TidBITS#1083 日本語版

TidBITS Japanese hosoka @ ca2.so-net.ne.jp
2011年 7月 8日 (金) 17:22:38 PDT


TidBITS#1083/04-Jul-2011
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     英語版: <http://tidbits.com/issue/1083>
     日本語版: <http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1083.html>


   Lion が来るぞ! 準備するのが早過ぎることはないので、リリースされたばか
   りの Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to Lion" と、割引価格で
   予約注文受け付け中の Matt Neuburg の "Take Control of Using Lion" をご
   紹介しよう。Lion がやって来ても、必ずしもすべての人が Snow Leopard を
   使わなくなるわけではない。10.6.8 を使っている人は、ぜひ Adam の記事
   で、印刷とオーディオに関する問題点の解決法と、Parallels Desktop および
   PGP Desktop との非互換性に関する注意をお読み頂きたい。その他のニュース
   としては、Michael Cohen が企業向け CrashPlan PRO サービスのリリースを
   伝え、Glenn Fleishman は iTunes Match がマッチしたトラックについて
   DRM-フリーのコピーを作ることを確認する。特集記事では、Jeff Porten が
   Computers, Freedom, and Privacy 2011 カンファレンスから「アラブの春」
   について報告し、Michael Cohen が Sleeptracker 時計をレビューし、Rich
   Mogull は電子機器というものが完全に交換可能となる未来の姿を描き出す。
   今週注目すべきソフトウェアアップデートは Thunderbolt Firmware Update
   と Java for Mac OS X 10.6 Update 5 / Java for Mac OS X 10.5 Update 10
   だ。

記事:
     新刊 Take Control 電子ブックで Lion に備えよう
     企業向けの CrashPlan Pro が、利用可能に
     iTunes Match はロックなしのコピーを作る
     Mac OS X 10.6.8 に印刷とオーディオに関する問題
     CFP 2011: アラブの春か、Twitter 革命か?
     Sleeptracker:夜警を付けて眠る
     未来は使い捨て
     TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 7 月 4 日
     ExtraBITS、2011 年 7 月 4 日


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新刊 Take Control 電子ブックで Lion に備えよう
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12288>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   2003 年に、私たちは Take Control シリーズの船出にあたって Joe Kissell
   の "Take Control of Upgrading to Panther" と Matt Neuburg の "Take
   Control of Customizing Panther" を出版した。それから 8 年近くが経ち改
   訂も 4 版を経て、私たちは今この二冊の電子ブックの第五版を鋭意制作中だ。
   タイトルはそれぞれ "Take Control of Upgrading to Lion" と "Take Control
   of Using Lion" だ。

<http://www.takecontrolbooks.com/lion-upgrading?pt=TB1083>
<http://www.takecontrolbooks.com/lion-using?pt=TB1083>

   もちろん、Lion はまだ出ていない。Apple は 7 月中のどこかの時点でこれを
   リリースする構えだ。けれども Joe と Matt (それにこれらの電子ブックの両
   方とも編集を担当している Tonya) は、連日連夜働き続けて、皆さんが Apple
   の最新の大型猫科動物にスムーズに取り掛かれるよう手助けしたいと努めてき
   た。でも、皆さんがアップグレードの準備を始めるには何も Lion の出荷を待
   たねばならぬ理由はないので、Joe の専門家としての最新のアドバイスをでき
   るだけ早くお届けするためにも、"Take Control of Upgrading to Lion" の最
   初のリリースを出版して、皆さんに読んでいただけるようにした。これを購入
   すれば、Lion が出荷され、Apple が守秘義務契約を解除し次第、無料で 1.1
   アップデートが入手できる。同じ理由で私たちは Matt の "Take Control of
   Using Lion" もその時点になるまでリリースできないが、こちらは現在予約注
   文を受付中で、リリース後直ちにダウンロードできるようになる。

   これら二冊は独立に販売されるが、問題なしにアップグレードして Lion の新
   機能をスムーズに使い始めるためにも、ぜひこの二冊を合わせて活用していた
   だきたいと思う。そこで、二冊一緒の購入ならば 30 パーセントの値引きとす
   ることにした。(定価の合計 $25 のところ $17.50 となるが、この値引きは
   Apple が Lion をリリースする時点までの限定だ!)内容は以下の通りだ。

<http://tid.bl.it/upgrading-using-30-percent-off-bundle>


**Take Control of Upgrading to Lion** -- Lion へのアップグレード作業を、
   今から始めよう。Joe Kissell と一緒に、アップグレード前のソフトウェアと
   ハードウェアの必要なチェックをするのだ。また、万一アップグレードの際に
   悲惨事が起こった場合に備えて最良の方法でバックアップをしたり、役にも立
   たないガラクタをきれいに片付けてたっぷりと余裕のある状態で Lion を使い
   始められるようにしたり、そういった準備についても Joe からのアドバイス
   を読んでおこう。特に、次のようなことについて手引きの説明がある:

* Rosetta とお別れ: Rosetta がなくなるために PowerPC ベースのソフトウェ
   アが Lion では走らないという事実を理解し、回避の方法を探す。

* ハードウェアを管理: ハードウェアを徹底的にチェックして Lion 互換性を
   確認する。また、新しいハードウェアが必要かどうか考える。RAM や、ディス
   ク容量、その他の周辺機器を増設する好機ではないか? とりわけ、Magic
   Trackpad の購入を考えては?

* 複製に対処: ディスク複製とは何かを知り、Lion をインストールする前にあ
   らかじめディスク複製を作っておくのがなぜ重要か、またできるだけ手軽に、
   安価に作る方法は何かを学ぶ。さらに、Mac 上で Boot Camp 経由で Windows
   を走らせている場合には、Windows ボリュームのバックアップ作製法も学ぶ。

* すべてのシステムが異常ないことを確認: Mac をテストして、すべてのハー
   ドウェアとすべてのディスクが正しく動作していることを確かめる。アップグ
   レードの最中に問題に遭遇するよりも、問題を今日発見して修正しておく方が
   はるかに良い。また、不要なファイルやソフトウェアをディスクから消去して、
   心機一転 Lion でスタートできるようにするためのアドバイスもある。

* 細かなこともちょっと考察: もしもあなたが現在ディスクの暗号化を使って
   データや書類をセキュア化しているのならば、あるいは Lion の下でそういう
   ことをしたいのならば、アップグレードの前に何をすべきかについてのアドバ
   イスを読み、Lion で大幅に改良された FileVault がどのように動作するのか
   を学んでおこう。また、パーティション分けについて Joe がどう考えるかを
   読み、インストールの前にどうするのが良いかを知っておこう。

   バージョン 1.0 の "Take Control of Upgrading to Lion" の価格は $10 で、
   現在 66 ページある。Lion の出荷後、私たちが Apple と結んだ守秘義務契約
   が解除されればすぐに、私たちは無料のバージョン 1.1 アップデートをリリー
   スする予定だ。バージョン 1.1 にはインストールの詳しい手順と、アップグ
   レード後に必要となる調整作業、またアップグレードがうまく行かなかった場
   合のトラブルシューティングのヒントも載ることになる。さらに、Lion の走
   る新しい Mac への移行方法や、Lion Server のインストール方法、新しい
   Recovery モードなどの解説も載る。


**Take Control of Using Lion** --  Matt Neuburg はこの "Take Control of
   Using Lion" で、彼の必読著書 "Take Control of Exploring & Customizing
   Snow Leopard" を改訂して、Lion の重要な新機能に深く踏み込むとともに、
   従来からの機能やサードパーティの選択肢で以前よりうまく働くようになるか
   もしれないものについても解説する。いずれも、読者の皆さんが Lion の利点
   を理解し、新しい操作習慣を学び、アップグレード後はスムーズに仕事に戻れ
   るように手助けしたいという目標のために書かれたものだ。扱われる主な話題
   としては次のようなものがある:

* オートセーブ機能を理解し、あなたが自信を持って Lion に保存作業を任せら
   れるようにする。

* 再開機能の動作の仕組みを学び、またクリーンにスタートしたい場合に再開機
   能を無効化する方法を知る。

* 新しい Mission Control 機能を使って Lion をナビゲートする方法を解き明
   かす。

* フルスクリーンモードに入ったり出たりし、また Mission Control を使って
   フルスクリーンのアプリケーション同士を切り替える。

* Launchpad を設定して使いこなす。また、アプリケーションを起動させるため
   の他の方法も知る。

* あなたの Mac をコントロールするために、新しいトラックパッドや Magic
   Mouse のジェスチャーを覚える。

   "Take Control of Using Lion" はその他にも Lion についてたくさんの重要
   な疑問に答える。例えば:

* スクロールバーはどこへ行った? どうすれば取り戻せるのか?
* Finder ウィンドウのサイドバーの文字を大きくするには?
* 私のユーザライブラリフォルダはどこへ行った? どうすれば簡単にアクセス
   できるのか?
* Finder ウィンドウで項目を並べ替える方法は?
* サイドバーにある All My Files という項目はどういう意味?
* システム環境設定の「アピアランス」パネルと「アカウント」パネルはどこへ
   消えた?
* アクセント付き文字を入力するために新設された楽しい方法って何?
* マウスポインタのアイコンの大きさを変更するにはどうする?
* スクリーンの一部だけをズームさせる方法はあるのか? (ある!)

   $15 で予約注文して頂くこの「電子ブック」は現在たった 1 ページしかない。
   これは単なるプレースホルダーで、これを使ってフルの "Take Control of
   Using Lion" を、リリースされ次第すぐに入手できる。私たちとしては Apple
   が Lion をリリースし、私たちとの守秘義務契約を解除し次第、フル版を出版
   したいと考えている。理想的には、Lion が出荷されたその日のうちにできれ
   ばよいと思う。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12288#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12288>


企業向けの CrashPlan Pro が、利用可能に
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   文: Michael E. Cohen <lymond @ mac.com>
   原文記事: <http://tidbits.com/article/12285>
   訳: 柳下 知昭 <tyagishi @ gmail.com>

   Code 42 Software は、CrashPlan Pro をリリースした、それは、新しいバッ
   クアップのソフトウェアであり、SMB マーケット(頭文字に慣れていない人の
   ために説明しておくと、中小規模のビジネス"small and midium-sized
   businesses" の頭文字である)を対象としたサービスでもある。10 台より少な
   いコンピュータの個人データをバックアップする個人ユーザー向けの
   CrashPlan+ と数百台もしくは数千台ものコンピュータを持つような巨大企業
   向けの CrashPlan PROe に追加するかたちで、CrashPlan Pro は、200 台以下
   のコンピュータを使用している企業や組織向けに設計されている。(CrashPlan
   + の詳細は、2010 年 12 月 7 日付けの記事"CrashPlan+ 3.0 に機能追加と価
   格変更"を参照のこと)

<http://www.crashplan.com/business/>
<http://tidbits.com/article/11805>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1056.html#lnk3>
   "CrashPlan+ 3.0 に機能追加と価格変更"

   その姉妹製品と同じように、CrashPlan Pro は、クロスプラットフォーム
   (Mac/Windows/Linux/Solaris) でのローカルとオンライン両方のバックアップ
   を提供する。そして、CrashPlan+ のように、CrashPlan Pro は、クラウド
   ベースでのサーバーへのセキュアで暗号化されたバックアップを提供し、イン
   ターネットへアクセスが可能なほとんどの場所から、個々のユーザーが復元で
   きる機能を提供する。しかし、CrashPlan+ とは異なり、CrashPlan Pro は、
   比較的 IT 知識の無い管理者でも、ユーザーとコンピュータをバックアッププ
   ランへ割り当てたり、バックアップの進捗や統計をモニタしたりすることがで
   き組織のバックアップを管理するためにウェブベースのダッシュボードを使用
   することもできる。

<https://www.crashplan.com/business/features.html#online>

   CrashPlan Pro の価格は、バックアップするコンピュータの台数と用意する
   バックアップストレージの量に応じて変わる。企業は、特定台数のコンピュー
   タを無制限にバックアップするプランと特定のバックアップストレージ容量を
   無制限の台数のコンピュータで共有するプランの中から選択することができ
   る。ユーザーのニーズに応じた最良の契約を見付けやすいように、CrashPlan
   は、簡単なオンラインツールを提供していて、そのツールを使用することで、
   見込み客は、企業の設備に応じた最適なプランを見付けることができる。

<https://www.crashplan.com/business/store.vtl>

   CrashPlan Pro は、米国とカナダでは利用可能であるし、今年の末までには、
   世界中で利用可能となると思われる。30 日間の無料試用も可能である。

<https://www.crashplan.com/business/signup.html>


    ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12285#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12285>


iTunes Match はロックなしのコピーを作る
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     文: Glenn Fleishman <glenn @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12291>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   Apple は最近曖昧さと不正スタートに苦しんでいる、例えば、MobileMe の終
   結をそのニュアンスを説明できる資料が整う二週間も前に発表したり ("アッ
   プルが、MobileMe から iCloud への移行詳細を説明" 24 June 2011 参照)、
   或いは  Final Cut Pro X をプロの顧客からの分かり切った質問に対する答え
   を公開する数日前に出荷したりという具合である。

<http://tidbits.com/article/12280>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1082.html#lnk1>
   "アップルが、MobileMe から iCloud への移行詳細を説明"
<http://www.apple.com/finalcutpro/faq/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/finalcutpro/faq/>
   "アップル - Final Cut Pro X - よくある質問にお答えします。"

   同じことが iTunes Match にも言える、これは来たるべき iTunes in the
   Cloud ("iCloud の出現で、長期予報は嵐を予想" 6 June 2011 参照) の一部
   となる新しい購読サービスである。Apple によれば、 iTunes Match に加入す
   れば、年間 $25 を払うことで iTunes Store から購入しなかった楽曲も全て
   iCloud 経由であなたの種々のコンピュータや iOS 機器に同期出来るようにな
   るという。しかしながら、あなた独自の曲の 100% をアップロードする代わり
   に、Apple は種々のメタデータと音声照合アルゴリズムを使って、あなたの
   持っている曲がその 18 百万項目に上るカタログにある一つと同じかどうかを
   調べる。

<http://www.apple.com/icloud/features/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/icloud/features/>
   "アップル - iCloud - あなたのすべての音楽を、すべてのデバイスに。"
<http://tidbits.com/article/12232>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1079.html#lnk6>
   "iCloud の出現で、長期予報は嵐を予想"

   この照合が終わった後どうなるのかが混乱の元であり、Apple もどちらとも取
   れる説明をして来た。iCloud を宣伝するその Web サイトでは、Apple は引き
   続き次の様に言っている:

       あなたが iCloud にアップロードする必要があるのは、残りの一致しな
   かった曲だけです。これなら一から始めるよりも、ずっとスピーディーでしょ
   う。iTunes とマッチするすべての曲は、もともと持っていた曲の音質が低く
   ても、すべて 256 Kbps の iTunes Plus クオリティで再生されます。

   我々は、Apple がマッチしたファイルには digital rights management (DRM)
   暗号化を適用するのだろうかと疑問に思った。さもなくば、誰かが一年間だけ
   $25 を払って持っている曲全てをマッチさせ、そしてより高品位のファイルを
   手にして永久にバイバイするのをどうやって防げるのだろうか? 答えはある
   べきところに既にあった、そしてそこは私もチェックすべきであった:それは
   6 June 2011 に出されたプレスリリースであるが、私が知ったのは Apple が
   その Web サイトのプレス関係の所にある既存のリリースに対するリンクを変
   更してからである。

<http://www.apple.com/pr/library/2011/06/06Apple-Introduces-iCloud.html>
   (日本語 
)<http://www.apple.com/jp/pr/library/2011/06/06Apple-Introduces-iCloud.html>
   "Apple (日本) - Apple Press Info - Apple、iCloudを発表"

   このプレスリリースでは、Apple は何が起ころうとしているのかについてはっき
   り理解できるようにしていた。これはその日に出された膨大なニュースのお蔭で、
   多くの人が掴み得なかったものでもある。関係する部分:

       また、iTunes から購入したものでない音楽についても、iTunes Match を
       使って同様の恩恵が受けられます。iTunes Match はユーザの iTunes 以
       外で入手した音楽が、800万曲を超える iTunes Store で提供中の楽曲と
       合致する場合には、それを 256kbps AAC DRM フリーバージョンと差し替
       えるというサービスで、(何週間もかけて手持ちの音楽ライブラリ全体を
       アップロードする代わりに)合致した音楽は数分で入手でき、合致しない
       残りのごく一部の音楽のみがクラウド上へアップロードされます。

       これがそうである。水準に達していないあなたのリップしたファイル全て
       を Apple とレーベルが提供する最善のものへとアップグレードすること
       が - 例えば、あなたの FLAC (Free Lossless Audio Codec) バージョン
       を入れ替えるのではなく - 実質的には一回限りの $25 の料金で可能にな
       る。これはやり方としても正しい方法だし、我々の様に、私自身も含め
       て、何年も前により低品質で自分の CD をリップした輩に対しては極めて
       嬉しい贈り物である。

     ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12291#comments>
   Twitter リンク:<http://tidbits.com/t/12291>


Mac OS X 10.6.8 に印刷とオーディオに関する問題
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     文: Adam C. Engst <ace @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12292>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   これはまるで、Apple が来たるべき Mac OS X Lion のリリースにあまりにも
   注意を向け過ぎて、最近数回の Mac OS X 10.6 Snow Leopard のリリースに対
   するテストが同社のいつもの品質に達していなかったのかと思えるほどだ。前
   回の 10.6.7 にはフォントの問題があって、デザインのプロたちが憤慨のあま
   りいきり立った。(2011 年 4 月 26 日の記事“アップル、Snow Leopard Font
   Update をリリース”参照。)そして今、リリースされたばかりの 10.6.8 も
   また、多くの問題を抱え込んでいる。印刷、オーディオ、活動過多の Dock の
   CPU 使用、PGP Desktop ユーザーが起動できないことなどを巡り、さまざまの
   問題をユーザーたちが報告している。(2011 年 6 月 24 日の記事“Mac OS
   X 10.6.8 アップデートが Lion に備える”参照。)

<http://tidbits.com/article/12131>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1075.html#lnk0>
   "アップル、Snow Leopard Font Update をリリース"
<http://tidbits.com/article/12276>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1082.html#lnk0>
   "Mac OS X 10.6.8 アップデートが Lion に備える"


**印刷の問題** -- 10.6.8 に関係した問題点のうちで最も目立つのは、印刷を
   巡る問題だ。プリントキューが頻繁に一時停止したり、system.log をコンソー
   ルで読むと以下のような "backend" エラーが出ていたりする。

       printer-state-message="/usr/libexec/cups/backend/lpd failed"

   Apple Discussions フォーラムのスレッドには解決法の可能性が多数提案され
   ている。アクセス権の修復から、印刷システムのリセット(システム環境設定
   「プリントとファクス」でプリンタ名を Control-クリックし Reset Printing
   System を選ぶ)まで、提案はさまざまだが、現時点で最も効果的な解決策は
   Repair10.6.8 と呼ばれる AppleScript ベースのアプリケーションであった。
   基本的にこれは、四つの Unix アプリ、dnssd、ipp、lpd、socket の古いバー
   ジョンをコピ−して 10.6.8 がインストールした新しいバージョンを置き換え
   る。私自身は問題を経験しなかったのでこれがどの程度うまく働くのか個人的
   にコメントすることはできないが、フォーラムのスレッドでは数多くの人たち
   がうまく行ったと報告していた。

<https://discussions.apple.com/thread/3137602?start=0&tstart=0>
<http://www.geocities.jp/horiemonmail/Repair10.6.8.dmg>
<http://tidbits.com/resources/2011-06/Repair10.6.8.png>


**オーディオの問題** -- Apple Discussions フォーラムにはさまざまの種類の
   オーディオの問題についても数多くの苦情が寄せられている。問題点の詳細は
   さまざまだが、どうやら解決法はすべてのケースで同一のようだ。それは、
   10.6.8 がインストールした AppleHDA.kext カーネル拡張(私の Mac にある
   ものはバージョン 2.0.5)を、10.6.7 がインストールしたもの(バージョン
   1.9.9、ただしこれはより新しいバージョンのものと同じ作成日を持つ)で置
   き換えるというものだ。Time Machine を使えば、AppleHDA.kext ファイルを
   戻すのも簡単にできる。場所は /System/Library/Extensions だ。

<https://discussions.apple.com/thread/3139275?start=0&tstart=0>
<https://discussions.apple.com/message/15523237#15523237>


**Parallels / Dock 非互換性** -- Parallels Desktop ユーザーの多くから、
   Mac OS X 10.6.8 にアップデートして以来 Dock プロセスが CPU を 100 パー
   セント占有するようになってパフォーマンスに重大な支障が生じた、という報
   告が届いている。この問題は、Windows アプリケーションが Dock に現われる
   ようにするという Parallels Desktop のオプションに関係している。(具体
   的には、128 × 128 ピクセルよりも大きなアイコンに関係している。)この
   問題を解決した Parallels Desktop 6.0.12092 にアップデートすることがで
   きるし、あるいは Parallels Desktop で個々の仮想マシンについて Windows
   アプリケーションを Dock に表示しないよう設定し直してもよい。

<http://kb.parallels.com/111541>


**PGP Desktop での起動問題** -- PGP Desktop のバージョン 10.1.2 より前の
   ものを使っている人は、10.6.8 をインストールして以後 Mac がブートしない
   という事態に直面した。原因は、Apple の Software Update ユーティリティ
   が、ディスク全体の暗号化に関し決定的に重要な意味を持つブートファイルを
   インストールの際に上書きしてしまうからだ。PGP では、Mac OS X 10.6.8 を
   インストールする前に少なくともバージョン 10.1.2 にアップグレードするよ
   う勧めている。ただ、もしも電車がもう駅を出てしまったのなら、いくつか簡
   単な手順を踏んで boot.efi ファイルを必要な pgpboot.efi ファイルで置き
   換えることができる。それでもうまく行かない場合は、まず PGP Whole Disk
   Encryption Recovery CD を作ってから、それを使ってアップグレードするか、
   またはあなたのディスクを復号化することもできる。

<http://www.symantec.com/connect/blogs/mac-users-upgrading-os-x-1068-you-want-read-first>
<https://discussions.apple.com/message/15520951#15520951>
<http://www.symantec.com/business/support/index?page=content&id=TECH152610>
<http://www.symantec.com/business/support/index?page=content&id=TECH163224>


**その他の問題** -- その他の苦情も、私はいくつか聞いたことがある。例えば
   ブートに時間がかかるようになったとか、奇妙なカラーが出るとかいうものだ。
   その多くは単に個別事例に過ぎないもの(だからと言って本物の問題でないと
   いうわけでなく、ただ数多くの人たちに影響を与えてはいないだけ)のようだ。
   それでも、Mac OS X のアップグレードをした後で不可解な問題が出現した場
   合に採るべき解決策として定評あるのは、統合 (combo) アップデータをダウ
   ンロードしてインストールするという方法だ。

   Mac OS X 10.6.8 Update Combo (統合アップデート) には 10.6.0 以来のすべ
   ての変更点が含まれており、ダウンロードサイズは 1.09 GB だ。うまく行か
   なかった 10.6.8 インストールの上に直接統合アップデートをインストールす
   ることもできるし、もしすべての方法が失敗したならば、まず Snow Leopard
   を適切な Install DVD(もしもあなたの Mac が 10.6.0 より新しければ、そ
   の Mac に付属していた DVD)から再インストールし、それから統合 (combo)
   アップデータを使って 10.6.8 にすることができる。

<http://support.apple.com/kb/DL1399>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1399?viewlocale=ja_JP>
   "Mac OS X 統合アップデート 10.6.8"


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12292#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12292>


CFP 2011: アラブの春か、Twitter 革命か?
-----------------------------------------
     文: Jeff Porten <jporten @ gmail.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12260>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   Computers, Freedom, and Privacy 2011 カンファレンスのパネルディスカッ
   ションで、「アラブの春 (Arab Spring)」におけるオンラインメディアの役割
   が議論されたが、皮肉なことにそこには一人の人物が欠けていた。予定されて
   いた講演者の一人で、バーレーンで民主的自由のために働いている人物が、カ
   ンファレンス出席のための米国ビザ受領が遅れたため出席できなかったのだ。
   でも、出席できた残りの四人は素晴らしいディスカッションを展開して、中東
   においてインターネットがいかに利用され、また悪用されているかを論じた。

   Deborah Hurley はチュニジアの状況について、1987 年から今年の 1 月まで
   大統領であった Zine El Abidine Ben Ali(ただし彼の職名には皮肉を込めて
   引用符を付けるべきなのだろうが)の最近の没落に至るより以前の同国につい
   ての背景を語った。Hurley は国連の World Summit on Information Society
   による代表団の一員であり、チュニジアにおける人権を巡っての IT の役割を
   調査して、同国が彼女の言葉によれば「地球上で最も抑圧的な場所の一つ」で
   あると結論づけた。それにもかかわらず、チュニジアは米国でも一般にあまり
   知られておらず、ヨーロッパでさえも安価に海岸で休暇を過ごせる場所という
   程度の認識しか得られていなかった。

   チュニジアは、アラブ世界でも最も識字率の高い国の一つであり、植民地時代
   以後初代の政府の政策のお陰で、女性の教育レベルと就職率が中東の他のいか
   なる国よりもはるかに高い。このことは両刃の刃を生んだ。一方では、情報テ
   クノロジーが一般大衆に広く浸透する結果となり、その一方では政府がコミュ
   ニケーションを規制し監視できる際限ない能力を与えられる結果ともなった。
   誰がどの大学に入学し、どこにどれだけ求人があるかを、政府が完全に掌握し
   ていた。それは主として、人々が公私にわたり政府と合意を結ばされていたか
   らだ。けれども、チュニジアは米国の同盟国であったので、米国政府も、他の
   西欧諸国の政府も、そうした問題点を見過ごしていた。

   Hurley の後には Moez Chakchouk が講演した。彼は Tunisian Internet Agency
   (ITI) の新しい CEO だ。これは、それ自体驚きであった。なぜなら ITI は基
   本的に、Ben Ali の下で国家的抑圧の主要な力となっていた側の組織だったか
   らだ。Chakchouk は講演の初めに、前政権の下では、彼はチュニジアの市民と
   しても、また政府の代表者としてもこのカンファレンスに出席することはでき
   なかったろうと述べた。カンファレンスを話題にすること自体、また人権問題
   が危機的状態にあるかもしれないという考え方自体が、議論の対象として禁じ
   られていたからだ。

   古い ITI の下では、404 error、これは世界の他の国ではウェブの「ファイル
   が見つかりません」警告として知られているものだが、これはむしろそのサイ
   トのコンテンツに対するチュニジア政府からの警告メッセージである可能性が
   高かった。ITI は、チュニジアの内部で唯一の情報テクノロジー源であって、
   従ってあらゆるインストールとモニタリングとに完全な支配力を持っていた。
   もしもあなたが古いチュニジアでインターネット上にいれば、あなたはそれを
   政府との契約の下にしていた。現在の Chakchouk の職務は、常時監視される
   脅威のない新しいテクノロジーを実施することだ。

   Electronic Frontier Foundation の Jillian York が、その議論をエジプト
   や他の中東諸国へとさらに展開した。「アラブの春」動乱を経験している他の
   国々には、二つのタイプの失敗のモデルが見られる。チュニジアは強固な弾圧
   を試み、その後 Ben Ali が地位を放棄せざるを得なくなった日のほんの前日
   に至って、人々の怒りを静める最後の手段として監視を中止した。エジプトは
   単純にインターネットを止めていたが、その後この行動が文字通り人々を道路
   に溢れさせた結果、止めていたスイッチをオンにせざるを得ない状況に追い込
   まれた。

   でも、暴動を経験した他の国々は、そのような戦術でなく、好ましくないこと
   をオンラインで発言した人をとにかく誰でも逮捕する、という手段に打って出
   たように見える。ビデオ共有サイトは概して停止させられ、そのことが多くの
   人々の目を Facebook に向けさせる原動力となった。それは必ずしも Facebook
   自体が現実に理想のプラットフォームであったためではなく、むしろアクセス
   できるところが残っていればそれが目的地となるということだろう。

   York は、それまで政治に無関心であった人々の中から全国レベルの大激変が
   生まれてくるためには、きっかけとなる核心問題が存在するのだという。その
   一つが政府による検閲であり、もう一つが反政府活動のために拘束された人々
   に対する拷問の使用だ。けれども、最先端技術を使用する国であるエジプトや
   チュニジアでの実例が、そのまま他の国にも当てはまるわけではない。リビア
   では、Qaddafi 政権がインターネットを完全に止めてしまう以前にも、人口の
   およそ 5 パーセント程度しかオンラインにいなかった。シリアではその割合
   が 20 パーセントに上るが、ここは政府が人々を逮捕してパスワードを要求す
   るような国なので、私たちに聞こえてくる統計数字が反体制派の意見を反映し
   たものなのか、それとも単に政府が仕込んだ情報に過ぎないのか、判断が難し
   いこともある。

   パネリストの Nasser Weddady は American Islamic Congress から参加した
   が、このような悪用が続くのを許してきた西欧諸国の政府、ならびにマスメディ
   アを強く非難した。彼の仕事はこれらのオンラインでの動きを現実世界の成果
   へと橋渡しするために、草の根の民主化運動を、国際的メディアや市民社会団
   体と協力して働けるための既知の方法へと結び付けようというものだ。各地の
   活動家の間では、マスメディアは何の助けにもならないという考えが浸透して
   いる。活動家たちが独自の力で非常に多人数のまとまりを構築しない限り、伝
   統的なメディアは彼らを無視する傾向が強い。それより大きな流れとして、少
   なくとも今年の時点では、世界のメディアがソーシャルネットワークを貴重な
   情報源と見なし始めているという事実がある。けれども、たとえそれがまだ実
   現していなかったとしても、Twitter や Facebook で大きなネットワークを構
   築した個人ならば、自分のネットワークを活用することによって、逮捕されな
   いための備えとしたり、あるいは政府が他の方法で自分を黙らせたりするのを
   予防したりする目的で利用することもあり得る。

   草の根レベルでの組織化の努力は、従来は国内の他の市民たちに向けた努力で
   あった。けれども今は、世界中の伝統的メディアの制作者たちや、それらの読
   者たちまでをもそのターゲットに含みつつある。抑圧的な政府に対して、国際
   的な圧力をかけたいというのがその狙いだ。Weddady はこれを "weaponizing
   hashtags" (ハッシュタグの兵器化) と呼んだ。York もそれを受けて、いくつ
   ものアメリカの会社、例えば Websense、Cisco、Narus といったところが築い
   たテクノロジーをこれらの政府が人々を抑圧するために利用していると述べ、
   だからこそ私たちは、あからさまにアメリカの理想を破壊しつつあるこれらの
   会社がいったいなぜ受け入れられているのかという疑問の声を公の論議の場で
   挙げていかなければならないのではないか、と訴えた。

   Weddady はこんな話題にも触れた。ある時彼は、冗談めかして同僚たちに「今
   度新聞記者が電話をかけてきて "Twitter 革命" について話が聞きたいと言っ
   てきたら、俺は自殺でもしようか」と言ったそうだ。これこそまさに、マスメ
   ディアがアラブの春の本当の姿を捉えようとせず、自分たちの勝手な物語を作
   り上げてそこに挿入していることの証拠ではないかというわけだ。革命の個々
   の内容は国によって大きく異なっているのであって、伝統的なメディアの記事
   も、それらの地域から届くソーシャルネットワーキングの情報も、それぞれの
   国に応じた、地域の事情に応じた文脈で理解される必要があるのだから。


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Sleeptracker:夜警を付けて眠る
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     文: Michael E. Cohen <lymond @ mac.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12245>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   私が赤ん坊の様に眠れたのはずっと昔のことになる (午前 3 時に目覚めた
   り、おむつを取り替えてほしいと泣いたりはしないが、平和にしっかりと眠れ
   たこともない)。それで Sleeptracker Elite 睡眠相モニタを試す機会があっ
   た時、私は興味をそそられた。この機器は私の睡眠習慣と睡眠の質の両方をモ
   ニターしそして改善するのを手助けすることを約束していた。この種の時計は
   少なくとも 2005年以来各種生産されているというのは心強い話だと思った:
   試しとは言え、私は私の貴重な睡眠時間を実績もない新しい技術のために費や
   す気はなかった。事実、 Andrew Laurence が最初に Sleeptracker について
   TidBITS に "Sleeptracker: Dick Tracy はこう眠る" (11 July 2005) と題し
   て書いたのは約 6 年前になる。

<http://www.sleeptracker.com/>
<http://tidbits.com/article/8168>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-787.html#lnk6>
   "Sleeptracker: Dick Tracy はこう眠る"

*核となる概念** -- Sleeptracker はあなたの睡眠を見守る腕時計である。こ
   れには加速度計が組み込まれており、あなたの睡眠中の動きをモニターしそし
   てあなたが最も眠りの浅い期間を記録する (この時計に付いているマニュアル
   ではこの期間を "睡眠のより浅い段階" と呼んでいる)。

   毎朝目覚めた時 (実際のところ、その日の如何なる時間でも) この時計のボタ
   ンを押すことで、前夜の浅い睡眠期間の記録をチェックしどの様に眠ったかを
   見ることが出来る。もっともより有用なのは、あなたの睡眠パターンの長期的
   なプロファイルを作成出来る能力である:Sleeptracker の睡眠パターンデー
   タを、ダウンロード出来る Mac ソフトウェアと付属の USB コネクタクランプ
   とケーブルを使って Mac に転送でき (ケーブルとソフトウェアについては更
   に下記で論ずる) そして、眠りの神の腕の中でのあなたの経験の長期に亘る注
   釈付の記録を保持出来る。

   Sleeptracker の目覚まし機能は何時あなたを起こすべきかを決定するために
   この時計の加速度計を利用する:決められた時間ピッタリに起こす代わりに、
   Sleeptracker はある幅の時間帯 (デフォルトは 20 分だが、変更できる) を
   持ちそしてその時間帯の中で最も浅い睡眠期が感知された時に警報 (音、振
   動、或いは両方) を鳴らす。考え方は、ほとんど起きている状態の時に起こさ
   れる方が頭がボーっとした感じが少なくそしてその日の課題に立ち向かう気分
   になれるというものであるらしい。


**技術と共に眠る** -- 私が受け取った時計は紳士用の Sleeptracker Elite
   で、大きくかなり嵩張る時計でゴム引きのバックル型のストラップが付いてい
   る。運動する時に身に着けるものの感じで、眠る時のものではない。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/sleeptracker_front.jpg>

   マニュアルは、側面に付いている四つのボタンを使ってこの時計をどうやって
   設定するのかについては比較的明快である。しかしながら、このマニュアルに
   は目覚ましアラームをどうやって止めるかについて書いては _ある_ が、この
   大事な情報ははっきり分かるようには目次化されていないので、最初の朝、こ
   れを止めようと眠気の中で数分もの間やみくもにボタンと格闘し、一方ではか
   すんだ目で正しいボタンを見つけるためマニュアルを繰らなければならなかっ
   た。

   この時計のディスプレイ自身は大きく明確な文字を使っており、多少遠視の人
   でも読めるのではないかと思われる;眠る時には老眼鏡はかけないであろうと
   いう前提での話であるが (少なくとも私はかけない)、この大型のディスプレ
   イは夜中に目を覚まして時計を見たいという時には役に立つであろう。

   最初の夜 Sleeptracker を身に着けて、私は目を覚ました - それも頻繁に。
   私は一種の恐怖の眠気と言えるものを経験した:この嵩張る金属とプラスチッ
   クの機器を身に着けたまま眠りにつきそして眠りを継続するのは困難であると
   思った。そして、目が覚めていない時には、これを身に着けている夢を見た。
   しかしながら、その後の数夜は、もっとましに眠れた。

   私の目覚めている期間を記録することに関して言えば、この時計は私が身に着
   けて寝た四日とも正常に働いたように見える。毎朝睡眠記録を時計の上で直接
   見るのは、時計のボタンを使ったインターフェース経由でも問題なく感じた
   し、そして前夜の記録の最後に置かれた平均化された深い睡眠要約は有益であ
   る。

   しかしながら、四回の朝のうち二回は目覚ましは全く鳴らなかった。一回は、
   そのために朝の約束に殆ど間に合わないところであった。目覚ましが鳴った二
   日は、目覚め時のぼんやりさがいつもよりひどいかどうかをはっきり自覚する
   ことは無かった。

   当初私はこの Sleeptracker を少なくとも一週間は試してみようと思っていた
   が、この時計の裏が肌に接する部分が少し赤くただれてきたのを見た時、この
   実験は中止することにした。私は通常寝る時にプラスチックや金属の物を身に
   着けることは無いので、この特定の時計を構成する材料に異常反応を持ってい
   るのか、或いはどんな時計でも同じ効果をもたらすのかは分からない。


**ソフトウェアとケーブルを使う** -- Sleeptracker はその睡眠データベー
   スソフトウェアとして Windows バージョンをしばらく前から持っていたが、
   Mac バージョンは出したばかりである。パッケージにはどちらのプラット
   フォーム用のソフトウェアも含まれていないが、どちらも同社のサポートペー
   ジから簡単にダウンロード出来る。

<http://www.sleeptracker.com/sleeptracker_support_s/44.htm>

   Mac バージョンのソフトウェアは最小主義である。これは、あなたの睡眠記録
   をマニュアルで或いはインポート経由で記録させてくれ、そして各晩の睡眠に
   ついてのメモを記録させてくれる。また "睡眠因子" と呼ばれる情報も含ませ
   ることが出来る:睡眠因子は質問の形で提供される、例えば "昨夜、寝る前 1
   時間内にビデオゲームをしましたか?" という具合である。しかしながら、こ
   の睡眠因子に対する毎日の答えは個々の睡眠記録に関連付けることが出来る
   が、このプログラムにはこれらを使うための解析ツールが提供されていない。
   あなたの睡眠記録は簡単に CSV (comma-separated-value) テキストファイル
   としてエクスポート出来るので、Numbers や Excel にすぐインポート出来
   る。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/sleeptracker_application.png>

   このソフトウェアを使うことに関する最も苛立たしい部分は、最新の睡眠記録
   情報を時計から Mac に転送しようとする時である。この時計には mini-USB
   ポートが付いていない;代わりに、背面に一列に並んだ三つの接点がある。あ
   なたは提供された USB ケーブルでこれらを使うのである。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/sleeptracker_back.jpg>

   この USB ケーブルは、一端に通常の USB プラグが付いており、そしてもう一
   端には三つの歯を持ったワニ口クリップが付いている。これらの歯が、このク
   リップで時計を挟めば時計の背面に付いた金属接点と合わさるよう設計されて
   いる。しかしながら、この合わせの作業は結構微妙で少々の慣れが必要であ
   る。

<http://tidbits.com/resources/2011-06/sleeptracker_usb.jpg>

   これ自体はそう大きな問題ではないのだが、このソフトウェアは時計と USB
   の接続を立ち上げられた時にしか探さない。従って、データを取り出すには、
   まず時計を挟み込んで、それからソフトウェアを立ち上げなければならない。
   もしこれらの接点にきちんと合っていないと、まずソフトウェアを終了し、ク
   ランプを再調整し、それから再立ち上げを行わなければならない。これは、朝
   の最初のコーヒーの前にしたい類の経験ではない。

   私は小さいながらもう一つこのソフトウェアの問題に遭遇した:それは一貫し
   て毎日の記録に 1 日ずれた日付を付けるのである、例を挙げれば、私の 5月
   31日から 6月1日の睡眠記録には 6月2日と日付が付いてしまうのである。


**結論** -- Sleeptracker は、考えは良いが実行はいまいちと私には思え
   る。体験を改善するには、より小型で、軽く、着け心地の良い時計にするのが
   手始めであろう。そしてソフトウェアもより良い、寛容なものが望まれる。さ
   らに重要なのは、この時計のデータを取り出すのにもっともっとましな方法が
   必要である:ワニ口クランプケーブルは真にダサいやっつけ仕事にしか見え
   ず、$179 もする時計からは想像出来るようなものではない。

   私としては Sleeptracker を好きになりたいとは思ったが、私の心労というほ
   つれた袖を編むには別の編み針を探さねばならないようだ。


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   未来は使い捨て
   --------------
     文: Rich Mogull <rich @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12281>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   パーソナルコンピュータが大量に私たちの家庭に入り込み始めた時代、私たち
   はハードディスクが壊れるとか、システム設定が失われるとかいう類いのこと
   を心配したりはしなかった。当時のデジタル生活はフロッピーの箱と共に到来
   し、それがコンピュータの奥深くただ一つの場所にしまい込まれ、いずれ機能
   停止の憂き目に遭うなどということを誰も考え付かなかった。バックアップは
   フロッピーをコピーするだけの単純な作業で、自宅でも仕事場でも、あなたが
   起動させるコンピュータはすべて、同じ会社の製品である限り全く同じに見え、
   全く同じに動作した。

   ところがハードディスクの出現により、デスクの上にあるその箱があなたのコ
   ンテンツを吸い込むブラックホールとなり始めた。少しずつ、まるでことわざ
   に言うフライパンの中の蛙のように、私たちはそれまでポータブルなメディア
   に保存できると思えなかったほどの量のデータや設定でそれらのドライブを埋
   めて行った。[訳者注: フライパンの中の蛙とは、手遅れになるまで自分の
   置かれている危機に気付かない様子を表現した慣用句です。]

   初めに、私たちは自分の設定やアプリケーションに縛られるようになった。い
   つものワードプロセッサや新しいゲームなどをフロッピーディスクから手近に
   ある好きなシステムにロードして使う代わりに、私たちはまずそれを _インス
   トール_ して、システムの魂の中に焼き付けておいてから使うようになった。
   ごく短い時期の間は、アプリケーションをどこにでもインストールすることが
   技術的に(そして法律的にも)可能であったが、その後間もなくソフトウェア
   のライセンスと著作権管理が私たちを強制して、アプリケーションがその生涯
   をどこで過ごすかを誕生の瞬間から既に選ばなければならないようにした。

   それと同時に、私たちは自分のシステムを調整したりパーソナライズしたりし
   始めた。「ワークフローをより良くするため」と私たちは自分に言い聞かせた
   が、結局どのコンピュータも互いに少しずつ違った風に見え、違った風に挙動
   したので、他の人の Mac を使うのは非常に難しいことになった。

   一時期、私たちは少なくとも自分の書類をどこへでも好きなところへ持って行
   けた。フロッピーディスクから、SyQuest カートリッジや Zip ディスク、そ
   れから CD-R になり、最後には USB ドライブへと、いつも自分の情報にアク
   セスできるようにすることを望む私たちの探索の旅は続いた。テクノロジーが
   進展するにつれて、物理的なサイズはより小さく、仮想的にはより大きな容量
   を持つようになった。いずれもちょっと不格好だったが、機能はした。ただ、
   信頼性とセキュリティの面では悪夢であった。ディスクが壊れたり、ディスク
   を紛失したり盗まれたりといったことが、あまりにも頻繁に起こったからだ。

   その後、私たちはどんなまともなストレージ機器にコピーできるより多くの量
   のデータを生成し蓄積するようになった。それこそまさに、私たちのたくさん
   の情報を、それらがどこに保存されていても(私たちはまだ複数の場所からそ
   こにアクセスできる必要があった)いつでも最新で、同期され、完備している
   状態で保持することが、事実上不可能となっていった時期であった。

   手前味噌になってしまうが、私たちはかなり早くからそれらの問題点に気付い
   ていた。いろいろの会社が、ユーザーたちに共有ネットワークドライブからの
   作業をさせようと試みた。Microsoft は、仕事をする人たちがコンピュータか
   らコンピュータへと行き来できるようにローミングプロファイルその他のツー
   ルを考え出したけれど、Outlook を別のワークステーションで起動できたと同
   じ程度に、自分の電子メールをすべて壊してしまう可能性もあった。

   こうして私たちは、誰もがシステムとデータを管理するために終わりなき探索
   の旅を続ける、そんな世界を作り出してきた。それは、新しいコンピュータに
   移行するために特別のケーブルを買わなければならない世界だ。それは、ラッ
   プトップ機を紛失すればたちまち仕事を続ける能力が失われてしまう世界だ。
   私たちが果てしない時間をかけてバックアップのバックアップをし、電子メー
   ル経由でファイルを移し、ほんの少し持ち運びをしやすくするだけのためにラッ
   プトップ機をデスクトップ機のつもりで使う、そんな世界だ。

   でも、そんな世界も終わりを告げようとしている。これからは、私たちのデジ
   タルな生活は、もはや機器により定義され機器を中心としたものではなくなる。
   その代わり、私たちの情報ビットそのものが中心となる。私たちのデータもア
   プリケーションもすべて、持ち運び可能で、アクセス可能、いつも存在し続け
   るものとなる。私たちの機器はすべて、コンピュータも含め、いつでも代わり
   のある、言わば、消耗品と化すことになる。その価値はハードウェアのコスト
   以上の何物でもなく、物理的に紛失しても故障しても何も恐れる必要はない。


**未来はここにあるが、均等に配分されていない** -- 私はこの記事を、近所の
   コーヒーショップで、iPad を使って書き始めた。コーヒーを飲み終えると、
   私は Smart Cover を閉じて、店の外に出、家まで運転して帰り、コンピュー
   タを使って書きかけのところの続きを開いた。私は一度も、Save コマンドを
   選んだり、ネットワークにダイヤルを合わせたり、Sync ボタンを押したりす
   る必要はなかった。単語をいくつか打つごとに、私のアプリは 3G バンド幅の
   ごく僅かの部分を使ってクラウドサーバ上で私の記事をアップデートした。帰
   宅後、私はそのアプリケーションの Mac 版を起動して、さっき書き止めたと
   ころをそのまま拾い上げた。あと 15 分ほどでまたべつの面会予約があるので
   出かけなければならないが、待合室で私はまた続きを書くことになるだろう。
   ただし今度は iPhone を使うので、書くペースは遅くなる。

   クラウドとモバイルコンピューティングの同時採用がどれだけ強烈なインパク
   トを持つものか、ネットワークアクセスの環境がますます改善されつつあるこ
   ともあって、その影響の大きさは計り知れない。私たちはいきなり知らぬ間に、
   情報やサービスのほぼすべてに、ほとんどどこにいても、アクセスできる能力
   を獲得しつつある。ネットワークアクセスに苦情を言うのが好きな私たちだが、
   私は iPhone を使ってモスクワの町で道案内をさせたこともあるし、iPad を
   使って中国から自宅へ電話したこともあるし、MacBook Air を使って世界中か
   らわが家の子供たちを相手にビデオチャットしたこともある。必要とするファ
   イルにアクセスできなかった体験をした最後がいつだったか、もう私には思い
   出せない。手元に iPhone しかもっていない状況でも。

   去年の末ごろ、私がキエフのホテルの部屋で座っていたとき、携帯電話にテキ
   ストメッセージが現われて、飛行機の便がキャンセルされたと警告してきた。
   このメッセージは、私の旅程すべてを追跡して何か変更があれば知らせてくれ
   るサービス、TripIt からのものだった。それから数分以内に、ひどい気象状
   況が米国の大部分で荒れ狂っていたにもかかわらず、私は帰宅できる別の選択
   肢を調べ、Skype を使って航空会社に電話し、利用可能な代替旅程を確保でき
   た。帰宅するまで長い旅となったが、その途中空港で身動きがとれなくなって
   いる多くの旅行者たちを私は目にした。彼らは、チェックインカウンターに到
   着して初めて旅程がトラブルに陥ったことに気付き、そこで飛行機の便を待つ
   しかなかったのだ。

<http://tripit.com/>

   でも、私たちはまだこの移行の最も初期の、わずかな部分を試してみているだ
   けだ。すべての機器が同じ機能を持っているわけではないし、それらを支える
   クラウドサービスにもいろいろあって、さまざまの機能セットや異なる信頼性
   がごた混ぜになっているのが現状だ。テクノロジーのエリートならば自分が必
   要とするもののほとんどすべてを設定し活用することもできるし、普通のユー
   ザーでもこまごまとした情報にアクセスすることは可能だが、それでも多くの
   場合、希望通りにものごとを使いこなすには困難な、混乱に満ちた手順が必要
   となる。ただ標準的なオフィス用書類を自分の iPad で編集してそれを同僚と
   共有するだけのためにも、多くのアプリケーションやサービスが絡んだ迷宮の
   ようなワークフローが必要となることもある。

   また、それが必ずしも安価でないという問題もある。私自身は、自分が必要と
   する機器やネットワーク接続をすべて会社が払ってくれるという幸運な立場に
   ある。(会社を所有していることの利点の一つだ。)私は AT&T と Verizon
   の両方でワイヤレスのアクセスができるし、費用のかさむ海外でのアクセスや、
   さまざまのサービスやアプリケーション、さらには最新の機器までも購入でき
   るだけの資金を持っている。幸いにも、今日困難で高価なものであっても、需
   要さえあればいずれ普通で安価なものとなるというのは歴史の示すところだ。

   Apple、Google、Microsoft などは、私たちの機器に、オペレーティングシス
   テムに、アプリケーションに、クラウドを焼き付ける。今後その種のシナリオ
   が、私たちがテクノロジーを利用するための主要な方法となるだろう。それは
   もはや、私たちが各自で設定し管理しなければならないような例外事項ではな
   くなるだろう。


**ツールは消耗品** -- このような移行の持つ最も魅力的な側面の一つが、もの
   ごとが機器によらないという、昔の日々に立ち戻れることだ。私たちのデータ
   のみならず、アプリケーションや各種設定などもクラウドを通じて行き来し同
   期されるので、私たちはもはや、デスクの上に据えられたものやバッグの中で
   持ち運ぶものに繋ぎ止められていない。まだ最終的段階に達してはいないけれ
   ど、機器から機器へと移りつつ、それでいて必要な機能性と精通度は保つこと
   ができる、そのような状態に私たちは近づきつつある。

   以前の私は、デスクトップ機ではなく大型の MacBook Pro に依存するタイプ
   の一人であった。複数のシステムの間でファイルを同期された状態に保つのは
   非常に手間がかかるので、すべてのものを調整し続けるために苦闘するよりも、
   機能性を制限して一台のマシンに依存する方がよいと考えたからだ。その後、
   今から二年ほど前に、Dropbox のお陰で、少なくとも仕事上の重要なファイル
   については複数のシステムで同期させておくことができるようになった。私は
   日々の大仕事のために思い切って大きな Mac Pro を購入し、また旅行用に小
   型の MacBook も購入した。

<http://dropbox.com/>

   IMAP のお陰で電子メールは私のすべての機器で利用できたし、MobileMe は私
   のカレンダーや連絡先情報を、1Password は私のログイン作業を、Dropbox は
   私のさまざまのファイルを、それぞれどの機器でも利用できるようにしてくれ
   た。必ずしも必要なアプリすべてがいつでも利用できるわけではなかったし、
   音楽や写真についても同様のことが言えたが、仕事上のことに関しては、旅先
   でもきちんとすべてをこなすことができた。

<http://agilebits.com/products/1Password>

   数ヵ月前、私はもう一度ダウンサイジングを決意し、私の iPad を補完するた
   めに MacBook Air を購入した。それこそが、真の意味の使い捨てコンピュー
   ティングに私たちがどれだけ近いところにいるかを実感できた瞬間だった。

   この新しいシステムをセットアップするには、以前に私が移行に要した時間に
   比べてほんのわずかな時間しかかからなかった。Apple の移行アシスタントは
   効率的に古い MacBook の内容をミラーして、私のアプリケーション、ファイ
   ル、設定などをすべて取り込んだ。また、より高い処理能力を要する旅行のた
   めに時々使っていたもっと古い MacBook Pro の内容も同期した。こうして、
   午後のうちに少しだけ作業して、結局私の手許には三台のラップトップ機が、
   互いにほとんど同一の構成を含んだ状態で、勢揃いすることとなった。

   これら三台のラップトップ機はいずれも暗号化され、データは常時同期される。
   旅行に出かける前はいつでも、持って行くマシンを起動して、ネットワーク経
   由ですべてを同期させるだけでよい。ラップトップ機を持って行かない旅行に
   は iPhone と iPad があって、いずれも私のファイルやサービスのすべてにア
   クセスを共有している。

   昔はフロッピーの詰まった箱を持ち歩いたものだが、今はただ仕事に必要なツー
   ルを選ぶだけで、私がどこにいても必要なものすべてにアクセスできる。どの
   機器も暗号化されているので、もしもどれかをなくしたり盗まれたりしても、
   そのハードウェアの価格分の損をするだけだ。(もちろんその価格は無視でき
   るものではないが、さきほど述べた通り私はこのライフスタイルがまだ安価な
   ものになっていないという事実を受け入れている。)私のどのシステムにある
   どんな内容も、すべてクラウドにバックアップされている。たとえ私がすべて
   の機器を同時に文字通り失ったとしても、重要なデータを失うことはない。

   要するに、私の機器はすべて消耗品となった。iPhone から Mac Pro まで、ど
   れでも、いつでも、最小限の不都合さえ我慢すれば入れ替えが可能だ。そう、
   何ギガバイトにものぼる写真やビデオをリストアする作業は瞬時にできるとは
   到底言えないし、ことにローカルなバックアップを失った場合には時間がかか
   る。でも、ほんの数年前、自分のデータ _すべて_ を失うことは現実の可能性
   としてあった。それを消耗品と考えられるようになったのは、単に情報が残っ
   ているからだけではない。それは、データがアプリケーションや各種設定など
   と連動して、整合した状態で保たれるからだ。だからこそ、私はいつでも好き
   な機器を一つ選んでそのまま出かけても、必要とするものすべてにアクセスで
   きるようになっているわけだ。

   [編集者注: この洞察は、Google がその Chromebook と Chrome OS の背後に
   ある導きの力として謳ったものとほとんど寸分違わず一致している。Google
   の場合、ローカルデータというものは何もなく、すべてがクラウドに保存され
   る。Chrome OS の表の顔は、文字通りウェブブラウザだからだ。けれどもその
   結果として、Chromebook にサインインしても、あるいは好きなコンピュータ
   の上で何かウェブブラウザを使っても、いつでも全く同じデータやアプリケー
   ション、各種設定にアクセスできる。もちろん、すべてをウェブブラウザの中
   でこなすことで生じる代償はある。それでも、どんな機器からでも完璧な自由
   が得られることは間違いない。-Adam]

<http://www.google.com/chromebook/>


**明日はほぼもうそこにある** -- 私の機器が使い捨てとなっても、このセット
   アップを保持し続けるためにはやはり手仕事の労力がたくさん必要だ。私のソ
   フトウェアはすべて複数システム用にライセンスされているわけではない。す
   べてを手でアップデートしなければならないし、私がシステムに手を入れたり
   などすれば、機器の構成も時と共に流されて行くだろう。

   私はデータを失うことはない。けれども何をどこに保存するかにはやはり注意
   を払わなければならないし、アプリケーションはやはり最新に保っておきたい。
   私のような技術オタクには簡単なことだけれど、その昔、どの手近なハードウェ
   アにでも正しいフロッピーを差し込みさえすればいつでも仕事が始められたの
   と比べれば大違いだ。ただ、良いニュースがある。それは、私たちが年々、私
   が理想とするシナリオへと近づいているということだ。

   それこそが、iCloud と Mac App Store がこれほどに興味をそそる真の理由だ。
   Apple は、私たちが現状の制約を乗り越えるために必要とするもののうちの、
   初期の構成要素を作り出しつつある。Mac App Store で私たちに必要なのはた
   だユーザ名とパスワードのみ、それだけで私たちはアプリの最新バージョンを
   必要などのシステムにでも取り寄せることができる。私が現在しているごとく
   手でアップデートを管理する代わりに、ただ App Store を起動して、アップ
   デートを探し、必要なものをすべて一挙にインストールできる。長い年月を経
   て、Apple は基本的に、ソフトウェア・アップデートを他の開発者たちにも開
   放したのだ。

   Apple は iOS においてこれをさらにもう一歩手軽にしている。設定をすべて
   iCloud にバックアップすることによって。移行アシスタントに頼らずとも、
   私たちはただアカウントの認証情報を入力して待つだけで、その機器がすべて
   の設定をクラウド中のマスターコピーからダウンロードしてくれる。

   私はこの記事の執筆作業に Simplenote を使った。これはクラウドサービスで、
   iOS アプリで文章を書くことができるとともに、Mac 上ではウェブインターフェ
   イスを専用アプリの形で走らせることができる。(サイト限定ブラウザ Fluid
   のお陰だ。)私は保存コマンドを使う必要が一切ない。なぜなら、私がタイプ
   した文章は即座にクラウドへ同期され、それから私の他の機器にも同期される
   からだ。iCloud、Lion、それに iOS 5 によって、これらの機能性が私たちの
   _すべての_ アプリケーションにもたらされる。私は現在 Dropbox を使ってファ
   イルをいろいろなディレクトリに保存しているけれど、これからはそれぞれの
   アプリケーションが自動的に、黙って、バックグラウンドで、データを保存し
   たりロードしたりするようになる。一つの機器で仕事を始めて、編集をしても、
   何も考えずに他の機器でその仕事をそのまま続けることができる。間違いをし
   たら? ただ一歩戻って、あなたのために保存されている旧バージョンを引っ
   張り出せばよい。

<http://simplenoteapp.com/>
<http://fluidapp.com/>

   数多くのベンダーたちが、クラウドの中にファイルやバックアップをホストす
   るツールを提供している。けれども Apple は、彼らとは全く違った方向から
   iCloud を捉えている。Apple のエコシステムの中では、クラウドこそがすべ
   ての中心となる。あなたのアプリ、あなたのデータ、あなたの設定もすべてそ
   こにある。それは、現行のコンピューティングのモデルを拡張した形でファイ
   ルの同期をすることによって達成されるのではなく、クラウドアクセスという
   概念を根本的なレベルで私たちのすることすべての中へ焼き付けることによっ
   て達成される。私たちの機器はついにツールとなり、それはもはや情報ビット
   が入って行くが二度と出て行かぬゴキブリ捕獲器ではなくなる。

   もしも Apple が首尾よくこれをやってのければ、コンシューマ向けテクノロ
   ジーの歴史の中で、最も野心的な跳躍の一つとして位置付けられることとなる
   であろう。Mac がデスクトップコンピューティングを変えたように、iPod が
   私たちの生活の中で音楽を聴く方法を変えたように、そして iPhone が携帯電
   話をSF小説に登場するかのようなものに変えたように、iCloud、Lion、iOS
   という組み合わせは、私たちがパーソナルコンピューティングについて知って
   いることすべてを変えてしまうかもしれない。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12281#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/12281>


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 7 月 4 日
----------------------------------------------------------
     文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12295>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

**Thunderbolt Firmware Update** -- まだメインストリームの Thunderbolt
   周辺機器は登場していないが、Thunderbolt を搭載した Mac のオーナーはそ
   の準備のためにも Thunderbolt Firmware Update をインストールしておくべ
   きだろう。Apple が述べているのは「Thunderbolt のパフォーマンスと安定性
   に関する問題が修正」されたということのみだが、Thunderbolt がどれほど新
   しいものかを考えれば、Apple はまだバグ潰しの作業の最中と言っても差し支
   えないだろう。これはファームウェア・アップデートなので、Mac を再起動さ
   せた後に始まるアップデート中は、その処理を妨げることをしてはならない。
   (無料、486 KB)

<http://support.apple.com/kb/DL1407>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1407?viewlocale=ja_JP>
   "Thunderbolt ファームウェア・アップデート"

   Thunderbolt Firmware Update へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/12287#comments>


**Java for Mac OS X 10.6 Update 5 / Java for Mac OS X 10.5 Update 10**
   -- Apple が Java for Mac OS X 10.6 Update 5 と Java for Mac OS X 10.5
   Update 10 をリリースした。同社によれば、Java SE 6 を 1.6.0-26 にアップ
   デートすることで「互換性、セキュリティ、信頼性が向上」するという。(ま
   た、64-bit 対応でない Mac OS X 10.5 の走る Mac では、Java が 1.5.0-30
   にアップデートされる。)私たちの知る限り、今回の変更点の大多数はセキュ
   リティ脆弱性への修正だ。Apple は、このアップデートをインストールする前
   にすべてのウェブブラウザとすべての Java アプリケーションを終了するよう
   勧めている。もっとも、基本的に不可視な Java ベースの CrashPlan バック
   アップソフトウェア(私たちが使っている主たる Java アプリ)を走らせたり
   している場合には、インストール後直ちに再起動する方がよいだろう。これら
   のアップデートはそれぞれ Mac OS X 10.6.6 かそれ以降と、10.5.8 を要する。
   (無料、75.45 MB / 120.33 MB)

<http://support.apple.com/kb/DL1360>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1360?viewlocale=ja_JP>
   "Java (Mac OS X v10.6) - アップデート 5"
<http://support.apple.com/kb/DL1359>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1359?viewlocale=ja_JP>
   "Java (Mac OS X v10.5) - アップデート 10"

   Java for Mac OS X 10.6 Update 5 / Java for Mac OS X 10.5 Update 10 へ
   のコメントリンク: <http://tidbits.com/article/12286#comments>




ExtraBITS、2011 年 7 月 4 日
----------------------------
     文: TidBITS Staff <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/article/12294>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   夏のライブコンサートで音楽を楽しむには、必ずしも駐車とか人ごみとかを心
   配しなければならないわけではない。この 7 月中、iTunes Music Festival
   がライブのストリーミングを続けるからだ。また今週は、Thunderbolt ケーブ
   ルについての詳細情報、Apple から Final Cut Pro X に関する質問への回答
   へのリンクと、シカゴにいる人たちには 2011 年 7 月 6 日に Adam が Lion
   と iCloud について講演するというお知らせがある。


**iTunes Music Festival を今月中ライブでストリーミング** -- この 7 月の
   末までロンドンで開かれている iTunes Music Festival には 61 名のアーティ
   ストが出演する。Apple は、今月中ずっと彼らのパフォーマンスをライブでス
   トリーム配信する。あなたのコンピュータ上の iTunes を経由し iTunes Store
   でパフォーマンスを観ることもできるし、また無料の iTunes Festival London
   2011 アプリ経由でも観られる。このアプリは iPhone、iPod touch、iPad 用
   にデザインされている。iOS 機器の中で観る場合には、AirPlay を利用してそ
   れを Apple TV 2 にストリームし、大スクリーンで観ることもできる。

<http://www.itunesfestival.com/>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12293#comments>


**Initial  ケーブルは当初 Apple から $49 で販売** -- Thunderbolt はこれ
   までのところ概して理論上のものに過ぎなかったが、初めての周辺機器が近い
   将来のリリースに向けて揃い始めつつある現在、この Ars Technica 記事は特
   に興味深い読み物と言える。この記事によれば、少なくとも発売当初は、いろ
   いろな Thunderbolt 周辺機器には必要なケーブルが付属せず、ユーザーは別
   途に Thunderbolt ケーブルを Apple から購入しなければならない。2 メート
   ルのケーブルの価格は $49 だ。いずれは、他のメーカー各社も Thunderbolt
   ケーブルの製造を始めることは間違いなく、そうなれば価格も下がるだろう。
   ただ、そうなるまでにどの程度の期間を要するかは定かでない。

<http://arstechnica.com/apple/news/2011/06/why-apples-2m-thunderbolt-cable-costs-a-whopping-50.ars>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12290#comments>


**7 月 6 日、シカゴの Apple User Group で Adam Engst に会おう** -- もし
   もあなたが 2011 年 7 月 6 日にシカゴ近辺にいるなら、Chicago Apple User
   Group へどうぞ。TidBITS 出版者の Adam Engst が Lion と iCloud について
   講演し、聴衆からの質問にも喜んで答える。

<http://www.chicagoapple.org/>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12289#comments>


**Apple、Final Cut Pro X の疑問に答える** -- Apple が、Final Cut Pro X
   に関する懸念に対する答を出した。Final Cut Pro X は Final Cut Pro を書
   き換えたバージョンで、Final Cut Pro 7 にあったプロ向けの機能のいくつか
   が欠けているからだ。回答の大多数は要するに「まだその機能はありませんが、
   いずれ装備されます」というものだ。マルチカム編集、オーディオトラックの
   割り当て、いくつかのビデオフォーマット (RED など) のサポート、それから
   XML、OMF、AAF、EDL への書き出しなどがこれに該当する。Apple はまたプラ
   グインの開発者たちに対し、Final Cut で使えるようにするためにプラグイン
   を 64-bit 互換なものにアップデートする必要があること、それからボリュー
   ムライセンスによる購入も間もなくできるようになることを伝えている。

<http://www.apple.com/finalcutpro/faq/>
   (日本語)<http://www.apple.com/jp/finalcutpro/faq/>
   "アップル - Final Cut Pro X - よくある質問にお答えします。"

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/12284#comments>




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