかったとしても、この
   デスクトップのインターフェイスは問題なく使いこなせるものだ。

   でも、今や誰もがこのデスクトップのインターフェイスをうまく使いこなせる
   わけでないことは明らかだ。これまで三十年間大衆市場に出て、いくら洗練に
   洗練が重ねられたとしても。それは、ユーザーたちの知能に問題があるのでは
   ない。私の義理の母は非常に賢く、何十年もプロの世界で仕事をしてきた人だ。
   また彼女は二十年以上も Mac を使ってきた。それでも、彼女にはすべてが全
   く意味を成さない。

   もちろん、私たちの多くはオペレーティングシステムを自分の中に取り込んで、
   これらの仮想的ツールがまるで自分の考えの延長であるかのように使いこなせ
   るようになっている。けれども人によっては(おそらくそういう人たちが大多
   数かもしれないが)デスクトップのインターフェイスに含まれるものたちすべ
   てが、互いに無関係なオブジェクトが雑多に並び、具体性も予想可能な性質も
   何もなくただ困惑するばかり、そのため基本的な使用法においても丸暗記して
   おいたものを苦労して思い出しながら一連の手順をこなす苦行が要求される、
   という風になる。。そういった手順の覚え書きを小さなメモ帳に書き留めてい
   る人たちを、あなたは何人知っていることか?

   だから、それこそが Apple が iOS で目標とした狙いだ。デスクトップのメタ
   ファーが全然ピンと来ないという人たち、可能な場所、オブジェクト、アクショ
   ン、結果の膨大さに、ただただ困惑させられるという人たちを対象としたのだ。
   私たちは皆、この区分けに属する人たちを知っている。はっきりさせておきた
   いが、これは決して iOS が「使いやすい」かどうかという話ではない。そう
   ではなくて、直接操作というメタファーを捨てて、従来たくさんあった場所、
   アクション、オブジェクト、結果などを大幅に減らしたのだ。iPhone、iPod
   touch、iPad の成功をたった一つの要因に結び付けることはもちろん不可能だ
   が、iOS で焦点を絞り単純化したことがそこに大きく働いたことは疑いない。

   話を Lion に戻そう。Lion には、私たちオールドタイマーを狙った要素もも
   ちろんたくさんある。AirDrop は、あらかじめネットワークの設定をせずとも
   人々の間でファイルの移動ができるようにしたいという問題に対処する。それ
   は素晴らしいアイデアであり、Wi-Fi Alliance の Wi-Fi Direct 構想から大
   きくアイデアを取り込んでいる。いつの日か、Wi-Fi Direct 構想はすべての
   Wi-Fi-認定機器で利用できるようになるだろう。また、長年の Mac ユーザー
   たちの多くが歓迎するであろうもう一つの機能は、Apple Mail がビジュアル
   に、また会話ベースに、強化されることだ。さらに Preview も機能強化され
   て Office や iWork の書類が読めるようになるし、ユーザーごとのスクリー
   ン共有や、FileVault 2 のフルディスク暗号化もある。

   その他の Lion の新機能の多くは、ちょっと慣れを要するかもしれないが、いっ
   たん広く利用されるようになれば既存の Mac ユーザーたちのほとんどが歓迎
   するようになると思われる。例えばオートセーブとバージョンは、最初のうち
   はこれまでより多くの精神的努力を要するだろう。どのアプリが手動で保存し
   なければならず、どのアプリではそれが必要でないかを自分の手で切り分けて
   使わなければならないからだ。でも、いったんほとんどすべてのプログラムが
   私たちの書く原稿をオートセーブするようになり、作業中は一時間ごとに原稿
   をファイリングしてくれるようになれば、私たちは仕事の効率の向上と成果を
   失う危険度の減少とを経験できるようになるだろう。私の場合、「再開」機能
   がきっと気に入るに違いない。プログラムをスタートさせた際に、前回と同じ
   書類がすべて前回と同じ状態で開くだけでなく、再起動や、あるいは(まだ間
   違いなく起こるであろう)クラッシュの後にも、システム全体がその前と全く
   同じ状態に戻るからだ。

   それから、例えば Launchpad のように、無視しても何の問題もない機能もい
   くつかある。Launchpad はランチャーだが、長年の Mac ユーザーでアプリケー
   ションの起動に問題を感じていた人はほとんどいないだろう。私たちは既に、
   Dock でアイコンをクリックしたり、Finder でアプリケーションや書類のアイ
   コンをダブルクリックしたり、あるいは LaunchBar などのユーティリティを
   使ってキーボードから起動したりしている。

   だから、私としてはそういった機能のいくつかにちょっとだけワクワクした気
   持ちを持ってはいるものの、圧倒的な魅力を感じることはないだろうという点
   ははっきりしている。長年の Mac ユーザーの多くにとって、Lion で最も重要
   なのは Snow Leopard で目にしたと同じような細かな改良の類いだ。それは、
   近く iOS 5 リリースで登場するような根本的な変更とは大違いで、iOS 5 で
   Apple は、知能のきらめきを欠いていたコンポーネント (Camera アプリや
   Messages アプリなど) や、いつもユーザーたちを困らせていたテクノロジー
   (iTunes 依存や、通知など) の多くを、新たなものに取り替えたり、徹底的に
   見直したりしている。

   でも、それは私たちにとっての話だ。Lion を最も興味深く感じる人たちは、
   この記事を読んでいる皆さんではない。Lion が出荷されたら、新しいユーザー
   か、以前からいつも苦闘していたユーザーを座らせて、Launchpad の使い方を
   教えてあげるとよい。マルチタッチジェスチャーもいくつか教えてあげよう。
   ウィンドウがどこへ行ったか分からなくなった時のために Mission Control
   を説明しよう。初回を除いて、手で保存する必要がないと知らせてあげよう。
   (たぶん Apple は初回の保存についても何か開発中なのだろう。)自分が変
   更した内容も、バックアップも、すべて自動的にディスクに保存されることを
   説明してあげよう。Time Machine をセットアップしてバックアップを管理さ
   せれば、毎度毎度外付けハードドライブを差し込まなくてもよい。ちゃんと働
   いているのだから。

   Lion は、iOS を真似ているのではない。むしろ、クラシックなデスクトップ
   のインターフェイスが向いていない人たちにも iOS を極めてアプローチしや
   すいものとした理由の真髄を、Apple が把握したということなのだ。つまりそ
   れは、大多数の人々に向いているということだ。たいていのスマートフォンで
   従来「ビジネスユーザーだけが好きになれる」ものであったインターフェイス
   を iOS が打ち破ったのと同様に、Lion がコンピューティング体験をテクノロ
   ジーに詳しくない平均的な人々のためのものへと転化させる、ということも十
   分考えられる。さらに、Lion はその方向へ向かう単なる第一歩に過ぎないの
   かもしれない。iOS が指し示すその方向へ、さらにもっと進化したバージョン
   の OS X (もはや Mac という単語は付かない) が登場してくるのかもしれない。

   未来に関する予測はすべて、実際にその時にならなければどうなるか分からな
   い。私としては、新しいユーザーに説明する際デスクトップのさまざまのやや
   こしいインターフェイス慣習にいちいち言い訳せずに済むのは嬉しいと思うし、
   彼らが iOS に慣れるに従って獲得してきたスキルの多くをそのまま持ち込め
   るのも良いことだと思う。けれども、私の Mac から生産性の最後の一滴まで
   を絞り出せることで生計を立てているパワーユーザーとしての私にとっても、
   私の仕事の効率を少しも改善しないような初心者向け機能は全部ただ無視すれ
   ばよいと知っただけでも大いに安心できると思う。


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   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12237#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12237>


iCloud、Dropbox、Elastic Computing について: クラウド入門
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     文: Rich Mogull <rich @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12222>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   Apple が、長らく噂されていた iCloud サービスをついに公表した。どうやら、
   今どきはちょっとマウスを振っただけで必ず「クラウド」なるものに行き当た
   るようだ。この「クラウド」という漠然とした用語は、時としてインターネッ
   トの上で走るものなら何でもこの言葉で表わすことができるという風に思われ
   ている。

   けれど現実には、クラウドコンピューティングという用語には実際はっきりと
   した定義があって、これはメインフレームの時代以来データセンターに襲いか
   かったものの中で、唯一群を抜いて破壊的とも言えるテクノロジーだ。このク
   ラウドコンピューティングに、同じくらい影響力の大きいモバイルコンピュー
   ティングの急成長を組み合わせることで、今や私たちはインターネットの誕生
   時と肩を並べられるほど大きなインパクトを持つ可能性を秘めたテクノロジー
   の嵐の中をさまよっていることに気付かされる。


**クラウド(雲)が形を成す** -- この「クラウドコンピューティング」という
   用語は世に長年漂ってきたが、2006 年に Amazon が Elastic Compute Cloud
   (EC2) サービスを開始しして以後、より明確な形をとるようになり始めた。
   Amazon Web Services の拡張として始まった EC2 では、顧客が Amazon のデー
   タセンターにあるコンピュータを「借りる」ことができる。実際にそれ専用の
   コンピュータを借りるわけではなくて、仮想マシンをブートさせていつまでも
   好きなだけ走らせ続けることができ、Amazon は十分なコンピューティング能
   力とメモリ、ストレージの空きがあるどこかのホストマシンを選んでそれに割
   り当てる。

<http://aws.amazon.com/>

   EC2 は、Amazon がそのデータセンターにあるリソースの利用を最適化するた
   めに開発したテクノロジーの拡張となっている。専用のコンピュータを専用の
   機能に割り当てて使うのは極めて効率が悪い。システムを構築する際には需要
   急騰の可能性にも対応できるだけの処理能力を備えておかなければ、ロードが
   急激に増えた場合にアプリケーションが機能しなくなってしまうかもしれない。
   例えば、自分のサイトが Daring Fireball によってリンクされたためにトラ
   フィックが急騰してクラッシュしたという経験を持つ人も多い。

<http://daringfireball.net/>

   状況によっては、例えば大規模な小売業ウェブサイトで、年末前にショッピン
   グが集中してサイトが止まっては非常に困るというような場合、その時以外に
   は利用されることのない膨大な処理能力を用意しなければならないかもしれな
   い。また、サービス全体の中の個々のシステムすべてで処理能力が必要となる
   ため、配分は均等にならない。例えば、一つ一つのデータベースサーバが需要
   の集中を見越してそれぞれに余分の処理能力を必要とする上に、さらに状況が
   悪化した場合に備えて別途に専用のデータベースシステムも作っておく必要が
   ある。

   EC2 (および Amazon の内部プラットフォーム) はこの問題に対処するため、
   すべてのハードウェアをプロセッサとメモリの一つのプールとして集め、通常
   のオペレーティングシステムではなく「ハイパーバイザ」として走るらせる。
   ハイパーバイザは仮想化を可能にするソフトウェアで「仮想マシンマネージャ」
   とも呼ばれる。Windows、Linux、Mac OS X などのオペレーティングシステム
   がこのハイパーバイザの上で走り、ハイパーバイザがそれぞれの仮想マシンに
   プロセッサタイムあるいはコアを分配し、ストレージやメモリを割り当てる。
   仮想化のお陰で、データベースサーバとアプリケーションサーバを同じプラッ
   トフォーム上で、別々の分離された仮想マシンの中で走らせることが可能とな
   る。それらは同じ物理的サーバの上にあってもよいし、なくてもよい。そのい
   ずれであるかをあなたが気にする必要もない。(TidBITS は去年、私たちのメ
   インの Xserve に問題が起こったのを機会に仮想化へ移行した。2010 年 8 月
   24 日の記事“TidBITS の緊急脳移植”参照。)

<http://tidbits.com/article/11541>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1042.html#lnk3>
   "TidBITS の緊急脳移植"

   仮想化は強力ではあるが、同時にまだ非効率的とも言える。個々の仮想サーバ
   にどれだけの能力を割り当てるかを計画する作業はやはり必要だ。この点につ
   いて私たちは体験から学んだ。(最近起こった TidBITS および Take Control
   サイトの数回の機能停止は、予想外にロードが集中した場合それを処理できる
   よう Apache と MySQL の設定を調整する必要があったことに関係していた。)
   動作中の仮想マシンをシステム終了せずもっと大きなハードウェアへ移動させ
   ることができるなど、気の利いたことも時にはできるけれど、やはりたくさん
   の手動の管理作業が今もまだ必要となる。そして、その点こそが、クラウドの
   魔法が力を発揮するところなのだ。クラウドコンピューティングにおいては、
   すべてのリソースが一つ所にプールされ、プールに貯えられたものの備えと利
   用を、必要に応じて「クラウドコントローラ」が調整し指揮する。

   その動作方法は次のようなものだ。もしも特定のサイズのデータベースサーバ
   が必要となれば、あなたはクラウドコントローラにそれを命じて、どれだけの
   量のメモリやストレージが必要か、どのオペレーティングシステムを使いたい
   かなどの注文を伝える。「イメージ」を注文することさえできる。これはあら
   かじめ設定済みの仮想マシンで、あなたが必要とするアプリケーションがすべ
   て組み込まれており、すべてを一からインストールする必要がない。クラウド
   コントローラは、あなたの注文を満たすことのできる物理的サーバを選択する
   (そのサーバは他のたくさんの仮想マシンも走らせているかもしれない)とと
   もに、そのサーバに対してあなたが注文したイメージをストレージから読み込
   みインスタンスを作成するよう命じる。このコントローラは賢くて、利用可能
   な能力を最も効率的に利用できるように仮想マシンを配置することができる。

   さらに良いことには、殺到した要求を処理するために多数の余分な仮想サーバ
   を開くのではなく、クラウドコントローラは必要に応じて追加の仮想サーバを
   (自動的に、決められたルールに従って)素早くスタートさせ、必要がなくな
   れば素早く終了させる。もしもあなたが多数の異なったアプリケーションをあ
   なたのデータセンターの中で走らせていれば(大企業では何百ものアプリケー
   ションを何千ものサーバで走らせているのが普通だ)それらすべてが同時に高
   い需要度となる可能性は低いので、クラウドコントローラがすべてをうまく指
   揮してあなたのリソースを最も効率的に利用するようにできるわけだ。

   こうして、私たちのデータセンターは、単に多数の独立のサーバが別々に走り
   つつそれぞれが余分の能力を備え、かつ予備のサーバが溢れたロードを処理で
   きるよう控えているという状態を脱して、共有されたハードウェアのプール、
   つまりクラウドの中で、いくつものサーバがそれぞれ必要に応じて動き出した
   り止まったりする状態へと移行したのだ。これが「コンピュート・クラウド」
   と呼ばれるものだが、その他に「ストレージ・クラウド」というものもあって、
   こちらは多数のハードドライブを組み合わせてストレージのプールとして利用
   するためにデザインされている。もしも Amazon がさらなる能力を必要とする
   ようになっても、同社の技術者たちはただ適当にハードウェアを追加して、そ
   こにそれを同社のクラウドに接続するためのソフトウェアをロードするだけで
   よい。あとはクラウドコントローラが、どうすればそれを最大限に使いこなせ
   るかを見出してくれる。これこそが重要なことだ。つまり、あなたが自分です
   べてを手で管理し、個々のアプリケーションやサービスごとにそれぞれ特別の
   設定を施すという必要が、なくなるのだ。

   さて、ちょっと物事を単純化して説明し過ぎたかもしれないが、基本的にこれ
   がクラウドの基盤構造の仕組みだ。Amazon は自らの手でカスタムソフトウェ
   アを作ってすべてを構築しなければならなかったが、今日では、商品化された
   クラウド基盤構造プラットフォーム (例えば VMware) もあるし、またオープ
   ンソースの選択肢 (例えば OpenStack や Eucalyptus) もある。

<http://www.vmware.com/solutions/cloud-computing/>
   (日本語)<http://www.vmware.com/jp/solutions/cloud-computing/>
   "VMware の仮想化によるクラウド コンピューティング サービス: クラウ 
ド インフラス
   トラクチャ"
<http://www.openstack.org/>
<http://www.eucalyptus.com/>


**公の場に出る** -- Amazon にはまだ他の問題もあった。自社のコアビジネス
   のために以前よりはるかに効率的に自社のリソースを使えるようにはなってい
   たけれども、同社は依然として、活動内容の急激な上昇、例えば年末のショッ
   ピングシーズンなどに対応できる予備のハードウェア能力を必要としていた。
   それらのハードウェアは、普段はただ控えているのみだが、必要時にハイパー
   バイザが仮想の指を動かして呼び出せるよう備えているものだ。

   Amazon は、この予備の能力を借りられれば有益だと思う人たちがいるだろう
   というところに目を付けた。(余分の内部サーバを購入せず)新しいアプリケー
   ションを開発するためにも、あるいは永続的な目的のためにも。そこで同社は
   Amazon EC2 をスタートさせ、誰でもクレジットカードと、ある程度の技術的
   知識を持っていさえすれば、Amazon のクラウドの中で自分独自の仮想システ
   ムを走らせることができるようにした。Amazon はまた、それ単独にも EC2 と
   共にも動作できるストレージサービス Amazon S3 と、リレーショナルデータ
   ベースサービス Amazon RDS もリリースした。その他にもいくつか提供したも
   のがあるが、それらはあまりにも難解で情報テクノロジーの専門家でなければ
   好きになれないようなものばかりだ。

<http://aws.amazon.com/ec2/>
<http://aws.amazon.com/s3/>
<http://aws.amazon.com/rds/>

   そこで興味深い問題が発生した。今ではさまざまの人たちがさまざまのアプリ
   ケーションを共通の基盤構造の上で走らせるようになった。けれども、彼らは
   皆、近所の住人たちが自分のサーバを覗き見することは望まない。そのため、
   Amazon は顧客たちを互いに分離する機能を盛り込んだ。あなたが使う仮想サー
   ビス同士をあなたが接続することはできるが、他の人たちのものはすべて切り
   離されている。

   最初のバージョンの EC2 はかなり限定的なものであった。けれども現在では
   多数の異なったことができる。Evite など人気あるウェブアプリケーションや、
   大規模な企業向けアプリケーション、さらには個人のブログなども走らせられ
   る。これらの顧客たちは固定料金を払うのではない。そうではなくて、料金は
   _何を使うか_ に基づいて決められる。ちょうど、電気料金が使った電力量に
   応じて決まるようなものだ。これを「ユーティリティ・コンピューティング」
   という。他の公共ユーティリティを利用するのと同じ形でコンピューティング
   のリソースを利用するからだ。例えば、私の会社は EC2 上で VPN サーバを走
   らせて、コーヒーショップでワイヤレスのインターネット接続をする際にも暗
   号化された接続が持てるようにしている。この仮想 VPN サーバの毎月の利用
   料金は、コーヒー(ラテでなくブラック)一杯と同じくらいだ。

   EC2 は開拓者であったが、今日では他のクラウドコンピューティングサービス
   会社も多数存在している。例えば Rackspace (ここは TidBITS をホストして
   いる) や、Hosting.com などだ。

<http://rackspace.com/>
<http://hosting.com/>


**プラットフォームを築く** -- 今私が説明したのは、いわゆる IaaS (イアー
   ス、Infrastructure-as-a-Service) として知られるもので、そこであなたが
   消費するのはインターネット上に生の状態であるコンピューティング基盤構造
   だ。(あるいはあなたが自分で基盤構造を築くこともできる。)けれどもクラ
   ウドには他にもいろいろのものがある。例えば、あなたが仮想マシンといった
   ものに煩わされることは望まず、ただカスタムアプリケーションを走らせたい
   だけだった場合はどうだろうか?

   そのような需要に応えるために、PaaS (パース、Platform-as-a-Service) と
   呼ばれるサービスモデルが生まれた。これはなかなか奇妙な集合体であって、
   インターネット上のデータベースなどを含むとともに、それを Google のサー
   ビスに接続させることであなたのアプリケーションに Google の機能(例えば
   Maps など)を組み込むことができるようにし、さらにはブログや、カスタム
   Java アプリケーションなどそれだけで完結したアプリケーションも走らせら
   れるようにする。

   例えばブログを例にとって考えてみよう。従来は、自分のブログを共有ホスト
   の上で運営する(その場合は使えるリソースに限界がある)か、または専用の
   ホストか仮想プライベートサーバなどを使う(その場合はあなたがすべてを自
   分で設定しなければならない)必要があった。けれども PaaS があって、そこ
   にブログのプラットフォームがサポートされていれば、あなたはもはや限度容
   量の問題を一切気にしなくてよい。ほとんどの PaaS サービスは IaaS サービ
   スの上で動作していて、PaaS コントローラは単にあなたの必要に応じてリソー
   スを確保するだけだ。あなたはもはや、プロセッサとか、メモリとか、オペレー
   ティングシステムとかいったものを完全に忘れ去ってよく、あなたのアプリケー
   ションを、そのサポートするプラットフォームの上で単に走らせるだけ、その
   プラットフォーム自体が必要に応じて伸びたり縮んだりしてくれる。PaaS の
   実例としては、Microsoft の Windows Azure (.NET ベースのアプリケーショ
   ンを走らせる) や、Amazon の Elastic Beanstalk (Apache Tomcat 用の Java
   アプリケーションをサポートする) がある。

<http://www.microsoft.com/windowsazure/>
<http://aws.amazon.com/elasticbeanstalk/>

   こうして、あなたが必要とするリソースのみを利用する、弾力性あるアプリケー
   ションをあなたは手にできるようになる。もちろん、利用料金はあなたが使っ
   たものに応じて決まるので、あなたのサイトが突然人気を博すれば、あなたの
   許に驚くような請求書が届くことを覚悟しなければならない。


**クラウドソフトウェア** -- では、ローレベルのことがらをすべて忘れて、た
   だ料金を払ってアプリケーションを使うだけにしたい場合はどうだろうか?
   これが SaaS (サース、Software-as-a-Service) と呼ばれ、Amazon EC2 より
   もずっと以前から存在していた。Gmail などのウェブメールサービスや、Yahoo
   Calendar などのオンラインカレンダー、あるいは Salesforce などの高度な
   アプリケーションを使えば、それがまさに SaaS の実例だ。あなたはやはり他
   の顧客たちとリソースを共有するが、あなたの使用するものは他のすべての人
   たちから分離されている。ただ、何かをビルドするのではなく、あなたは既に
   完結したアプリケーションを利用して、使ったものに対して料金を払い、生の
   リソースそのものについては一切考える必要がない。

<https://mail.google.com/>
<http://calendar.yahoo.com/>
<http://salesforce.com/>

   でも、すぐ後で見るように、何かが SaaS サービスであるからといって、必ず
   しもそれがクラウドコンピューティングの実例になるとは限らない。


**クラウドを定義する** -- 今私が説明してきた IaaS、PaaS、SaaS は、いずれ
   もクラウドコンピューティングの _サービスモデル_ だ。あなたが消費するこ
   とのできるサービスを、違ったやり方でそれぞれ山盛りにした一つ一つのもの
   と言える。私はまた主要な二つの _配置モデル_ についても述べた。一つはあ
   なたが内部的に走らせるプライベートクラウドで、もう一つは Amazon Web
   Services や Rackspace のようなパブリッククラウドだ。それ以外の配置モデ
   ルとしては、内部的なリソースに外部のクラウドを予備能力として接続するハ
   イブリッドクラウドや、政府の諸機関など互いに関連あるクループで一つの専
   用のクラウドを共有するコミュニティークラウドがある。

   クラウドコンピューティングの定義はいろいろの異なったものが言われている
   が、最も一般的に受け入れられている定義は NIST (米国標準技術局、U.S.
   National Institute for Standards and Technology) によるものだろう。NIST
   は、三つの主要な部分に分けてクラウドの定義 (PDF リンク) をしている。本
   質的特性、サービスモデル、配置モデルの三つだ。

<http://csrc.nist.gov/publications/drafts/800-146/Draft-NIST-SP800-146.pdf>

   クラウドコンピューティングのサービスモデルと配置モデルについては既に説
   明してきた。また、本質的特性のいくつか(弾力性、サービス使用量の測定、
   リソースのプールなど)についても述べた。それ以外の特性としては、オンデ
   マンドのセルフサービス(誰か他の人があなたのために何かを手で設定する必
   要がない)や、ブロードバンドのネットワークアクセス(それがなければクラ
   ウドへの接続も難しい)がある。

   さて、ここからが定義のちょっと微妙な点だ。技術的に言えば、私たちが「ク
   ラウド」と呼ぶもののすべてが本当に「クラウド」であるわけでは _ない_。
   例えば、SaaS プロバイダの多くは未だに従来型の基盤構造の上で運営してい
   て、要求が増加すればそれを処理するために手でリソースを追加しているのが
   実態だ。つまり、そういうところのサービスは弾力性を欠いている。また別の
   例としては、ブログのホスティングサービスがある。そういうものの多くは、
   個々のサーバごとにそれぞれブログの最大個数を設定していて、それぞれのリ
   ソースに上限を定めている。また、仮想化は使わない。たとえ仮想化を使って
   いても、それは静的な仮想マシンであってクラウドコントローラに管理される
   ものではない。さきほど私が説明したリソースのプールとは対照的だ。

   アプリケーションあるいはサービスがインターネット上にあるからといって、
   必ずしもそれがクラウドコンピューティングを使っているとは限らない。

   他のサービス、例えば Dropbox のようなものは、こういった定義の領域をま
   たいでいる。Dropbox にはウェブインターフェイスがあって、SaaS と似た形
   で機能する(あなたのファイルにアクセスして、例えばファイルの古いバージョ
   ンをダウンロードしたりもできる)けれども、Dropbox はプログラマーがそれ
   を PaaS として利用することを可能にするような API もサポートしている。
   その上、あなたがファイルを Dropbox フォルダに入れて、それがクラウド上
   にミラーされたとすると、これは Dropbox が IaaS として機能していると言
   えなくもない。そう考えてくると非常にややこしいが、ユーザーとしての私に
   とって意味があるのは、自分のファイルが自分のコンピュータ一台一台すべて
   に魔法のように現われるということだけだ。

<http://dropbox.com/>


**クラウドのパワー** -- クラウドコンピューティングの本当のパワーと魔法が
   作用し始めるのはまさにここだ。データセンターの中にあるたくさんのハード
   ウェアから、インターネットを横断して配布されるアプリケーションまで、今
   や私たちは膨大な、グローバルな、リソースのプールを持っていて、私たちは
   それを、必要に応じて、オンデマンドで消費し、まるで電気代を払うかのよう
   にしてその料金を支払うのだ。

   このことに、ブロードバンドのネットワークアクセスとモバイルコンピューティ
   ングとを組み合わせれば、私たちが従来から知っているインターネット、つま
   り電子メールや、ファイル転送、ウェブのブラウズなどが、何だかちょっと時
   代遅れのもののように思えてくる。パーソナルコンピュータにしても、私たち
   はもちろん大好きだが、やはり少し時代遅れの感は否めない。今は、私たちの
   ファイルがすべて、私たちがどこにいても、いつでも好きな時にアクセスでき
   る。私たちの to-do リストやカレンダーが、使いたい機器のどれにも魔法の
   ように同期される。携帯電話でブログを管理していれば、たとえ火の玉に襲わ
   れたとしても、サイトがクラッシュするのを心配したりする必要もない。

   そして、サーバを運営している人たちはどうか? そういう人たちは、余って
   いるハードウェアやソフトウェアをすべて一緒くたに共有プールの中に放り込
   み、その中から必要に応じて必要なものだけを取り出せるようになる。あるい
   は、仮想サーバをクラウドに準備しておいて、それらを iPad で管理し、イン
   ターネットのトラフィックが増えたり減ったりするに応じて膨らませたり縮ま
   せたりできる。すべて自動的にだ。料金は、実際にあなたが使ったコンピュー
   ティングとメモリ、ストレージの量に応じて支払えばよい。

   それから、私たちのインターネットアプリケーションはほとんどどこからでも
   サービスに接続してそれを利用することができる。Microsoft Azure 上でデー
   タベースを走らせ、Google から地図を取り寄せ、訪問者にその人の Facebook
   ID を使ってログインさせられる。インターネットはもはや多数の孤立したサ
   イトの集合体ではなく、互いに結ばれたサービスたちの一つの大きな連鎖であっ
   て、それらを組み合わせればあらゆる種類の興味深い使い道が生まれるものと
   感じられるようになってきた。

   それはまるで、インターネット全体が一つの巨大なリソースのプールとなって、
   私たちがどのコンピュータからも、どのスマートフォンからもアクセスできる
   ようなものだ。


**iCloud とクラウド** -- Apple の MobileMe サービスの現状は、SaaS (電子
   メール、カレンダー、ギャラリー、連絡先) と PaaS (同期、iDisk) との興味
   深い混合形と言える。MobileMe のバックエンドの基盤構造が本当にクラウド
   のプラットフォームであるのかどうか私は知らないが、表面上はクラウドコン
   ピューティングの特性の大部分を満たしている。

   では、発表されたばかりの iCloud についてはどうだろうか。見たところ、
   iCloud は SaaS、PaaS、IaaS のすべてを一つに集めて、Mac OS X と iOS の
   双方をサポートできるものにしたような感じだ。

* 現在私たちが MobileMe で使っているウェブインターフェイスは明らかに SaaS
   であるが、Apple はそれを iCloud で続けるのかどうかまだ明言していない。
   ただ、iCloud にも何らかの形でのウェブベースのアクセスができることはほ
   とんど確実だろう。

* iCloud の諸機能をアプリに統合させるための開発者用 API を見れば、iCloud
   がプラットフォームとしても機能することが分かる。このような形の PaaS は、
   Amazon の Elastic Beanstalk よりもむしろ Google の API に近い。それで
   も、私たちの定義で言う PaaS の範囲内に十分収まる。iCloud では外部の開
   発者たちがそれぞれのアプリケーションを拡張するために Apple のデータセ
   ンターをプラットフォームとして利用することができる。

* iCloud は、ユーザーたちがそれぞれのモバイルおよびデスクトップのオペレー
   ティングシステムにフルに統合させて使える生のストレージを提供することに
   より、IaaS の領域にさえ踏み込むことになる。

   Apple がこれらすべてを組み込むために同社のデータセンターでクラウドテク
   ノロジーを利用しないということもあり得るけれど、消費者の観点から言えば、
   iCloud が私たちの言う本質的なクラウド特性の(全部ではないとしても)大
   部分を満たしていることは確かだろう。そこには弾力性があり、リソースのプー
   ルを用いていて、ブロードバンドのネットワークアクセスをサポートし、フル
   にセルフサービスだ。厳密な意味でサービス使用量の測定がなされるわけでは
   なく、単にサービスの段階分けに依存するのみ(例えば料金を払ってストレー
   ジ容量を追加できる)だが、いずれにしても大多数の消費者にとってはその方
   が手軽だ。(だからこそ私たちは携帯電話の契約で通話数ごとでなく通話時間
   のブロック分けで支払っているのだ。)

   iCloud はまた、デスクトップとモバイルのコンピューティングプラットフォー
   ムを完全に新たな方法で増築したものとなっている。Mac OS X と iOS の両方
   に結び付くことによって、iCloud はコンシューマ向けオペレーティングシス
   テムとデバイスの歴史上最も大幅な進展の一つとなるかもしれない。それは
   Apple の複数のオペレーティングシステムと統合されて、現在全く異なってし
   まっている両端を一つに束ねることができる。もはや、コンピュータ同士の間
   でファイルを移動させる心配をする必要はない。もはや、新しいシステムを手
   で設定する面倒は起こらない。もはや、ハードドライブが故障しても大切な家
   族写真が全部失われることはない。あなたのコンピュータもモバイル機器も、
   もはやあなたのデジタル生活の中心ではなく、はるかに大きなプラットフォー
   ムの、いつでも交換可能な端点となる。iCloud は、最初の一歩からすでにこ
   れらすべての機能を備えているわけではなく、すべての問題に対処できるわけ
   でもないが、その道に向けて進み出していることだけは明らかだ。

   私の Mac たちも、iOS 機器たちも、ある日突然に、それぞれ独立したプラッ
   トフォームであることを止めて、より大きな総体の一部分だという感じを見せ
   始める。それは魔法ではない。ただ、Arthur C. Clarke[訳者注: SF 作家、
   「2001年宇宙の旅」の作者]が言った通り、ある程度以上高度なテクノロジー
   はすべて、魔法と区別がつかないものであり、クラウドコンピューティングが
   それに該当することは疑いを入れない。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12222#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12222>


ExtraBITS、2011 年 6 月 13 日
-----------------------------
     文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12242>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   今週私たちの課外読物となったのは Apple を巡るさまざまなニュースがほと
   んどで、それ以外では Adam が WWDC に関連して Tech Night Owl Live に出
   演し、Mac OS X Lion アプリケーション互換性を追跡する wiki が登場した。
   Apple は引き続き Lodsys に対して iOS 開発者のために立ち上がり、アプリ
   内購入に課していた過度の要件を撤回した。ビデオで見られるニュースとして
   は、Steve Jobs が Cupertino に建設を計画中の新社屋をプレゼンテーション
   している様子をぜひご覧あれ。未来型の本館は一見の価値ありだ。


**Adam、Tech Night Owl Live で WWDC の発表を議論** -- Apple の WWDC での
   発表が何を意味するのかと今も思案しているなら、あるいは少なくとも Apple
   がまだ Mac OS X Lion、iOS 5、iCloud をリリースしていない現時点で分かっ
   ていることをもとに私たちがその意味をどう考えているか知りたいなら、Adam
   がホストの Gene Steinberg と対談した今週の Tech Night Owl Live ポッド
   キャストをどうぞ。

<http://www.technightowl.com/radio/podcast/now-playing-june-11-2011-%E2%80%94-adam-engst-peter-cohen-and-steven-levy/>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12243#comments>


**Apple、Lodsys の特許訴訟で仲介に動く** -- Macworld に移った Lex Friedman
   が、Lodsys による特許侵害騒ぎの最新ニュースを報告する。5 月末に、Lodsys
   は七人の開発者たちに対して訴訟を起こした。(Apple はその七人に含まれて
   いない。)けれども Apple は今回、この Lodsys の訴訟に被告として仲介に
   入ることを求める申し立てを提出した。Apple が Mac および iOS の開発者た
   ちを風にさらされたままにすることを望まず、同社の法務部門の力を駆使する
   ことで開発者たちが Apple プラットフォームの上でそれぞれの製品を開発し
   ても特許訴訟にさらされる心配が起こらないようにしたいと考えていることは
   明らかだろう。

<http://www.macworld.com/article/160462/2011/06/apple_files_intervene_lodsys_lawsuit.html>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12240#comments>


**Apple、アプリ内購読の規約を変更** -- App Store 利用規約に近く変更が施
   され、Apple は出版者たちに対して定期刊行物のアプリ内購読料金を App Store
   外での販売価格と同等もしくはそれ以下にしなければならないとしていた条項
   を撤廃する。2011 年 6 月 30 日をもって、出版者たちはアプリ内での購読に
   自由な価格を設定することができるようになり、またアプリ内購入を全く使わ
   ず購読を提供することも可能になる。ただし、アプリ外での購読を購入できる
   リンクをアプリ内に提供することは今後もできない。

<http://arstechnica.com/apple/news/2011/06/apple-quietly-drops-special-subscription-requirements-for-ios-apps.ars>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12238#comments>


**Lion アプリケーション互換性 Wiki** -- RoaringApps が、数百の Mac アプ
   リケーションをリストした wiki を作って、それぞれの Lion 互換性について
   現時点で知られている情報を示している。誰でもこのリストに項目を追加した
   り既存の情報を修正したりできる。これらの情報は予備的なものである(公式
   な情報源から来たものばかりとは限らない)けれども、来月 Lion にアップグ
   レードするのに備えてディスクの準備を始めようと思っている人たちにとって
   は有益なガイドとなるかもしれない。

<http://roaringapps.com/apps:table>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12236#comments>


**Apple、円形の「宇宙船型」新社屋を計画** -- Apple のデザイン能力がその
   道具類に限られたものと思っているなら、あなたの頭をぐるりと回すことので
   きるものがある。360 度全方位の Apple 建築だ。Cupertino 市議会における
   プレゼンテーションで、Apple CEO の Steve Jobs が計画中の新社屋について
   概要を説明した。円形の本館には 12,000 人の従業員が勤務でき、現在工業オ
   フィスパークとなっている広い一帯を、緑あふれる新しいキャンパスに変える。

<http://www.geekwire.com/2011/steve-jobs-puts-amazing-city-council-meeting-unveils-spaceship>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12234#comments>



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