TidBITS#1131 日本語版

TidBITS Japanese hosoka @ ca2.so-net.ne.jp
2012年 6月 30日 (土) 03:14:42 EDT


TidBITS#1131/25-Jun-2012
========================
     英語版: <http://tidbits.com/issue/1131>
     日本語版: <http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1131.html>


   今週はいろいろな話題が集まった。セキュリティ編集者 Rich Mogull による
   特集記事は、サンドボックス、Mac App Store、Gatekeeper についての広範囲
   にわたる質疑応答だ。タイムリーな記事は他にもあって、Adam Engst が SOHO
   Organizer を使って iCloud にある連絡先情報を Lion 以前の Mac に同期す
   る方法を説明するとともに、問題のあった Thunderbolt Software Update 1.2
   を Apple が修正したことを続報し、Agen Schmitz が MacBook Pro の Retina
   ディスプレイモデルに関するさまざまなレビュー記事を総まとめする。Michael
   Cohen はタイムリーさを風の流れに乗せて、1982 年の New York Times 記事
   を振り返る。当時 NSF に委託されて書かれ、コミュニケーションとコンピュー
   ティングの未来について驚くほど的確な予知能力を示した、ある報告書を要約
   した記事だ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、TextExpander 4.0、
   Skype 5.8.0.865、それに Bento 4.1.1 だ。


記事:
     Thunderbolt Software Update 1.2.1 リリース、Apple が謝罪
     MacBook Pro Retina ディスプレイモデル: レビューのレビュー
     SOHO Organizer、Snow Leopard で iCloud と連絡先を同期
     1982 年の未来を今日の現在と比較する
     サンドボックス化、Gatekeeper と Mac App Store について質問に答える
     TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 6 月 25 日
     ExtraBITS、2012 年 6 月 25 日


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Thunderbolt Software Update 1.2.1 リリース、Apple が謝罪
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     文: Adam C. Engst: <ace @ tidbits.com>, @adamengst
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13077>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   Apple が、リリースノートに何の変更をすることもなく、Thunderbolt Software
   Update 1.2.1 をリリースして Thunderbolt to Gigabit Ethernet Adapter の
   サポートを追加した。このアップデートのバージョン 1.2 は起動の障害を起
   こすことが問題になっていた。(2012 年 6 月 12 日の記事“Thunderbolt
   Software Update 1.2 が起動障害を起こす”参照。)Apple はこの問題に対処
   したと思われるが、ユーザーたちの声が届き始めるまで確かなことは言えない。
   嬉しいことに(そして珍しいことに)Apple はこのアップデートのバージョン
   1.2 が引き起こした問題を認め、混乱を招いたことを謝罪し、復元方法の情報
   を提供した。

<http://support.apple.com/kb/DL1544>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/DL1544?viewlocale=ja_JP>
   "Thunderbolt Software Update 1.2.1"
<http://tidbits.com/article/13061>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1130.html#lnk0>
   "Thunderbolt Software Update 1.2 が起動障害を起こす"
<http://support.apple.com/kb/TS4303>
   (日本語)<http://support.apple.com/kb/TS4303?viewlocale=ja_JP>
   "Thunderbolt ソフトウェア・アップデート 1.2 のインストール後、Mac が 
起動時に反応
   しなくなる"

   フレッシュにインストールしたものに比べてサンプルしたサイズは小さくなる
   ものの、私たちとしてはあなたが Thunderbolt to Gigabit Ethernet Adapter
   を持っていてそれをあなたの MacBook Air または Retina ディスプレイ搭載
   MacBook Pro で使う必要がある場合を除いて、インストールをお勧めすること
   はできない。(このアダプタは Thunderbolt 搭載のどんな Mac でも働くけれ
   ど、上記以外の機種はすべて専用の Ethernet ジャックを持っているはずだ。)
   少なくとも Apple がリリースノートで述べている限りでは、このアップデー
   トは他に何の役にも立たない。

<http://store.apple.com/us/product/MD463ZM/A>
   (日本語)<http://store.apple.com/jp/product/MD463ZM/A>
   "Thunderbolt - ギガビットEthernetアダプタ - Apple Store (Japan)"

   Apple が問題の存在を公に認め、混乱を招いたことを謝罪した点についてそれ
   を悪く言うつもりは全くないし、これは Apple としては非常に喜ばしい変化
   だと思うが、Apple が Thunderbolt Software Update 1.2 の配布を取り下げ
   るまでに数日かかったという事実は指摘しておかなければならない。その間、
   何万人もの Mac ユーザーたちが Mac OS X の再インストールをしてそれぞれ
   何時間も無駄に過ごす羽目になったかもしれない。その数日の間、TidBITS や
   他の Mac メディアサイト、あるいはソーシャルネットワーキングなどを通じ
   て素早く知らせが広められ、いったいどれほど多くの人々が影響を受けたかを
   具体的に知ることはできないけれども、きっと相当な数の人々が該当したこと
   だろう。メディアが噂や論争ばかりに力を注いでいるように見えるこの時代、
   今回のことは独立系のテクノロジー報道が持つ本当の価値を示す、非常に良い
   実例となった。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/13077#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/13077>


MacBook Pro Retina ディスプレイモデル: レビューのレビュー
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     文: Agen G. N. Schmitz: <agen @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13081>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   「画期的な」から「びっくり仰天の」まで、思い思いの褒め言葉で飾りながら、
   初期のレビュー(批評)記事の執筆者たちは最近リリースされた MacBook Pro
   の Retina ディスプレイモデル(2012 年 6 月 11 日の記事“新型 MacBook
   Pro、Retina ディスプレイ、フラッシュメモリを搭載”参照)を語りつつ、見
   た目に派手な Apple の紹介イベントの会場で多くの人たちが感じた期待外れ
   の気持ちをあえて無視しているかのように見える。さまざまのレビュー記事は
   一様に、Apple の古典的機種に対する今回のアップデートには相当惚れ込んで
   いるらしい。これほどに称賛が前面に出ているけれども、事実だけを見ればこ
   の新型 MacBook Pro の多くの様相は、高解像度の Retina ディスプレイから
   全体的なユーザー体験をキビキビとさせるフラッシュメモリのストレージの採
   用まで、どちらかと言えば革新的 (revolutionary) というよりむしろ漸進的
   (evolutionary) というべきものであった。(Apple のハードウェアアップグ
   レードの多くが比較的控え目であると論じた Glenn Fleishman の記事“漸進
   的改善が Apple に大きな進歩をもたらす”(2012 年 3 月 29 日) を参照。)

<http://tidbits.com/article/13055>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1129.html#lnk2>
   "新型 MacBook Pro、Retina ディスプレイ、フラッシュメモリを搭載"
<http://tidbits.com/article/12856>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1120.html#lnk5>
   "漸進的改善が Apple に大きな進歩をもたらす"

   私たち TidBITS スタッフの中でレビュー用のユニットを手にしたのは Jeff
   Carlson ただ一人だった。残念なことに、彼は別の仕事(Seattle Times とか
   いう名前の安っぽい新聞)で実地体験のレビュー記事を書くのに忙しかった。
   そこで、今回はインターネットを見回して、彼を含めたレビュー執筆者たちが
   どんなことを言っているのか調べてみたいと思う。

   新型 MacBook Pro のメインとなる機能、つまり 2880 × 1800 ピクセルの解
   像度を持つ 15.4 インチの Retina ディスプレイについては、Macworld の
   Roman Loyola が MacBook Pro の解像度設定を Best (Retina) とすれば写真
   の細部もテキストも驚くほど鮮明になると書いている。ただ、彼は自分がシス
   テムの警告文を読み過ぎて目眩がするような気持ちになったとも言う:「この
   Retina MacBook Pro のお陰で Mac OS X の細かな部分に対する理解が再び呼
   び覚まされたが、まあ時が経てばそれもまた当たり前になるのだろう。」

<http://www.macworld.com/article/1167286/macbook_pro_with_retina_display_redefines_the_concept_of_a_pro_laptop.html>

   これほど多くのピクセル数を持つ (正確に言えばインチあたり 220 ピクセル
   なので合計で 518 万 4 千ピクセルとなる) ことの一つの難点は、Retina ディ
   スプレイ用に最適化されていないソフトウェア(レビュー記事に挙げられた例
   は二つ、Adobe InDesign と Twitter だった)による画像やテキストのレンダ
   リングが美しくないことだ。けれども TechCrunch の MG Siegler にとっての
   Retina ディスプレイの最大の問題は、ウェブブラウザにおけるテキストや画
   像のレンダリングが精彩を欠くことだ。それは、このディスプレイ用にまだアッ
   プデートされていないもの (例えば Google Chrome は現在 Retina 対応を開
   発中だ) のみならず、既に Retina 用に最適化ができている Safari にも言え
   る。彼はこう言う:

<http://techcrunch.com/2012/06/18/my-god-its-full-of-pixels/>
<http://chrome.blogspot.com/2012/06/chrome-and-new-shiny.html>

     「Retina ディスプレイで素晴らしい見栄えになるアプリの実例が見たい
     なら、Apple のアプリ (iPhoto、iMovie など) を試すか、または Safari
     で apple.com を訪れるとよい。それ以外は、現時点ではまだお寒い状態
     だ。そのアプリやサイトがどれほどグラフィック中心かどうかにもよるが、
     アップグレードを実現することは開発者にとって大仕事となるというのが
     現実なのだ。」

   ピクセルがぎっしり詰まったこのディスプレイに表示するために最適化された
   Retina 設定を選ぶことに話を戻すと、Engadget の Tim Stevens は具体的な
   数字によって解像度を選ぶ選択肢がないことに不満を述べている。その代わり
   に、Display 環境設定パネルには5ポジションのスライダーがあって、Larger
   Text から More Space までの5段階から1つを選ぶようになっている。真ん
   中の選択肢が Best (Retina) だ。彼はこう言う:「たぶん初心者にはこの方
   が分かりやすいのだろう。ただ、忘れないで欲しい。これは 'Pro' という名
   前の付いたラップトップ機なのだ。」('Pro' の意味を実感でできないという
   人には、このマシンが一度に4台のディスプレイをそれぞれのネイティブな解
   像度で走らせることができるという事実をよく考えてもらいたい。)

<http://www.engadget.com/2012/06/13/apple-macbook-pro-with-retina-display-review/>
<http://blog.macsales.com/14241-macbook-pro-15-with-retina-display-can-run-3-external-displays>

   Jeff Carlson は、Seattle Times のレビュー記事で、このスクリーンの解像
   度には確かに感銘を受けたけれどもやはり「まだ光沢がある、ただし標準的な
   MacBook Pro のスクリーンに比べれば反射が少ないので、その点は良くなった
   と言える」と述べている。

<http://seattletimes.nwsource.com/html/businesstechnology/2018485398_ptmacc23.html>

   しかしながら、Jeff にとってこの新型 MacBook Pro の一番の機能は Retina
   ディスプレイではない。それは、彼がいつも仕事机の上の外付けモニタに向か
   いっぱなしで仕事をしているのが大きな原因だ。一番は、このマシンの猛烈な
   ほどのスピードだ。レビューに使ったユニットに搭載された 2.3 GHz Intel
   Core i7 プロセッサとソリッドステートドライブの組み合わせのお陰で、Jeff
   は Adobe InDesign をたった 3 秒で開くことができた。(彼が 2 年前に買っ
   た MacBook Pro では 25 秒かかる。)

   モバイルな用途にもっと使えるようにと考えている人たちのために、Engadget
   がバッテリ消費のテストを実施して、2.6 GHz Core i7 機種で 7 時間 49 分、
   2.3 GHz Core i7 機種で 9 時間 22 分という結果を得た。Apple が公表して
   いるバッテリ寿命 7 時間という数字を、良い結果で裏付けた訳だ。しかしな
   がら、All Things D の Katherine Boehret はこの MacBook Pro を彼女独自
   の「標準バッテリテスト」にかけてみた。それはどうやらこのラップトップ機
   を典型的なユーザーの使い方を超えてストレステストにかけるもののようで、
   まずスクリーンの輝度を最大にし、省電力設定をすべてオフにし、エンドレス
   で音楽を再生し続け、Wi-Fi と電子メール受信を常時オンにした。Boehret に
   よるこのテスト結果(二度実施した)の平均は、4 時間をほんの少し超える程
   度のバッテリ寿命となった。ただ、彼女の推測ではもっとストレスの少ない条
   件下ならばこの MacBook Pro は間違いなく 5 時間を超えるバッテリ寿命があ
   るだろうとのことだ。

<http://www.engadget.com/2012/06/13/apple-macbook-pro-with-retina-display-review/>
<http://allthingsd.com/20120619/a-laptop-screen-that-promises-an-eyeful/>

   Laptop Magazine の Mark Spoonauer は、この Retina ディスプレイモデルの
   MacBook Pro に新たに搭載された「非等間隔ファン」のお陰でラップトップ機
   がプロセッサ負荷の大きいタスク(例えば HD ビデオの編集など)を処理して
   いる際の騒音レバルがはっきりと下がったことに気付いた。しかしながら、キー
   ボードが発する熱のレベルは「私たちが不快と思い始める程度をはるかに超え
   た」華氏 105 度 (摂氏 40.5 度) だった。タッチパッドやラップトップ機の
   底面はもっと温度が低かった。

<http://www.laptopmag.com/review/laptops/apple-macbook-pro-with-retina-display.aspx>

   [訳者注:非等間隔ファンに関しては、詳細な日本語説明サイト"MacBook Pro
   with Retina の冷却ファンは常識破りの素晴らしい発想!: 【Digitalian's Tips】
   があります]

   (日本語)<http://motomory.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/macbook-pro-w-2.html>

   ゲームをする人の観点に立って、The Verge の Ross Miller が Diablo 3 を
   2.6 GHz Core i7 プロセッサと 8 GB の RAM を持つ新型 MacBook Pro でテス
   トした。最大解像度でこのゲームを走らせ、「ゲームの飾り物を最大に」引き
   上げた。(シャドウ、特殊効果、といったものだ。)彼の結果はこのゲームが
   「毎秒 15 から 20 フレームの間を行き来し、たいていの場合かろうじてプレ
   イできる程度だった」けれど、解像度を下げて 1680 × 1050 (つまり標準の
   MacBook Pro の解像度) にすれば一貫して毎秒 30 フレームが提供されプレイ
   しやすくなったとのことだ。

<http://www.theverge.com/2012/6/13/3082649/macbook-pro-review-retina-display-15-inch>

   この Retina ディスプレイモデル MacBook Pro を、The Verge がその定評通
   りに華麗かつテンポ良くビデオでレビューしている。一見の価値ありだ。要約
   として Miller が次のように語っているが、これは他の多くのレビュー執筆者
   たちの気持ちをも代弁していると思う:

     「この新型 MacBook Pro の Retina ディスプレイモデルは本当に、Apple
     が MacBook の分野で学んできたすべてのことの頂点にあると言ってよい。
     もちろん、これは世にある MacBook Pro の中で最も高価なものであって、
     世にあるラップトップ機すべての中でも最も高価なものの一つだ。でも、
     もしも予算が問題でないのなら、これこそ今あなたが買える最高のラップ
     トップ機だ。」


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/13081#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/13081>


SOHO Organizer、Snow Leopard で iCloud と連絡先を同期
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     文: Adam C. Engst: <ace @ tidbits.com>, @adamengst
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13049>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp

   30 June 2012 の MobileMe 終焉の日が本当に間近に迫るにつれ、人々は引き続き
   Mac OS X 10.6 Snow Leopard が走る Mac を iCloud エコシステムに統合する方
   法を探している。Apple は iCloud を CalDAV や CardDAV と言った標準に準拠さ
   せているにも拘らず、このことはこれまで必ずしも自明のことではなかった。カ
   レンダーに関しては、我々はこれまで二つの解について書いてきた:BusyCal ("
   BusyCal が iCloud カレンダーを Snow Leopard にもたらす" 5 December 2011)
   そして iCal ("Snow Leopard の iCal も iCloud に参加出来る" 11 December
   2011) である。しかし、連絡先を iCloud と同期させる良い解を探すのはより困
   難であった、と言うのも iCal を iCloud に向けさせるのに成功したやり方は
   Address Book には通用しなかったからである。

<http://tidbits.com/article/12662>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1105.html#lnk4>
   "BusyCal が iCloud カレンダーを Snow Leopard にもたらす"
<http://tidbits.com/article/12669>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1106.html#lnk2>
   "Snow Leopard の iCal も iCloud に参加出来る"

   いまだ Snow Leopard を走らせている完璧に機能的な Mac をお持ちの方には、理
   由は何であれ、朗報だと思うが、我々は連絡先を iCloud と同期させる方法に出
   くわした。これは無料ではないが、簡単である - Chronos からの $99 の SOHO
   Organizer 9 である。この機能は SOHO Organizer にとっては比較的新しいもの
   で、バージョン 9.1.8 で登場したのだが、Chronos はその導入以来改良を加えて
   きた - 現行バージョンは 9.2.6 である。事実、SOHO Organizer が必要とするの
   は Mac OS X 10.5.8 かそれ以降のみであり、10.5 Leopard から 10.7 Lion 迄の
   いずれのバージョンの Mac OS X でも走らせられる (そして、まだテストはして
   いないが、我々の想定では 10.8 Mountain Lion も) Mac 上で iCloud 連絡先に
   アクセスしたいという人には誰にでも有用なものとなっている。

<http://www.chronosnet.com/Products/sohoorganizer.html>

   SOHO Organizer は、実際には三つのアプリケーションからなるスイートである:
   SOHO Organizer、連絡先とカレンダーの管理;SOHO Notes、メモとスニペット保
   存のユーティリティ;そして SOHO Print Essentials、SOHO Organizer から必要
   なデータをインポートし、ラベル、封筒、レターヘッド等をデザインし印刷する
   手助けをする。ここでは SOHO Notes や SOHO Print Essentials については扱わ
   ない - これらも有用なプログラムの様であるが、この記事の範疇ではない。

   また SOHO Organizer のカレンダー機能についても扱わないつもりであるが、こ
   れは実際に iCloud カレンダー同期問題に対する第三の解であると言える。と言
   うのも、これは BusyCal の様に、iCloud と (そして Google Calendar も) 同期
   出来るからである。私が理解できる範囲で言えば、SOHO Organizer は基本的に
   BusyCal や iCal と同じ機能を提供している - もし私が SOHO Organizer を最初
   に買っていたのであれば、BusyCal を買う前に私のニーズには答えられるか検討
   したと思うが、今では幸せな BusyCal ユーザーの一人としては、SOHO
   Organizer のカレンダー機能を検証してみる必要性をそれ程感じない。

   そして最後の警告としてだが、私はあなたが既に MobileMe アカウントから
   iCloud への乗り換えは済んでいて、単に Snow Leopard が走る Mac 上であなた
   の iCloud 連絡先へのアクセスを得ようとしているのだと想定している。もしこ
   の乗り換えをするのに助けが必要だと言うのであれば、その詳細を説明している
   Joe Kissell の "Take Control of iCloud" のコピーを手にすべく今すぐ走る必
   要がある、歩いている暇はない。

<http://www.takecontrolbooks.com/icloud?pt=TB1131>


**連絡先のために SOHO Organizer を設定しそして使用する** -- SOHO
   Organizer スイートには他の色々な能力が備わっているが、iCloud との連絡先同
   期のための設定は極めて簡単である。やらなければならないことは Preferences
   ウィンドウを開いて、Accounts をクリック、アカウントを追加するため + ボタ
   ンをクリック、iCloud Contacts を選択、そしてあなたの iCloud ユーザー名
   (全メールアドレス) とパスワードを入力する。SOHO Organizer は、残りの詳細
   を舞台裏で埋めてくれ、接続をし、そして全てのあなたの連絡先をダウンロード
   する。

<http://tidbits.com/resources/2012-06/SOHO-Organizer-iCloud-account.png>

   私はそもそも Address Book を好きになったことが無かったし、Lion での模造革
   バージョンは大嫌いである。と言う訳で私には、連絡先情報を表示する SOHO
   Organizer のやり方が、必要なものは全部すっきりと揃っておりしかも使い易い
   と思えた。ウィンドウの左上部に位置する一連のボタンでビューが切り替えられ
   る。最初の二つが連絡先、次の五つがカレンダー、そして最後の一つがジャーナ
   ルビューである。Contact Card ビューは、グループをそして次に名前を最初の二
   つのコラムから選ぶと表示される。そこにあるデータには通常想定されるものは
   すべて揃っている:名前、住所、電話番号、メールアドレス、携帯メールアカウ
   ント、誕生日、そして関係が含まれるが、更に添付ブロックがあり、そこにはそ
   の人宛ての或いはその人からのメールメッセージのリスト、電話通話、テキスト
   メッセージ、カレンダー行事、メモ、ファイル等々を入れることができる。更に
   幾つかのブロックを追加することもでき、URL、追加の住所、ノート、等々である。
   加えて、名前のブロックを拡張バージョンに切り替えることもでき、敬称、サフ
   ィックス、ミドル名、ニックネーム、役職、所属、名前の読み方、そして旧姓の
   フィールドが追加される。

<http://tidbits.com/resources/2012-06/SOHO-Organizer-Contact-Card.png>

   このデータの多くは "生きて" いて、例えば、メールアドレスの隣に付いている
   小さなアイコンをクリックするとそのアドレス宛てのメッセージを作成できたり、
   配偶者や子供の名前の隣のアイコンをクリックするとその人のカードに切り替え
   られるといった具合である。他のアクションには、住所を地図表示する、電話番
   号に電話をかける、SMS メッセージを送るが含まれる。また、添付リストにある
   メールメッセージ等々をダブルクリックするとそれらを開ける。

   Contact Card ビューの他に Contact List ビューもあり、ある特定のグループの
   全ての連絡先をスクロールリストに表示でき、しかも数多くのコラムが選択出来
   る;表示するコラムを選択するには View > Contact List Columns で出来、そし
   てドラッグによる再配置、リサイズ、そしてソート (二次ソートのためには
   Shift-クリック、Last Name, 次に First Name という様に) が出来る。リスト項
   目にあるデータをダブルクリックすることでそれを直接編集でき、そして Open
   in Contact Card ボタンをクリックすると詳細がある Contact Card ビューに切
   り替えられる。

<http://tidbits.com/resources/2012-06/SOHO-Organizer-Contact-List.png>

   SOHO Organizer には他にも連絡先に関する幾つかの優れものがある。重複カード
   やカード内の情報を検索出来る。カードを統合することも、違いが表示されるの
   で簡単である。また、ある人のカードを他の人の上にドラッグすることで、その
   人達の間に双方向の関係を作り出せる;これを使って、ある人を誰かの配偶者、
   子供、上司、部下、等々として関係づけられる。Contact Card ビューでより高速
   に誰かを探すために、SOHO Organizer は Alphabet Bar を提供しており、姓が特
   定の文字で始まる連絡先へとジャンプさせてくれる。最後に、複数のウィンドウ
   を開くことが可能で、 Contact List と Contact Card ビューの両方を同時に見
   ることもできるし、複数のカードだけというのも問題ない。

   SOHO Organizer 及び連絡先管理に対するその伝統的なアプローチで私には欠点に
   見える主たるものは、Facebook, Twitter, LinkedIn といったソーシャルネット
   ワーキングサービスにつなげるという概念が全くないことである。最近リリース
   された Cobook にはこれがある ("Cobook 1.0," 25 May 2012 参照)。私がテスト
   した Mac の中の一台 (これだけ) では多少の性能問題を経験したが、これはある
   特定のズームレベル、或いは再スタートすることで解決したデータベースの破損
   に関係していたのかもしれない;Chronos は私の報告に極めて良く対応してくれ
   ており、バージョン 9.2.7 がマイナーな変更とともに間もなく入手可となるはず
   である。

<http://tidbits.com/article/13023>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1128.html#lnk7>
   "Cobook 1.0"


**Address Book へのリンクは無い** -- SOHO Organizer は iCloud がホストす
   る連絡先とは完璧に動作するとはいえ、変更を取り込んだり送り出したりするの
   は問題ないが、Leopard や Snow Leopard の下で走らせている人達には、一見し
   ては明らかではないが、これが使えない原因となり得る一つの大きな限界がある。
   SOHO Organizer が iCloud から取り込み同期する連絡先はサイドバーにある
   iCloud コレクションに現れるが、そこにしか現れない。Lion の下で走らせてい
   る人には、これだけで十分である。

   しかし、Leopard 或いは Snow Leopard バージョンの Address Book にある連絡
   先にアクセスしたい場合、或いは、Lion 以前のシステムに蓄えられた Address
   Book のデータを共有する Cobook や Apple Mail の様な他のプログラムではどう
   なるのであろうか? 残念ながら、あなたの運もここまでである。但し SOHO
   Organizer にはサイドバーに別のコレクションがあり - Personal (On My Mac)
   - そこにある連絡先は全て Snow Leopard の Sync Services を使い Address
   Book 及び他の全ての Address Book を認知するプログラムと同期する。

   iCloud コレクションにあるあなたの全ての連絡先を選択しそしてそれらを
   Personal (On My Mac) にドラッグしてコピーすることも _可能_ であり、そうす
   ればこれらは Address Book にも現れる (フィールドラベルに破損があると同期
   が阻害されることもあるのでご注意を - もしこれが起こったら、同期するのは一
   度に小さなグループで行い、問題のある連絡先を見つける)。これでこれらの連絡
   先に対する読み取りアクセスは得られるが、どうしても _出来ない_ のは、変更
   を加えそれらを iCloud コレクションに同期戻しすることである。私は、これら
   を Personal (On My Mac) から iCloud へとドラッグして戻してみるのをやって
   みたが、結果は iCloud バージョンの連絡先が破損してしまうか削除されてしま
   う傾向にあった。たとえこの方法がうまくいったとしても、それは満足できる解
   とは言えないであろう。何故ならば、これはカードを手でコピーすることとデー
   タの確認も自分で行いそして何が新しく何が古いのかを見極めなければならない
   からである。そもそも我々が同期ツールを使うのはそのためなのである!

   理論的には、Chronos が iCloud と Personal (On My Mac) コレクションの間で
   同期する機能を追加することは可能であろうが、これが必要なのは Snow
   Leopard 上の Address Book にある iCloud 連絡先にアクセスする必要がある人
   だけであることを考えると、そのための開発努力を正当化するのは難しいのでは
   ないだろうか。

   結論としては、SOHO Organizer はそれ自身が機能豊富な連絡先管理プログラムで
   あり (他の能力に言及するまでもなく)、そして Snow Leopard 及び Leopard ユー
   ザーに対する iCloud 問題に対する一つの解でもある。これだけでも $99 という
   価格に見合うものである。30 日の試行版も 77.6 MB のダウンロードとして出さ
   れている。

<http://www.chronosnet.com/Products/sohoorganizer/download.html>


     ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/13049#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/13049>


1982 年の未来を今日の現在と比較する
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     文: Michael E. Cohen: <mcohen @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13073>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   1982 年の 6 月は、IBM 5150 (初代の IBM 製 PC) が世に出てまだ一年も経た
   ない頃だった。Apple の売れ筋は Apple II+ で、初代の Macintosh が登場す
   るのもあとたった一年半後に控えていた。インターネットはそもそもまだ存在
   せず、この "internet" という単語は TCP/IP を利用する非商用のネットワー
   クのみ、例えば ARPANET や MILNET といったものをあいまいに一括りにした
   意味に使われていた。

<http://www.folklore.org/StoryView.py?project=Macintosh&story=Intro_Demo.txt>

   その同じ月、New York Times 紙上に、National Science Foundation (NSF,
   全米科学財団) の報告書 "Teletext and Videotex in the United States" が
   近々リリースされるという記事が掲載された。この報告書には、米国において
   1998 年に至るまでに電子的通信のテクノロジーがどのような影響を及ぼすだ
   ろうかという予測が展開された。New York Times 紙上に掲載された要約を見
   ても分かることだが、この報告書は、たとえテクノロジー的な詳細は奇妙なほ
   ど的外れであり、コンピューティングの分散化(非集中化)という点を見逃し
   ていたとしても、電子的通信が社会に及ぼす影響について驚くほど正確な未来
   予想となっていた。

<http://www.nytimes.com/1982/06/14/us/study-says-technology-could-transform-society.html>


**Teletext と Videotex** -- この報告書は National Science Foundation に
   委託されてカリフォルニア州 Menlo Park にある Institute of the Future
   の John Tydeman が執筆したものだが、二つのタイプの家庭用システムを想定
   した。一つは一方向のコミュニケーションシステムで "teletext" と名付けら
   れ、もう一つは双方向のシステムで "videotex" と名付けられた。報告書の大
   部分は双方向システムの持つ変革的効果の分析に向けられ、New York Times
   紙の記事では「コミュニケーションとコンピューティングという二つの旧テク
   ノロジーの融合により生まれつつある videotex 業界」に基づく双方向システ
   ムだと説明された。

<http://www.iftf.org/>

   この videotex のサービスは家庭用「ターミナル」を通じて届けられ、二十世
   紀の終わりまでに米国の 40 パーセントの家庭で使われるようになるであろう、
   またその供給力は広告によって推し進められ資金的支援を受けるようになるで
   あろうと予想された。現実に起こったことを見れば、その家庭用ターミナルの
   役割をパーソナルコンピュータが担い、videotex サービスとは現実にはさま
   ざまのプロバイダを通じてさまざまの手段で行なわれるインターネットとワー
   ルド・ワイド・ウェブへの接続のことであった。

   では、家庭用インターネットサービスの数字を比較すると? 報告書が予想し
   た 1998 年での家庭普及率は楽観的に過ぎるもので、U.S. Census のデータに
   よればその年の実際の家庭普及率は 26.2 パーセントに過ぎなかったけれども、
   そのたった二年後には既に米国におけるインターネットに接続した家庭の割合
   が 40 パーセントを超えていた。(現在では 75 パーセントを超えている。)

<http://www.census.gov/prod/2001pubs/p23-207.pdf>


**コントロールとコンテンツ** -- 報告書は人々が videotex システムを使って、
   利用できる情報のタイプを調整したり組み合わせたりする様についても語って
   いる。いわく、videotex サービスの購読者たちは「自分たちで独自の新聞を
   作ったり、自分たちに合ったカリキュラムをデザインしたり、自分たち独自の
   消費者ガイドを作ったりするだろう。」

   現実には、大多数の人々は報告書が想像したほどには生産的でも組織的でもな
   かった。その代わりに、新世紀に入った当時の圧倒的多数のユーザーたちは、
   ただ一人一人バラバラに、まとまりなくウェブブックマークをやたらと集めて、
   その代わりますます高機能になる検索エンジンに依存するようになった。当時
   優勢だった AltaVista や、生まれたばかりの Google といった検索エンジン
   の力を借りて、それぞれ欲しい情報に向かって「サーフィン」したのだ。おそ
   らくこれは間違いないと思うが、Flipboard のようなアプリや、Paper.li の
   ようなサービス、そしてもちろん iTunes U や Khan Academy などから入手で
   きる膨大な講義のコレクションなどがある現在では、私たちは報告書の予想に
   ずっと近い位置にいるのだろう。

<http://flipboard.com/>
<http://paper.li/>
<http://www.khanacademy.org/>

   報告書は videotex システムが広く使われることの負の側面についても触れて
   いて、そのような状況が「新たな種類の市場操作やソーシャルエンジニアリン
   グを、政治的または経済的利得のために生み出してしまう危険がある」と書き
   添えている。これまでフィッシングで個人情報を盗まれてしまった人たちや、
   インターネット詐欺にひっかかった人たち、あるいは架空の政治的スキャンダ
   ルを扱った虚偽のニュース記事に惑わされたことのある人たちは、報告書のこ
   の部分の先見の明に気付くだろう。さらには、Angry Birds や FarmVille な
   どの「馬鹿馬鹿しい」ゲームの類いも、経済的利得のための市場操作の一つと
   言えるかもしれない。

<http://www.nytimes.com/2012/04/08/magazine/
 
angry-birds-farmville-and-other-hyperaddictive-stupid-games.html?_r=1&pagewanted=all>

   報告書にはまた、そのようなシステムが「家庭の住人たちの嗜好や挙動をその
   家庭の外へと持ち出す情報の流れを作り出す」ことの危険についても述べてい
   る。当然ながら、この予測はインターネット時代が生み出したプライバシー喪
   失の状況を正確に映し出すことになったけれども、実は 1982 年に危険と思わ
   れていたことの多くは、現在では既に Google、Facebook その他の会社のビジ
   ネスモデルにおいて社会的に受け入れられた一部となっており、これらの会社
   はその種の情報に依存してターゲット広告を届けることで(広告主にとっても
   訪問者にとっても)有効性を上げようとしている。


**変革的効果のチェックリスト** -- 予測によれば、videotex サービスが利用
   できることにより、家庭生活にも、ビジネスにも、また政治にも多くの変化が
   生じるとされた。それらの予測のいくつかを、一つ一つ見て行こう:

* 家庭が雇用の場となる: 大当たり。在宅勤務は、アメリカのビジネス手法の
   一部として、既に受け入れられている。新世紀に入った当時はまだテレワーク
   勤務の数はさほど増えていなかったが、その後年々その数は増え続けている。
   最近の調査によれば、2010 年には、2 千万人ないし 3 千万人が時折は自宅で
   勤務しており、1 千 5 百万人ないし 2 千万人がいわゆる「旅行く戦士たち」
   だという。さまざまのビジネスや政府機関でも、現在では何らかの形の在宅勤
   務に対応するのが普通のこととなっている。

<http://www.teleworkresearchnetwork.com/telecommuting-statistics>

* 家庭にいながらショッピング: 報告書には、これにより消費者たちが直接に
   製造業をコントロールできるようになるだろうと書かれている。その種の意味
   で供給プロセスをコントロールすることは、Etsy のようなサイトや、3D 印刷
   で作られた製品の登場する気配があったりする状況はあるものの、まだ現在は
   一般的でない。けれどもインターネットを通じたショッピングは、実際小売業
   界の風景を劇的に変えてしまった。Amazon や eBay,その他数え切れないほど
   の小さな小売業者たちを見れば一目瞭然だろう。半分当たり、というところか。

<http://www.etsy.com/>

* 職場や学校において社会化が薄れ、電子的交流に傾斜する: 人々はまだ職場
   や学校を社会的交流の場として見捨ててはいないけれど、Facebook、Twitter、
   テキストメッセージング、あるいはモバイルデバイスに搭載された社交機能を
   持つありとあらゆるアプリのお陰で、この予言は大当たりと言えるだろう。

* 情報仲介業者や情報管理業者など新たな職業が出現する: これらは、検索エ
   ンジン最適化のスペシャリストから、情報集積業やデータ発掘業まで、さまざ
   まな種類の外見や形態で出現してきた。例えば Career Builder のようなサイ
   トを見てみるだけでも、「情報仲介業者」というのが今や単なる職種でなく大
   きな職種カテゴリーであることが分かる。だから、これも当たりだ。

<http://www.careerbuilder.com/jobs/keyword/information%20broker/>

* 二大政党の政治システムが断片化する: 報告書の予測は、「videotex は二大
   政党制の終わりを意味するかもしれない。投票者たちは多様な候補者名簿を支
   持するために連帯してさまざまのネットワークを形成し、その数は数百にもの
   ぼるかもしれない」というものであった。その後の現実はと言えば、米国にお
   ける二大政党制は単に持続したのみならず、ますます凝り固まり分極化したも
   のとなっている。他方、さまざまな草の根運動が情報テクノロジーを利用して
   組織され、資金を集め、変化を起こす、というのは極めて現実的なものとなり、
   政治の風景のますます活力ある一部分となっている。これは部分的に当たりだ。


**知ってさえいたら** -- この報告書が出版された 1982 年当時は、National
   Science Foundation がこのような報告書を出すのは政府資金の無駄遣いだと
   非難する人たちも多かったに違いない。けれども、たとえそうだったとしても、
   これは薄気味悪いほど正確なる無駄遣いであったと言える。当時たまたまこの
   報告書を読んで、それに注目して、その予測を念頭に置いて長期的なビジネス
   戦略やキャリア選択を練った人たちは、予測された変化が大筋においてその通
   りに起こったことで、きっとその恩恵を受けられる立場にいたことだろう。

   でも悲しいことに、報告書には空飛ぶ自動車のことが何も書いてない。ねえ、
   二十一世紀には、空飛ぶ自動車ができるはずじゃなかったっけ?


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サンドボックス化、Gatekeeper と Mac App Store について質問に答える
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     文: Rich Mogull: <rich @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13071>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   Apple は、Mac プラットフォームにおける大きな移行のただ中にある。多くの
   ユーザーが Mac に集まるようになるにつれて、犯罪者たちも集まってくるの
   は自然な流れと言える。市場に占めるシェアが増えるに従って、Mac コミュニ
   ティーが犯罪者たちにとって十分金になるターゲットとなるからだ。けれども、
   Apple は明らかにこのリスクを認識している。現時点でマルウェアが存在しな
   い iOS の世界から教訓を得て、Apple は Mac OS X 10.5 Leopard のリリース
   以後 Mac OS X のセキュリティを強化し続けてきた。初めのうちはゆっくりと
   であったが、最近は大きくそのペースを上げつつある。

   Apple の戦略は五つの技術的な柱に支えられている。Mac OS X の基礎を成す
   セキュリティを強化すること、(今日最も頻繁に攻撃の手段に使われているの
   はウェブブラウザなので) Safari を堅牢にすること、攻撃の手段を制限する
   ためにアプリがサンドボックス化のテクニックを使うよう奨励すること、Mac
   App Store からできる限り悪意あるアプリケーションを排除すること、それか
   ら 10.8 Mountain Lion 以降では、Gatekeeper を用いることによってユーザー
   がアタッカーに騙され悪意あるアプリケーションをダウンロードし走らせる可
   能性を減らすこと、以上の五つだ。

   でも私たちはこれを単に技術的な戦いがエスカレートし続ける状況とのみ捉え
   るべきでない。これらの変更における Apple の真の目標は、とりわけ Mac App
   Store、サンドボックス化、Gatekeeper という組み合わせを巡る目標は、悪者
   たちがビジネスを続けて行けるような経済状況を破壊することにあるのであっ
   て、偶発的な小競り合いがいつまでも延々と戦われることを目指したものでは
   ないのだ。

   Uncle Ben[訳者注: Spider-Man の登場人物]の言葉にある通り「大いなる
   力には大いなる責任が伴う」ものだ。Apple が Mac OS X の中に (Apple によ
   り) コントロールされた使用体験の比重をより大きくするにつれて、怖れを抱
   くユーザーもいるだろう。それはまた、多くの開発者たちにとっての問題とも
   なり得る。Cupertino における最大の課題は、コントロールと自由との最適な
   バランスを見つけ出し、それを保持することだ。つまり、1984 年以来 Mac を
   これほどまで魅力的なものとしてきた革新的な精神を持ち続けたいのならば。

   ここでは、特にサンドボックス化と Mac App Store、それに Gatekeeper につ
   いて特に焦点を絞って検討してみたい。これら三つこそが、攻撃に対する防御
   として最も有望な手段を提供すると同時に、Macintosh の魂にとって最も大き
   なリスクを生み出すものでもあるからだ。この記事は一連の質問に対する回答
   という形でまとめてみた。さらなる質問をお持ちの方は、どうぞコメントとし
   て質問を寄せて頂きたい。


**サンドボックス化とは何か?** -- 実際的に言えば、サンドボックス化により
   アプリケーションがあなたのコンピュータに予想外のことをすることがなくな
   る。それぞれのアプリケーションを分離し、それらがあなたの Mac 上ででき
   ることを最小限に抑えるために、サンドボックス化は一連のテクニックを指定
   して包み込む。その背後にあるのは、アプリケーションは意図的にも、または
   アタッカーに改変された結果としても、あなたのコンピュータに害を及ぼすこ
   とがあり得るので、アプリを「サンドボックス」の中に押し込めることによっ
   て潜在的な損害に限度を設けようという考え方だ。サンドボックス化されたア
   プリケーションは、何が実行可能なアクションかを厳しく規定した一連のルー
   ルの下でのみ、あなたのコンピュータの残りの部分とやり取りすることが許さ
   れる。このサンドボックス化は、ずっと以前から存在しており、Mac OS X や
   Windows、その他のオペレーティングシステムで既に使われている。

   その動作の方法をごく単純化して説明しよう。普通の、サンドボックス化され
   ていないアプリケーションは、あなたのコンピュータ上のすべてのものにフル
   にアクセスできる。ファイルシステム上のどこにあるファイルでも読み書きで
   き、ネットワークのトラフィックを傍受したり送信したり、あなたがタイプす
   るものを監視したり、あなたのカメラやマイクロフォンをコントロールしたり、
   その他いろいろのことができる。(技術的に言えば、アプリはそれがどの保護
   リングの中で走っているか、どのユーザーアカウントがアクティブかによって
   限定を受けるが、その点はここでの議論の本筋にあまり関係がない。)たとえ
   そのアプリがそうした機能のすべてを利用するようプログラミングされていな
   かったとしても、アプリにできる範囲をオペレーティングシステムが制限する
   ことはない。だから、コンピュータを攻撃するための最も一般的な方法の一つ
   は、脆弱性を持つアプリケーションを見つけ出し、その脆弱性を突いてそのア
   プリケーションの中に悪意あるコードを注入し、それからそのアプリケーショ
   ンを用いてその悪意あるコードを走らせ、さらなるアクションを実行する、と
   いうものだ。

   これとは対照的に、サンドボックス化されたアプリケーションはフルアクセス
   を持って動作しない。その代わり、そのアプリケーションは限定を受けたコン
   テナの内部で動き、あなたの Mac の残りの部分とは隔離される。だから、た
   とえアタッカーがそのアプリの脆弱性を突いて悪意あるコードを注入したとし
   ても、その悪意あるコードもまたそのサンドボックスの中に制限される。

   シンプルな独立動作のアプリ、例えば気軽なゲームなどでは、何の問題も起こ
   らないだろう。Angry Birds ゲームなら、簡単にサンドボックス化できる。け
   れどももっと複雑なプログラムでは、サンドボックス化は直ちに問題を引き起
   こす。例えばファイルを保存したり、ネットワークにアクセスしたりといった
   ことだ。この問題を回避するため、個々のアプリケーションには Mac の他の
   部分への限定的なアクセスを許す一連の「entitlement (資格)」が付与される。
   例えば、フルにサンドボックス化され何の entitlement も与えられないアプ
   リはそれ自身の持つディレクトリ以外の場所にファイルを保存することができ
   ないけれども、entitlement が一つ認められることで、そのアプリがあなたの
   ホームフォルダの中のどこにでもファイルを保存できるアクセス権が与えられ
   る。(そのような状態でも、アプリがファイルシステムのどこにでもファイル
   を保存できるよりはまだ安全だと言える。)

   iOS のアプリは厳しくサンドボックス化されている。iOS のアプリがお互いの
   ファイルにアクセスできないのはこれが理由だ。iOS は写真以外の共有ファイ
   ルにアクセスする entitlement を一切認めていない。だから、アプリとアプ
   リの間でファイルをコピーするために私たちは Open In コマンドを使わざる
   を得ない。

   率直に言って、iOS におけるこの制約は、セキュリティのために使い勝手を犠
   牲にしたものだ。けれども iOS における少なくとも大多数のアプリは、書類
   を作成したり処理したりはしない。(ただし iPad のお陰で状況は変わりつつ
   あるが。)一方 Mac では、はるかに多くのアプリケーションが書類を中心に
   動作し、ユーザー体験全体が Finder を中心に展開するので、そのようなシス
   テムを導入すればたちまち大惨事を引き起こしプロフェッショナルなユーザー
   たちは即座に Windows へ移って行ってしまうことだろう。同じ書類に複数の
   アプリが変更を加えられるためには膨大な数のコピーを作ることが必須となり、
   どの変更がどのコピーにあるのかを追跡するのは悪夢のような難問となるだろ
   う。そのような事情から、Apple は iOS アプリよりも多くの entitlement の
   可能性を Mac アプリ用に作り出したが、それでもなお、サンドボックス化さ
   れたアプリはサンドボックス化されていない仲間たちに比べてはるかに制約が
   多いままだ。

   全体的な目標は同じだ。つまり、アプリケーションが(そのデザインにより、
   あるいはアタッカーに改変されて)あなたのシステムに対して過剰なダメージ
   を与えないように守りたいということだ。ただ、Mac ユーザーの必要と iOS
   ユーザーの必要とは違うので、何を制限し何を entitlement とするかの適正
   なバランスを見つけ出すのが難しい。


**なぜサンドボックス化がそれほど重要なのか?** -- サンドボックス化は、控
   え目に言っても、非常に大きなことだ。オペレーティングシステムへの攻撃が
   困難なものとなるにつれて(信じない人もいるかもしれないが、今は実際かな
   り困難となった)アタッカーたちは特定のアプリケーションをターゲットにし
   始めた。Adobe Acrobat や Flash、Microsoft Office、Java、ウェブブラウザ、
   QuickTime に対する攻撃が、Mac OS X や Windows 自体に対する攻撃より頻繁
   に見られるようになってきている。だからこそ、現在既に、例えば Apple は
   Safari や QuickTime の一部を、Google は Chrome を、Adobe は Reader と
   Acrobat (ただしこれは Windows のみ) をサンドボックス化しているのだ。

   例えば Google Chrome を見てみよう。これはサンドボックス化の多用のお陰
   で、現在最もセキュアなウェブブラウザだという定評がある。Chrome は、そ
   の中に埋め込んだ独自バージョンの Adobe Flash さえもサンドボックス化し
   て、Flash に対する攻撃がコンピュータを乗っ取る可能性を減らすようにして
   いる。(Flash は、セキュリティの観点から問題が多いことで有名だ。)私の
   知る限り現実世界で Chrome への攻撃が成功した例は極めて少数で、Flash を
   ターゲットとして Chrome のサンドボックスを破った例はさらに少ない。この
   理由から、私は自分の Mac で Flash をアンインストールして、Flash を使う
   サイトは Chrome のみで見るようにしている。

   サンドボックス化も万能薬ではない。いくつかの entitlement は、アタッカー
   がサンドボックスの外で悪いことをするのを許すかもしれない。また、サンド
   ボックス自体もソフトウェアなので、それがクラックされることもあり得る。
   けれども、少なくともサンドボックスがあるお陰で、たとえその中にあるアプ
   リケーションに脆弱性があって攻撃を受けたとしても、アタッカーがあなたの
   Mac に足掛かりを得る前に超えなければならない新たなレイヤーが付け加えら
   れていることだけは間違いない。

   率直に言って、今日のアタックの状況を見れば、将来 _すべての_ コンピュー
   ティングプラットフォームにサンドボックス化が取り入れられることは間違い
   ないと思う。


**サンドボックス化と Mac App Store の関係は?** -- 2012 年 6 月 1 日現在、
   Mac App Store におけるすべての新規のアプリとメジャーなアップデートは、
   サンドボックス化されたものでなければならない。


**つまり、Mac App Store のアプリはすべてサンドボックス化済みか?** -- い
   や、そうではない。新規のアプリはすべてサンドボックス化されるが、既存の
   アプリは必ずしもそうではない。Apple によれば、サンドボックス化されてい
   ないアプリもバグ修正は認められるが、それ以外のアップグレードは認めない
   という。ここにも微妙な線引きが行なわれるだろうし、(少なくとも短期的に
   は)例外がいくつか発生するに違いない気がする。


**これによりアプリにどんな影響があるのか?** -- アプリによっては、サンド
   ボックス化をしようと思えば、既存の entitlement で提供されていない機能
   性を失う結果となる。どのような entitlement を開発者たちが利用できるの
   かの感じを掴むには、Apple の出している資料 "Enabling App Sandbox" を読
   むとよい。Apple はまた、開発者たちが認可を受けて臨時に使える一連の一時
   的 entitlement も提供しているが、これらは将来消滅するかもしれない。例
   えば Movies フォルダへのアクセスは正規の entitlement だが、(アプリ間で
   AppleScript ベースのコミュニケーションをするための) Apple Event へのア
   クセスは一時的な entitlement とされている。

<https://developer.apple.com/library/mac/ipad/#documentation/Miscellaneous/Reference/EntitlementKeyReference/EnablingAppSandbox/EnablingAppSandbox.html>
<https://developer.apple.com/library/mac/ipad/#documentation/Miscellaneous/Reference/EntitlementKeyReference/AppSandboxTemporaryExceptionEntitlements/AppSandboxTemporaryExceptionEntitlements.html>

   ある種の entitlement が存在しないこと、あるいは一時的な entitlement に
   依存することに対する開発者たちの不安は、Mac App Store にあるいくつかの
   アプリに既に影響を与えている。現在の entitlement の制約により実行不可
   能となった機能を削除してしまった開発者たちもいるし、機能を多くしたバー
   ジョンを Mac App Store 以外で提供している開発者たちもいる。Smile の人
   気あるタイピング拡張ユーティリティ TextExpander 4 は、まさにこの理由で
   Mac App Store では販売されていないが、バージョン 3.4.2 は Mac App Store
   で引き続き販売中だ。

   一方ユーザーたちは、機能が減ったことに悩まされるとともに複数バージョン
   のアプリに混乱し、そのいずれもが開発者たちに時間と経費を余分に課す結果
   となる。他方、サンドボックス化の強制により Mac App Store にあるすべて
   の新規およびアップデートされたアプリでセキュリティが強化される。


**なぜ Apple は Mac App Store にサンドボックス化を強制するのか?** --
   Apple は iOS から重要な教訓を得た。現時点で、iOS には一つもマルウェア
   が存在しておらず、広範囲にわたるアタックも一度も起こらなかった。これを
   Google Play と、とりわけ Google にサポートされていない Android ストア
   がマルウェアの Android アプリだらけである現状と比較してみれば対照的だ。
   Apple の App Store ではすべてのアプリにサンドボックス化が義務付けられ、
   すべてのアプリが審査を受ける。一方 Google Play (やそれに代わる市場) で
   は開発者にそのような要件が課されていない。App Store においては Apple
   が厳重な管理をしていて最も安全なユーザー体験が提供されており、あなたが
   それを意識するかどうかにかかわらず、App Store ではマルウェアがあなたの
   iPhone や iPad に悪いことをする心配がないというのが事実だ。

<http://securitywatch.pcmag.com/none/298206-android-malware-spikes-in-2012>

   Android のサイバー犯罪者たちが、Windows ユーザーを攻撃するのに成功した
   ものと同じテクニックを使っているのを、私たちは見てきた。例えば人気ある
   アプリケーションのさまざまのバージョンの中にトロイの木馬を隠したり、セ
   キュリティ用アプリになりすましたり、自動ダウンロードをさせたりといった
   テクニックだ。

<http://www.crn.com/news/security/240000735/report-android-malware-growing-exponentially.htm>
<http://www.pcworld.com/article/257858/new_android_malware_is_disguised_as_a_security_app.html>
<http://www.scmagazine.com/android-malware-spreads-via-website-injection-campaigns/article/239596/>

   たとえ誰かが App Store に悪意あるアプリを潜り込ませることに成功したと
   しても(概念検証実験として成功させた研究者たちもいる)あるいはアプリが
   後になって改変されアタックに用いられたとしても、Apple はそれを削除して
   新規の感染を止めることができる。(Apple は iOS デバイスからアプリをア
   ンインストールはしないが、本当に悪い状況の下ではソフトウェアアップデー
   トによってそれをすることは可能だ。)

   Apple はこれと同じ体験を Mac のユーザーにも提供し、アプリケーションを
   購入しインストールするための安全な場所を実現させたいと思っている。はっ
   きりとそれが Mac App Store の利点だと宣伝することはないかもしれないが、
   実質的にセキュリティがユーザーたちの懸念材料から消え去ることを Apple
   は望んでいる。


**悪者がサンドボックスを破ることはあり得るか?** -- おそらく、それはある
   だろう。そうなれば Apple はもう一段の強化をするだろう。すると悪者たち
   はまたそれを破るだろう。それはいつまでも繰り返す。完璧なテクノロジーな
   どない。けれどもサンドボックス化は間違いなくアタックにかかるコストを引
   き上げる。実際、アタックにかかるコストが非常に大きくなるので、潜在的な
   悪者のうちでサンドボックスをターゲットとしクラックできるだけのスキルと
   資金を持ち合わせていない連中がきれいさっぱりと拭い去られることになる。


**サンドボックス化の強制に不都合な面はあるのか?** -- もちろんある。すべ
   てのアプリケーションがサンドボックス化のための要件を満たすことができる
   とは限らない。Mac は汎用目的のコンピュータなので、当然ながら、開発者た
   ちは常に新たな革新的なる応用を思い付いて、Apple が予想もしていなかった、
   従って entitlement を作りもしなかった事柄ができる(そのような事柄をす
   る必要のある)アプリケーションを作り出すだろう。

   今後決して Mac App Store で販売されることのないアプリもいくつかある。
   これは問題だ。なぜなら、より多くのユーザーたちがアプリを求めて Mac App
   Store に行くようになるに従い、その種のアプリの開発者たちにとっては十分
   多くの人々に手を届かせることが経済的に困難となるかもしれないからだ。

   長期的にこれがどんな結果を生むのか、私たちには分からない。私としては、
   全体的な Mac の市場シェアが伸びるにつれて、Mac App Store にも、独立に
   販売されるアプリケーションにも、双方ともにより多くの機会が生み出される
   ことを願いたい。もしそうなれば、サンドボックス化されていないアプリを
   Mac App Store で販売できないことにも埋め合わせがつくだろうからだ。もち
   ろんそれは楽観的な見方に違いないし、小規模の開発者がそのアプリがサンド
   ボックス化不可能なために Mac App Store で販売できない結果として売上げ
   が伸びず廃業を余儀なくされるということも十分にあり得る。

   Apple は、特に開発者たちから、Mac App Store におけるその他の問題につい
   ても批判を受けている。(例えば、気まぐれでろくに説明も伴わない却下や、
   デモ版を受け入れないこと、ユーザーのレビューへの反応や顧客とのコミュニ
   ケーションが許されないことなどがある。)これら他の不満に対処することな
   くサンドボックス化を強制した結果、開発者たちの間には懸念や不安が高まっ
   たし、また Mac App Store のポリシーとサンドボックス化とが結び付けられ
   た結果(私の考え過ぎかもしれないが)この価値あるセキュリティテクニック
   の認知に悪影響が出ているような気もする。


**なぜサンドボックス化をオプションにしないのか?** -- 経験に基づいて言え
   るのは、セキュリティをオプションにすればそれはもはやセキュリティではな
   いということだ。Microsoft はもう何年も前からサンドボックス機能を提供し
   てきたけれど、それを実際に使っている開発者は事実上いない。Microsoft は
   開発者たちに対して ASLR や EMET のような攻撃対策テクノロジーを採用させ
   るべく苦闘してきた。それらのテクノロジーは開発者ツールに内蔵されている
   ので採用しても基本的に何のコストもかからないにもかかわらず、その努力が
   実を結ぶことはなかった。第一、Microsoft が _Apple_ を説得して同社製の
   Windows アプリケーションに ASLR を組み込ませるのにさえ、何年もかかった
   のだから。

   Apple は Mac App Store を可能な限り安全なところにしたいと思っている。
   それは宣伝のためかもしれないし、利他的精神によるものなのかもしれない。
   けれどもその結果が私たちの安全を改善するものであるのなら、それがどんな
   動機によるものであるかは関係ない。過去の歴史に照らして考えれば、もしも
   Apple がサンドボックス化を強制しなかったならば、それを使う開発者はほと
   んど誰もいなかっただろう。こんな風に言いたくはないのだが、長年セキュリ
   ティの世界で仕事をしてきた私の経験のすべてが、また私以外のセキュリティ
   のプロフェッショナルたちの経験が、鞭をあてなければ鼻先のニンジンを食べ
   る馬はほんの少数だと語っている。


**Apple は自分のアプリをサンドボックス化しているか?** -- Mac App Store
   で販売されているものはそうなっていない。それに正直言って、Apple が自分
   自身のルールにもっと従っていたならば、開発者たちとの間の事態ももっと進
   展していただろうにと思う。また、Apple はそうすることで開発者たちの懸念
   をよりよく理解し、自社のチームが同じ制限の下で働かなければならないこと
   で entitlement の改善に繋げることもできるだろう。社内的にはその方向に
   向かっているのかもしれないが、現在 Mac App Store にある Apple のメジャー
   なアプリケーション (Aperture、Final Cut Pro、iLife、iWork など) の現行
   バージョンはサンドボックス化されていない。

   それが悪い見本になっているということは別としても、悪者たちが Apple の
   アプリケーションをもターゲットとして考慮しているということは念頭に置か
   ねばなるまい。何しろ、iTunes はほぼすべての Mac に存在しているのだから、
   これがサンドボックス化されていなければ、マルウェアの供給路としてなおさ
   ら魅力的なものとなる。iPhoto はおそらくターゲットのリストの二番目に来
   るだろうし、GarageBand、Pages、Keynote、Numbers、その後にプロフェッショ
   ナル向けの各種アプリが続くだろう。


**Apple が特定のアプリまたは開発者に例外を認めることはあるか?** -- それ
   はあるかもしれない。ただ、これまでにそういう例があったとしても、誰もそ
   れを口に出して言ってはいない。私の印象では、Apple でポリシー作成を担当
   している人たちは、少なくとも社内的には、未だに手探りの状態なのだと思う。
   (いろいろな開発者たちの報告によれば、既に entitlement によってカバー
   されているのでない適用除外措置に関して何を問い合わせても、Apple からは
   完璧な沈黙しか返ってこないとのことだ。)メジャーな開発者たちや、革新的
   な開発者たちに対して、Apple が適用除外措置を認めることがあるのかどうか、
   私たちは注目している必要がある。ただ、現在のところルールは頑として動か
   せない。私に言えることがあるとすれば、私が Apple と議論した範囲内では、
   サンドボックス化の強制も entitlement のリストも、いずれもまだ、例えば
   フロッピードライブの廃止ほどには、最終的な段階に達していないという感じ
   を私は受けている。


**Gatekeeper はこれにどう関係するのか?** -- Gatekeeper は Mountain Lion
   の新機能で、ダウンロードしたアプリケーションのうちどの種類のものがあな
   たの Mac 上で動作するかを制限できるようにする。Apple は Mac App Store
   とサンドボックス化の強制によってアプリを購入するための安全な場所をユー
   ザーに用意したが、Gatekeeper はサイバー犯罪の経済的な核心を狙い打つた
   めに作られたものだ。

   悪意あるソフトウェアを誰かの Mac に持ち込むために最も一般的に使われる
   方法の一つは、その人を騙してそれをダウンロードさせインストールさせるこ
   とだ。犯罪者たちは巧みなテクニックを用いて、経験の少ないユーザーのみな
   らず、知識豊富なユーザーも、さらにはセキュリティのプロさえも騙している。
   ダウンロードされたソフトウェアが Mac App Store または既知の開発者から
   来たものでない限り起動できないようにすることで、Gatekeeper はこの種の
   方法による感染に対してドアを閉ざすことができる。

   悪者たちが Gatekeeper を回避する方法を試みていることは疑いない。例えば、
   正当な開発者の開発者 ID を盗み出して使うなどの方法だ。けれどもここでも
   やはり、Gatekeeper を追加することによって、広く流布させることのできる
   マルウェアを作成するのが以前よりずっと困難になり、それによって悪者たち
   が得られるかもしれない利益が減ることになる。


**Gatekeeper はどのように動作するのか?** -- 私は記事“Gatekeeper が Mac
   のマルウェア流行にピシャリとドアを閉める”(2012 年 2 月 16 日) の中で
   Gatekeeper の機能を詳しく説明したが、その要点を簡単にまとめておこう:

<http://tidbits.com/article/12795>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1114.html#lnk2>
   "Gatekeeper が Mac のマルウェア流行にピシャリとドアを閉める"

* Gatekeeper で、あなたは _ダウンロードした_ アプリケーションのうちあな
   たの Mac で起動できるものを制限できる。可能性は三種類で、Mac App Store
   からダウンロードしたもののみ、Mac App Store からダウンロードしたものお
   よび開発者 ID による署名の入ったアプリケーションのみ、それと制限なしの
   三つだ。デフォルトでは Mac App Store のアプリに加えて開発者 ID で署名
   されたアプリを許すようになっている。

* Gatekeeper は、Apple が管理するリストに載っているプログラム(ウェブブ
   ラウザなど)を使ってダウンロードされたアプリケーションのみをチェックす
   る。つまり、ダウンロードされたファイルすべてが検査される訳ではないし、
   また Dropbox などクラウドストレージサービスや、USB フラッシュドライブ、
   CD/DVD、その他のメディアを使って転送されたファイルは対象とならない。

* アプリケーションを Control-クリックしてから Open を選べば Gatekeeper
   を迂回してどんなアプリケーションでも走らせることができるが、このコマン
   ドは意図的に隠れたところに置かれ、直観的な手順では使えないようにされて
   いる。少なくとも、これを使う際にユーザーが普通でない手順をしていると意
   識できるよう配慮されている。Apple がこれを単にダイアログで Open Anyway
   ボタンを押すというよりも困難な手順にしたのは意図的なものだ。なぜなら、
   私たちユーザーは何でも見ずにクリックしてしまいがちだからだ。

* Gatekeeper はダウンロードしたアプリケーションが初めて走る際にのみチェッ
   クをする。それからもちろん、ダウンロードされたアプリしかチェック対象で
   ないので、あなたが Mountain Lion にアップグレードするより以前に既にイ
   ンストールされていたアプリケーションはチェックされない。

   Gatekeeper についてはまだまだたくさん語るべきことがあるが、知っておく
   べき第一は、いったん Mountain Lion にアップグレードした後は、あなたが
   いくつか余計な手順を踏まない限り、Mac App Store から入手したものか、開
   発者 ID による署名の入ったもの以外の、新規にダウンロードしたアプリケー
   ションは走らせられなくなる、ということだ。


**既に大多数の開発者たちが開発者 ID を使っているのか?** -- 今のところま
   だそうはなっていないが、私が Apple 社内の情報源から聞いた話では、採用
   は急激に増えつつある。Adobe など大手の出版元ではそれぞれのアプリケーショ
   ンのアップデートを出しつつあるし、私が普段使っている小規模なところのア
   プリも多くが開発者 ID を組み込んでアップデートされた。私たちが TidBITS
   監視リストでお知らせしているアップデートをフォローして下さっている方な
   ら、それらのアプリが Gatekeeper に対応するため開発者の署名が組み込まれ
   たことに、私たちが触れていることにお気付きだろう。

<http://tidbits.com/search/Gatekeeper>


**私が使うアプリの出所を制限すればセキュリティは向上するのか?** -- ほと
   んどのユーザーは Mac のデフォルトを変更したりしない。ここまで議論して
   きたように、起動できるアプリケーションを Mac App Store から来たものの
   みに制限するということは、Apple による検査を受けたアプリのみが手に入る
   ことを意味する。それらの多くはまたサンドボックス化もされている。いずれ
   は、すべてがそうなるだろう。

   けれども、この点についても議論してきたが、必ずしもすべてのプログラムが
   Mac App Store のサンドボックス化要件を満たすことが可能な訳ではない。仮
   にもしも Gatekeeper が Mac App Store のアプリとそうでないアプリという
   基準のみで判別していたとすれば、ユーザーの多くが制限なしの設定を選ぶこ
   とになっただろう。なぜなら、他の場所からダウンロードしたアプリケーショ
   ンの扱いが極めて面倒なことになってしまうだろうからだ。開発者 ID による
   署名の入ったアプリをデフォルトで許すように設定したことの素晴らしさは、
   これなら私たちも大多数の正当なアプリを面倒なことなしにインストールでき
   る一方で、Apple が _アプリケーション_ レベルの代わりに _開発者_ レベル
   でコントロールを保持できるところにある。

   開発者たちはそれぞれに無料で割り当てられた開発者 ID を使って何でも好き
   なものに署名を入れることができ、署名入りのアプリを Apple が審査するこ
   とはない。けれども、もしも署名入りのアプリで悪意あると判明したものが出
   現すれば、Apple はその開発者の証明書をブラックリストに載せるとともに、
   その開発者からのアプリをすべて Gatekeeper がブロックして他のユーザーが
   インストールできないようにすることができる。

   このテクニックによって、マルウェアの広がりが劇的に少なくなるかもしれな
   い。たとえどこかの犯罪者が開発者 ID を獲得するか盗み出すかしたとしても、
   それが発見され Apple がその ID をブラックリストに載せるやいなや、その
   マルウェアが他の Gatekeeper 搭載 Mac に広がることはなくなる。

   Gatekeeper も完璧なセキュリティコントロールではないし、そのように意図
   して作られたものでもない。広範囲にまん延するアタックに焦点を絞ることで、
   ユーザーを騙して悪い物をインストールさせる方法で広がる Mac マルウェア
   の経済的生存能力を Apple は減らそうとしているのだ。攻撃を減らすために
   Mac 自体の守りをさらに強化したことと組み合わされて、Mac に対する攻撃は
   ますます高くつくようになる。

   (それからもちろん、開発者たちは自分の開発者 ID を本気で守らなければな
   らない。もしも開発者 ID が盗まれてマルウェアの中で使われれば、Apple の
   ブラックリストがその開発者 ID による署名の入ったすべての正当なソフトウェ
   アにも適用され、即座に売上げが落ちるとともに深刻な評判の低下が起こるだ
   ろうからだ。開発者たちと協力して問題解決にあたることに関して、Apple は
   ろくな実績を残していない。だから、もしもそんな事態が起これば状況が改善
   されるまでに相当長い時間が過ぎてしまうのも想像に難くない。)


**これらセキュリティテクノロジーがユーザーや開発者にとって心配な点は?**
   -- 一言で言えば、iOS の中にこそ、その利点もリスクもともに見て取れる。
   私たちの汎用の Mac においてこの種の制限が課されることはかつて一度もな
   かったけれども、iOS ではそれが実際に動くのを私たちは目撃してきた。iOS
   では、何が可能かについてはっきりとした制限がある(中央化されたファイル
   システムが存在しないことがその重要な例だ)し、iOS で Apple はたびたび
   その門番 (gatekeeper) としての役割を乱用してきた。

   サンドボックス化によって課される制限は、開発者たちにとっては自分たちが
   もはや自由に革新することができなくなり Mac App Store のサンドボックス
   強制の枠内でのみ生き延びるか、または Mac App Store の外で十分多くの市
   場を手にすることができず開発経費を正当化することさえできなくなるか、い
   ずれかの道しか残されないのではないかという心配の中に取り残されることに
   なる。開発者たちにはまた、私たちが iOS App Store で目撃してきたように、
   ルールが勝手に変更されたり Apple が単純にルールに従わなかったりといっ
   た事態が起こるのではないかという心配もある。Apple が気まぐれな挙動をし
   た事例は何度もあって、普通ならば正当なはずのアプリを理由もなく却下した
   こともある。開発のために大きな時間と費用を投入しなければならない開発者
   たちにとって、市場が公正な方法で公明正大に動いていることは必須の条件だ。
   一貫性のあるルールがなければ、市場は生き残れない。

   私はまた多くの開発者たちやパワーユーザーたちと話をして、私たちが Mac
   の上で何を走らせるかを Apple がコントロールしたがっているのではないか
   という懸念の声を聞いた。彼らが心配するのは、Apple が将来のどこかの時点
   で、すべてのものが Mac App Store 経由でなければならずすべてがサンドボッ
   クス化されていなければならないという義務化を実施するのではないか、ある
   いは、市場のあまりにも多くの部分が Mac App Store に依存するようになっ
   てそれ以外の場所でソフトウェアが生き延びる道が閉ざされるのではないか、
   といったことだ。その結果は平均的ユーザーたちにとってはより安全な環境を
   意味するかもしれないが、プロフェッショナルのユーザーたちにはその代償と
   して自由が失われ、高度な機能も失われるのではないか、という懸念だ。

   私は確かに自分の iPad が大好きだが、それと同じくらいに私の Mac で使う
   さまざまの素晴らしいツールや微調整も大好きだ。それらの多くは、完全にサ
   ンドボックス化された世界においては使えなくなるだろう。

   未来を予測することはできないけれど、私の個人的な感覚を信じるならば、現
   在 Apple で働いているチームは汎用目的のコンピュータと iOS デバイスとの
   違いを認識していると思う。彼らが Gatekeeper を単純に Mac App Store の
   使用を強制するものとはせず開発者 ID による方法をも作り出してくれたこと
   は、彼らが自由と安全とのバランスを図っていることを示す兆候だろう。また、
   Apple はサンドボックスの entitlement の拡張もしてきた。ただし、彼らが
   その部分を「一時的」と呼んでいる限り、その部分の機能に依存せざるを得な
   い会社は皆、いつ足元をすくわれるのかとビクビクしていなければならない。

   Apple がこの記事を読んでたった一つだけ心に留めてくれるものがあるとした
   ら、それは次のことであって欲しいと思う: ユーザーたちも開発者たちも、
   この戦略による安全を大変ありがたいと思うだろうけれど、それと同時に、も
   しも Apple がコントロールの力を過度に行使したなら私たちはどこに向かう
   ことになるのかと恐れており、その恐れは非常に筋の通ったものだということ
   だ。サンドボックス化と Mac App Store は極めて緊密に相互接続しているの
   で、もしもサンドボックス化がユーザーを保護するためのものでなく全体的な
   ユーザー体験をコントロールするためのツールだと見なされてしまえば、その
   認知に対して否定的な影響が引き起こされることになる。Apple はあまりにも
   大きくパワフルで自らの思い通りにきっと何でもできるだろうが、論理的極端
   へと走ってしまうならば、かの Guy Kawasaki の処女作 "The Macintosh Way"
   (今は無料ダウンロードで入手できる) に鮮やかに描き出された Macintosh 流
   のユーザーたちにとって、それは大きな打撃となることだろう。

<http://www.guykawasaki.com/the-macintosh-way/>

   私の個人的考えでは、Apple は Mac を iOS デバイスと同じくらいロックダウ
   ンされたものにすることは望んでいないのではないかと思う。ただ、それが筋
   の通った懸念であることは、私たち皆が認める必要がある。iOS のあまりにも
   多くの部分が Lion の中に入り込み、さらにもっと多くが Mountain Lion に
   入り込もうとしているのだから。

   セキュリティの世界で日々働く者として、私は Apple が正しい方向に進みつ
   つあると思う。ただ、そこには改善の余地がある。セキュリティのためのこれ
   らのテクノロジーは、大局的な問題に対処するものとして効果があると実証さ
   れているし、私が思うに Microsoft もまた同様のエコシステムによる取り組
   みを Windows 8 (これは既に本質的に相当セキュアなものではあるが) への移
   行に伴って採用して行くべきだろう。けれども私の願いは、Apple がこれほど
   多くの熟練ユーザーたちや開発者たちが懸念を持っている理由を認識して欲し
   いということだ。もっと明瞭なコミュニケーションが実現されるようになれば、
   少なくともその懸念のいくつかは緩和されるだろう。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/13071#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/13071>


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 6 月 25 日
-----------------------------------------------------------
     文: TidBITS Staff: <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13084>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

**TextExpander 4.0** -- Smile が TextExpander 4.0 をリリースした。同社の
   タイピングショートカットユーティリティへのメジャーなアップデートで、長
   い文章、例えばフォームレターなどを自動化するための新機能がいくつか加わっ
   た。けれども、新機能とは別に、今回の新リリースでもう一つ注目すべきは、
   この最新バージョンの TextExpander を Smile が Mac App Store にリリース
   しないという事実だろう。これは Apple によるサンドボックス化の要件が原
   因だ。(この場合は、サンドボックス化をすると TextExpander が他のアプリ
   の中で働けなくなってしまうが、それをすることこそが TextExpander の存在
   理由なのだから。)TextExpander 4.0 は Smile のウェブサイトからのみ入手
   可能で、新規購入は $34.95、旧バージョンからのアップグレードは $15 だ。
   (ただし 2012 年 1 月 15 日以後に TextExpander を購入した人は無料でアッ
   プグレードできる。)さらに、TextExpander 4.0 では Mac OS X 10.7 Lion
   かそれ以降を要するようになった。(10.6 Snow Leopard のユーザーのために、
   バージョン 3.4.2 が引き続き Mac App Store で入手できる。)

<http://www.smilesoftware.com/TextExpander/>
<http://itunes.apple.com/us/app/textexpander-for-mac/id405274824?mt=12>

   新機能について言えば、今回のリリースで新しい "fill-in-the-blank" スニ
   ペットオプションが追加された。これを使ってテンプレートを作成し、名前や
   日付、さらにはカスタムのリンクや、変数アトリビュートの付いた HTML タグ
   などでパーソナライズできる。また、複数行にわたるテキストが入力できる
   fill-in 機能、複数選択のポップアップメニュー、必要に応じて呼び出せるオ
   プションのテキストブロックなども使えるようになった。TextExpander を使
   うのが初めてという人たちのためには Snippet Creation Assistant が組み込
   まれて新規のスニペットを作成するためのステップ・バイ・ステップのガイド
   を提供し、インターフェイスも改善されてポップアップメニューで fill-in
   スニペットが作成できるようになった。その他の機能拡張としては、テキスト
   フィールドやポップアップメニューのデフォルト値、テキストフィールドに入
   力している際のスニペット展開、フランス語とドイツ語の AutoCorrect スニ
   ペットグループ追加などがある。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には 20 パー
   セント割引、アップグレード $15 (2012 年 1 月 15 日以後の購入なら無料)、
   8.5 MB、リリースノート)

<http://tidbits.com/member_benefits.html>
<http://www.smilesoftware.com/TextExpander/releasenotesTE4.html>

   TextExpander 4.0 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/13082#comments>


**Skype 5.8.0.865** -- バージョン 5.8.0.865 にアップデートした Skype for
   Mac は、いくつかユーザーインターフェイスの改善を追加するとともに、間も
   なくリリースされる OS X 10.8 Mountain Lion への対応を追加している。今
   回のアップデートには改善された Contacts Monitor (他のアプリケーション
   を使っている際に以前よりコンパクトにリサイズできる)、モバイルデバイス
   が横置きと縦置きの表示切替をした場合にモバイルビデオ通話も自動的に向き
   が切り替わる機能、音量をコントロールするためのキーボードショートカット
   の追加、会話入力フィールドの SMS ボタン、などが組み込まれた。Skype
   Premium の購読者にはビデオ通話とスクリーン共有表示とを同時に見られるよ
   うにしてスクリーン共有を改善している。改善点の完全なリストは、リリース
   ノートを掲載した Skype Garage ブログ記事で一覧できる。(無料、23.3 MB)

<http://www.skype.com/intl/en-us/get-skype/on-your-computer/macosx/>
   (日本語)<http://www.skype.com/intl/ja/get-skype/on-your-computer/macosx/>
   "Skype for Mac OS X ? Facebookのチャットとビデオ通話が登場 ? Skype"
<http://blogs.skype.com/garage/2012/06/skype_58_for_mac.html>

   Skype 5.8.0.865 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/13079#comments>


**Bento 4.1.1** -- FileMaker が、同社の簡略化版 Mac 用データベースソフト
   ウェア Bento のバージョン 4.1.1 をリリースした。簡体字中国語ローカライ
   ズ版を追加したこと以外に新機能はないが、今回のリリースの焦点はむしろ、
   最近アップデートされた iPad アプリとの互換性を確保することにある。この
   Bento 4 for iPad アプリにはあなたのデータにアクセスするための四つの新
   しい方法、Form 表示、スプレッドシート風の Table 表示、Table と Form の
   表示を組み合わせた Split 表示、それから Libraries サイドバーの付いた
   Full Screen 表示が追加された。また、Retina ディスプレイ対応の 40 の新
   しいテーマや、タップ一つで Bento Template Exchange にアクセスして数多
   くの無料ですぐ使えるテンプレートにアクセスできる機能もある。

   Bento 4.1.1 for Mac は、既存のオーナーには(FileMaker から購入した場合
   も Mac App Store から購入した場合も)無料アップデートで、新規ユーザー
   には 2012 年 7 月 31 日までの期間限定で(定価 $49.99 のところ)$29.99
   の価格で販売中だ。同様に、Bento 4 for iPad も 2012 年 7 月 31 日までは
   (定価 $9.99 のところ)$4.99 となっている。ただし、前回のバージョンの
   Bento for iPad (バージョン 1.15) のオーナーに対する無料あるいは値引き
   されたアップグレードの道は(将来のアップデートの道も)用意されていない。
   (たとえ、あなたがほんの数日前に古い iPad 用バージョンを購入したのだと
   しても。)TUAW の Megan Lavey-Heaton が、古いバージョン 1.15 を最近に
   購入した人が返金を希望する場合にどこに連絡すればよいかの示唆を述べてい
   る。(Mac 版は新規購入 $49.99、期間限定で $29.99 に値引、無料アップデー
   ト、98.6 MB)

<http://www.filemaker.com/products/bento/mac.html>
   (日本語)<http://www.filemaker.co.jp/products/bento/mac.html>
   "パーソナル データベース ソフト - オーガナイザー ソフト | Bento 4"
<http://itunes.apple.com/us/app/bento-4-for-ipad-personal/id517414680?mt=8>
   (日本語 
)<http://itunes.apple.com/jp/app/bento-4-for-ipad-personal/id517414680?mt=8>
   "iTunes App Store で見つかる iPad 対応 Bento 4 for iPad - Personal Database"
<http://itunes.apple.com/us/app/bento/id413293930?mt=12>
   (日本語)<http://itunes.apple.com/jp/app/bento/id413293930?mt=12>
   "Mac App Store - Bento"
<http://www.tuaw.com/2012/06/20/with-bento-update-lack-of-app-store-upgrades-is-front-and-cente/>

   Bento 4.1.1 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/13078#comments>


ExtraBITS、2012 年 6 月 25 日
-----------------------------
     文: TidBITS Staff: <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/13083>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   今週紹介したい記事は一つだけだが、これはたっぷり読み甲斐があるだろう。
   NPR (National Public Radio) の一人の実習生が彼女の 11,000 曲にものぼる
   楽曲コレクションのうち彼女が購入したものはほとんどないと明かしたのに対
   して寄せられた興味深い反応を集めたものだからだ。


**NPR の実習生、音楽に金を払うことへの議論を再燃させる** -- NPR (National
   Public Radio) の "All Songs Considered" プログラムに参加した一人の実習
   生が最近ブログに投稿した記事で、自分は iTunes に 11,000 曲も保存してい
   るけれども自分で購入した CD は全部合わせても 15 枚ほどに過ぎないと書い
   た。彼女のこの記事に対して、嵐のような反応が寄せられた。興味深いことに、
   賛否双方の反応があった。そこで NPR の Robin Hilton がこのブログ記事に、
   多数の反応へのリンクを集めた。最も注目すべきはソングライターであり
   Georgia 大学の音楽ビジネスプログラムの講師でもある David Lowery による
   記事 "Letter to Emily White" だが、Hilton が引用した他の多くの反応記事
   も読む価値がある。

<http://www.npr.org/blogs/allsongs/2012/06/19/155313212/a-perpetual-debate-owning-music-in-the-digital-age>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/13080#comments>


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