TidBITS#1258 日本語版

TidBITS Japanese hosoka @ ca2.so-net.ne.jp
2015年 2月 14日 (土) 03:48:46 EST


TidBITS#1258/09-Feb-2015
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     英語版: <http://tidbits.com/issue/1258>
     日本語版: <http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1258.html>


   今週号の TidBITS では、元 Macworld 編集長の Jason Snell が Apple の新
   しい OS X 用 Photos のベータ版リリースを検討する。今年中に、この新しい
   アプリが iPhoto と Aperture 双方の後継として登場する。世の人々を驚かせ
   たニュースとして、FCC Chairman の Tom Wheeler がブロードバンドのプロバ
   イダを Title II に基づいて再分類すると発表した。(当然ながらプロバイダ
   各社は反発している。)これがどのような結果を生む可能性があるかについて
   Geoff Duncan が分析する。Apple ブランドのスタイラスペンが出るのではな
   いかという噂が飛び交っているが、Josh Centers は Apple Pen が未来の生活
   の中にあるだろうと思う理由を説明する。Mariva H. Aviram は視覚障害のあ
   る人のためのコンピューティングのシリーズ記事の最終回として、ハードウェ
   アと、エルゴノミクス、また低視力のユーザーたちの助けとなるべき革新に目
   を向ける。それから、Charles Edge の "Take Control of OS X Server" に
   Yosemite Server 対応に書き直した新バージョンが出たこと、すべてのユーザー
   が実行すべき手早いセキュリティ修正を概観する Joe Kissell のストリーム
   本 "Take Control of Security for Mac Users" の新しい章(チャプティクル)
   が出たことをお知らせする。今週注目すべきソフトウェアリリースは Evernote
   6.0.6 と Mellel 3.3.8 だ。

記事:
     "Take Control of Security for Mac Users" の Chapter 3、入手可に
     Photos for OS X ベータの第一印象
     "Take Control of OS X Server"、Yosemite Server 用にアップデート
     FCC、ネット中立性に本腰
     Apple Pen の可能性は?
     視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 5
     TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 2 月 9 日
     ExtraBITS、2015 年 2 月 9 日


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"Take Control of Security for Mac Users" の Chapter 3、入手可に
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     文: Adam C. Engst: <ace @ tidbits.com>, @adamengst
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15404>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp>

   Joe Kissell の現在進行形の "Take Control of Security for Mac Users" も、
   新しい章に入る時となった。私は、皆さんが先週の Chapter 1, "Introducing
   Mac Security" と Chapter 2, "Learn Security Basics" を楽しまれたことを願
   っている。今週、我々は Chapter 3, "Perform Quick Security Fixes" を用意
   した。これは、誰もがなすべき幾つかの簡単なことを取り上げている (リスクの
   度合いに応じて小さな違いはある) - これは言ってみれば、週末家を空ける時に
   玄関ドアを施錠するようなことである。具体的には、Joe は、大事なセキュリテ
   ィアップデートに遅れないでついて行く、そして幾つかの基本的なセキュリティ
   設定することについて話している。

<http://tidbits.com/article/15376>
<http://tidbits.com/article/15377>
<http://tidbits.com/article/15407>

   このチャプティクルは、そしてその先のものも、TidBITS 会員限定である。従っ
   て、もし読んだり、コメントしたりしたければ、TidBITS 会員プログラムに申し
   込んで頂く必要がある。もし既に TidBITS 会員であれば、申し込み時のメール
   アドレスを使って TidBITS サイトにログインして欲しい。"Take Control of
   Security for Mac Users" 電子本の完成版は、完了時点で PDF, EPUB, そして
   Mobipocket (Kindle) フォーマットにて一般向けに売り出される。

<http://tidbits.com/member_benefits.html>

   TidBITS 会員の他の特典としては、この本及びその他全ての Take Control 本に
   対する 30% の割引き、そして優れた Mac アプリに対する割引き、フルテキスト
   の RSS フィード、そしてバナー広告無しバージョンの TidBITS Web サイトが含
   まれる。皆さんが TidBITS 会員になることで、皆さんが長年目にしてきた種類
   のコンテンツを我々が引き続きお届けする助けとなる。それに今申し込んで頂け
   れば、Mac のセキュリティについても同時に学べる。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15404#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15404>


Photos for OS X ベータの第一印象
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     文: Jason Snell: <jsnell @ intertext.com>, @jsnell
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15403>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp>

   5 February 2015 に、Apple は新しい Photos for OS X アプリのベータバージ
   ョンを開発者と限定的な報道関係者向けにリリースした。昨年、Apple の他の既
   存写真アプリである iPhoto と Aperture を置き換えるものとして発表されてい
   た Photos は、当初 2015 年の初期にと約束されていた ("Apple、WWDC にて
   iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目" 2 June 2014 参照)。このリリースで、こ
   れがこの春には OS X 10.10.3 アップデートの一部としてリリースされることが
   見えてきた。

<https://www.apple.com/osx/photos-preview/>
<http://tidbits.com/article/14875>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1229.html#lnk8>
   "iPhoto と Aperture にサヨナラを"
<http://tidbits.com/article/14804>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1225.html#lnk5>
   "Apple、WWDC にて iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目"

   写真アプリの引っ越しをすることなど考えただけでも嫌気がさすが、iPhoto や
   Aperture の根っからのユーザーですら、これらの年老いたバージョンはますま
   す遅くそして不安定になっていることを認めるであろう。Apple は、これらをバ
   ラバラにして再構築するのではなく、初めから作り直すことにした。このアプロー
   チは、他の多くの Apple アプリのユーザーには、Final Cut Pro や iLife と
   iWork スイーツの両方を含んで、耳慣れた話であろう。


**新天地への架け橋** -- 初めて Photos を起動すると、このアプリはあなたの
   iPhoto ライブラリを自動的にアップグレードする。(もしあなたが二つ以上のラ
   イブラリを持っていることを検知した場合は、どれをアップグレードするかを選
   択するよう言ってくる。) このインポートプロセスが終わると、あなたの写真と
   ビデオの全部が現れるだけでなく、アルバム、フォルダ、ブック、カード、カレ
   ンダー、そしてスライドショーまで移行する。

   インポートされた iPhoto と Aperture ライブラリは原形を保ちそして使用可能
   であるが、これは一方向インポートである - 昔のアプリのライブラリはこの
   Photos アプリとは同期しないので、もし一枚の写真を一つの場所に追加しても、
   それは他の場所には現れない。Photos インポートのプロセスは、ディスクスペー
   スに関して言えば優しい - iPhoto や Aperture からインポートする写真を複製
   することはないので、貴重なストレージ空間を失うことはない。

   iPhoto や Aperture には、この新しいアプリへの引っ越しをしない部分もある。
   Photos は星評価をお気に入りで置き換える (表示はハートアイコン)。iPhoto
   や Aperture からの星評価やフラッグは (Aperture からの色ラベルも) キーワー
   ドへとマップされそれぞれの写真に付与されるので、この情報を含んだ画像を検
   索することは可能である。

   Photos の感じは iPhoto や Aperture と言うよりもむしろ Mac バージョンの
   iOS Photos アプリのようである、少なくとも、あなたの写真ライブラリをブラ
   ウズしている時は。ズームアウトすると (トラックパッド上でピンチすることで
   も出来る) 最初に場所で定義された一連の短いイベントが提示される。更にズー
   ムアウトすると、より長い時間軸と場所のリストを見ることになる。更にズーム
   すると年毎に区分けされた巨大な写真の集まりが現れる。

   Albums タブの下 (或いは、別法として View メニューから Show Sidebar を選
   択した場合は、サイドバーの中) には、幾つかのやり方で整理されたあなたのメ
   ディアが見られる。iOS カメラでサポートされている全てのメディア型 - パノ
   ラマ、ビデオ、そしてスローモービデオ - は、それぞれのスマートアルバムへ
   と区分けされる。それから、自動的に生成される Favorites アルバムもあり、
   ここには一式の最も最近インポートされたメディア、そして見慣れた Faces タ
   ブがある。後者は程度の差はあるが iPhoto からそのまま移行されたと言える。
   消えたのは、地図上の場所毎に全ての写真を示す能力であるが、Photos の中の
   どのイベントをクリックしても、そのイベントに属する全ての写真の場所を含む
   地図が見られる。


**クラウド中の Photos** -- Photos の広告に出てくる機能は Apple の
   iCloud Photo Library サービスとの統合である。オプションではあるが、
   Photos にあなたの写真を自動的に Apple の iCloud サービスにアップロードす
   るよう設定出来る。このサービスではバックアップがなされ、iOS 機器からのア
   クセスも可能になる。(iOS 機器アクセスは iOS 8.2 に含まれ、このアップデー
   トは Photos がリリースされるのと同じ時期に提供されると見込まれる。)

   Photos を iCloud と同期すると、写真のストレージに関しては二つのオプショ
   ンが与えられる:Download Originals to This Mac を選べば、iCloud にある全
   てのファイルの最高品質のオリジナルバージョンがあなたの Mac 上にも保存さ
   れる;Optimize Mac Storage を選ぶと、最大解像度の写真とビデオは iCloud
   に置かれ、そして "十分な空きがあれば" これらはあなたの Mac 上にも保存さ
   れる。

   Photos がどのように十分な空きがあるかどうかを見極めるのか、そして、ただ
   写真をキャッシュするだけなのか、或いはあなたのファイルに手を付ける前に、
   あなたにはどれだけの空きスペースがあるのかについて本当に判断をするのかは、
   現時点では分からない。およそ 700 GB にも及ぶ家族写真と、小さなフラッシュ
   ストレージ付きの Mac を何台か持っている人間の一人として、私は私の Mac 及
   び iOS 機器の全てにある私の写真ライブラリ全部に、個別の機器にはライブラ
   リ全部を保持するに十分なスペースがなくとも、アクセス出来るという可能性に
   とても興奮している。

   Photos はまた、iOS 上で使える写真共有機能全てをも統合している。もし
   Photos アプリの iCloud 設定タブにある iCloud Photo Sharing にチェックを
   入れれば、あなたの iPhone や iPad 上で見られる同じ共有アルバムが見られる。
   そして、Share コマンドを使えば、メディア項目を Flickr, Facebook, そして
   Twitter と共有出来る。


**編集オプション** -- Photos には素敵な一連の写真編集機能が備わっている。
   写真をいじるのに時間をかけたくないという人向けには、ボタン一つの強調、傾
   いた画像を正すこともする自動切り取り機能、そして多数の効果を一度に適用す
   る一連の Instagram スタイルのフィルターがある。

   画像をもっといじりたいという人は、Adjustments の方を好むであろう。こちら
   には、明るさ、色、レベル、白バランス、鮮明化と解像度、ノイズ低減、周囲ぼ
   かし、そして白黒効果が含まれる。最後に、Retouch ツールがあり、こちらは周
   りをクリックしていって極めて初歩的な編集をし、結果が望みのものに近いこと
   を願うというものである。

   もし写真の編集を外部ツール、Photoshop の様な、を使って行いたいというので
   あれば、少なくともこのベータでは、画像をドラッグして外に出し、編集をし、
   その上でドラッグして戻すこと以上のことは出来ないように見える。Apple が将
   来外部編集機能、或いは何らかの画像編集機能拡張に対するサポートを許すこと
   を願いたいものである。


**速度の必要性** -- iPhoto がバージョンを重ねる度に、Apple は以前よりも
   速くなったと言ってきた。残念ながら、我々皆が新しい写真を撮り続け、我々の
   iPhoto ライブラリは大きくなり続け、そして iPhoto が追いつけることは決し
   て無かったように見える。

   絶対なんてことは言えないが、5,450 枚の画像ライブラリでの私のテストでは、
   Photos は紛れもなく速かった。スクロールが遅れることはなかった。ズームイ
   ンそしてアウトは迅速であった。望むことは、これが何万枚もの写真を持つライ
   ブラリでも引き続きそうであることである。

   これは未だベータバージョンであり、対象は開発者だけであることを意味する
   - そしてそれは結果にも出ている。私は、大きな iPhoto ライブラリの一つをイ
   ンポートするのに問題に遭遇したし、フォルダから数千枚の写真をインポートし
   ようとした時にはクラッシュした。何度か、このアプリを開いた時メインの
   Photos ビューは完全に空っぽだったのに、All Photos をクリックすると私の写
   真の全部が現れるということもあった。もし皆さんがこのベータへのアクセスを
   得られたとしても、あなたの主たるライブラリをこれに委ねてしまわないことを
   強くお勧めする。

   幸いにも、Apple には問題の多くを解決するのに、自ら課した締切日までまだ
   4 ヶ月以上の時間がある。しかし現時点では、Apple の機器間に、そしてクラウ
   ド上に散らばった写真ライブラリをつなぎ合わせる Photos の行く先は明るいよ
   うに見える。

   皆さんは、これが 1995 年以来初めての私の TidBITS 記事である事にお気づき
   かもしれない。そしてこの機会を借りて、私の最初の Take Control 本、
   Photos についての Crash Course に取りかかっている所であることもお伝えし
   たい。と言う訳で、私の執筆中に調べて欲しいとお思いの特別格好いい機能とか
   重要な懸念とかがあるのであれば、コメントを通して知らせて欲しい。

   [Jason Snell は Macworld で 10 年以上に亘って主席編集者を務め、そして
   20 年以上に亘って Apple や他のテック企業について書いてきた。現在、彼は
   Six Colors で書いている。彼はまた Incomparable ポッドキャストネットワー
   ク、これは全てがギークのポップカルチャーだ、を運営している人間でもあり、
   また Upgrade and Clockwise テックポッドキャストのホストも務めている。]


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15403#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15403>


"Take Control of OS X Server"、Yosemite Server 用にアップデート
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     文: Adam C. Engst: <ace @ tidbits.com>, @adamengst
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15398>
     訳: 亀岡孝仁 <takkameoka @ kif.biglobe.ne.jp>

   ""Take Control of OS X Server" 一般向けに発売" (24 November 2014) でお約
   束したように、我々は Charles Edge の "Take Control of OS X Server" の新
   しいバージョンをリリースした。これは Yosemite Server に対して完全にアッ
   プデートしたものである。正直言って、これは気が乗らないアップデートであっ
   た。と言うのも、Yosemite Server の変更は極めて小規模なものであったにも拘
   わらず、Yosemite の外観の変更で殆ど全てのスクリーンショットを撮り直さな
   ければならなかったからである。Charles と私は、小さな違いを見逃さないよう
   にと、この 244 頁の本の全ての頁を詳細に調べなければならなかった。

<http://tidbits.com/article/15262>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1250.html#lnk2>
   ""Take Control of OS X Server" 一般向けに発売"
<http://tid.bl.it/tco-osx-server-tidbits>

   もっと全般的な話をすると、Charles は二つの新しい章を付け加えた:"What's
   New in Yosemite Server" と "Upgrade from Mavericks Server" である。彼は
   更に新しい Reachability 機能についても取り上げていて、あなたのサーバーが
   外部インターネットからどの様にアクセス可能なのか、そして Yosemite
   Server の新しいサービスレベルのアクセス許可についても説明している。
   Reachability は興味深い、何故ならば公共サーバーはインターネットからアク
   セス出来るようにしたいが、個人のサーバーはそうではないからである - これ
   はトラブルシューティングとセキュリティの両面から有用である。

   この $20 の本は、基本的な背景説明、段階を追った作業指示、そして OS X
   Server を家庭や小オフィスの環境で成功裏に設定しそして走らせるのに必要な
   現実的な進言を保持している。OS X Server を使えば、ファイルを共有、共有カ
   レンダーを作成、自分自身の Web サーバーや wiki を走らせる、あなたのユー
   ザーのために Mac や iOS ソフトウェアアップデートをキャッシュし連携させる、
   あなたの組織の iOS 機器を管理、そしてネットワーク経由の Time Machine バ
   ックアップ等々を提供出来る。これらのサービスは、インターネット上の誰にで
   もアクセス出来るようにも、或いはあなたのローカルネットワーク上のユーザー
   と機器に限定することも出来る。

   我々は今から Mavericks Server を始めるのはお薦めしないが、もしもう既に
   Mavericks Server を走らせているのであれば、あなたのためのオプションは二
   つある。11 月に出版されたこの本の 1.0 バージョンは Mavericks Server に焦
   点を当てている。従って、もし既存の Mavericks Server インスタレーションを
   使い続けたいのであれば - これは全く賢明な行動計画である! - 現行の 1.1
   バージョンを買って、それからこの本の Ebook Extras 頁にある Blog タブから
   1.0 バージョンをダウンロード出来る。或いは、もし Yosemite Server にアッ
   プグレードしたいなら、この本には今やアップグレードに関する何が新しくなっ
   たかと手順が含まれている。


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15398#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15398>


FCC、ネット中立性に本腰
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     文: Geoff Duncan: <geoff @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15399>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   インターネットを少しだけ規制しようと試みた十年間を経て、U.S. Federal
   Communications Commission (FCC、連邦通信委員会) はインターネットサービ
   スプロバイダ (ISP) 各社を common carrier (通信事業者) と再分類する方向
   に進みつつある。はたしてこの動きは、インターネットに依存して生計を立て
   ている ISP 各社にとって、そしてもっと重要な点としては米国のインターネッ
   トユーザーたちにとって、何を意味するのだろうか?

   今回 FCC は「ネット中立性」を保持する計画を発表したのだが、その内容が
   凄い。この機関の立てた計画では、ISP 各社が common carrier と再分類され、
   電話会社と同じ分類に属するようになって、あらゆる合法的なインターネット
   トラフィックが平等に、最善努力による優先度によって処理されることが保証
   される。ただし、それと同時に FCC はちゃんと例外条項を取り決め、同機関
   が価格を定めたり、料金を課したり、ISP 各社が自らのネットワークの重要な
   部分を競合会社と共有するよう命じたりもできるようにしている。

<https://www.fcc.gov/document/chairman-wheeler-proposes-new-rules-protecting-open-internet>

   今回の新しいルールは、急速に成長しつつあり米国経済のますます重要な部分
   を担いつつあるこの新しい分野に負担をかけるのを危惧しながら FCC が過去
   十年間にわたってインターネットにほんの軽い規制だけを加えようと努力して
   きた後に登場した。しかしながら、FCC の過去の努力にはすべて法廷で異議申
   し立てがなされ、結局は敗れた。電気通信プロバイダの Comcast と Verizon
   は FCC の「オープンインターネット」ルールが同機関の法的権限を超えるも
   のだと主張した。裁判の結果、法的な枠組みの中でネット中立性を保証するこ
   とはできないとされ、結局 ISP 各社は自分が好まないトラフィックを自由に
   ブロックしたり絞ったりし、例えば Netflix との間の有料優先待遇など議論
   の的となるビジネス関係を追い求めるようになった。

   けれども、それはもはや認められない。今回 FCC は奥の手を出してきた。ISP
   各社を、軽い規制の対象の「情報サービス」からフル規制の対象の「電気通信
   サービス」へと再分類することを提案したのだ。分類の変更により、FCC の法
   的権限に関する曖昧さが取り除かれ、ブロードバンド業界が幅広い規制権力の
   下に置かれるようになる。その権力の一部は 80 年前に遡るものとも言える。
   その上、FCC の新しいルールは(今や世界中でインターネットの全トラフィッ
   クの半分以上を処理するに至っている)モバイルインターネットにも適用され
   るし、またインターネットサービスは販売しないがコンテンツや各種サービス
   を提供する Google、Facebook、Amazon などの「エッジプロバイダ」と ISP
   各社のネットワークとの接続点にも適用される。

<http://www.cisco.com/c/dam/en/us/solutions/service-provider/vni-service-adoption-forecast/index.html>


**新しいルール** -- 今回の新しいルールを私たちはまだ読むことができない。
   全部で 332 ページにわたるこのルールは、どうやら 2015 年 2 月 26 日に同
   委員会が投票を済ませた _後に_ なってからでなければ一般に公開されないら
   しい。(政府の透明性はいったいどこへ行ったのか?)しかしながら、内容の
   要点は以下のようなものだ:

* ISP 各社はいかなる合法的なインターネットコンテンツやサービスもブロック
   したり、品質を落としたり、制限したりしてはならない。同様に、ISP 各社は
   「優先レーン」を作ったり、有料の優先待遇によって合法的なインターネット
   トラフィックの一部のみに優先的な扱いを認めたりしてはならない。これらの
   制限によって、ネット中立性、つまり「オープンインターネット」の、中核を
   なす重要側面が保持される。

* これは今回の新たな動きだが、オープンインターネットの要件は単に電話会社
   やケーブルテレビ会社などの固定回線インターネットプロバイダのみに適用さ
   れるのではなく、モバイルインターネットや、接続点、そしていわゆる「エッ
   ジプロバイダ」にも適用される。従来のネット中立性ルールにおいてはそうし
   た部分が規制から除外されていた。ISP 各社は引き続き Netflix、Cogent、あ
   るいは Level 3 などの会社に課金してネットワークにアクセスさせることが
   できるが、そのような契約は FCC が Title II の下に「公正かつ妥当」と認
   めた場合にのみ許される。しかしながら、データが個々のユーザーに届けられ
   るやり方を最適化するコンテンツ配送ネットワーク(例えば Akamai など)は、
   引き続きそれぞれのクライアントに対して自由に課金することができる。

* ISP 各社は「妥当な」ネットワーク監理をしてもよい。具体的には、アプリの
   ブロック、データ量上限の設定、パフォーマンスの制限などが、活動を開示す
   ること、自社の商業利益のためにするのでないことを条件に許される。

* ISP 各社には引き続き透明性要件が課され、自らのサービスについて正確な情
   報を消費者に提供しなければならない。透明性のルールは新しいものではなく、
   法廷での Verizon の最近の挑戦にも持ちこたえた。ただし、FCC は新しいルー
   ルの下に透明性要件も拡張されると述べている。

* ISP 各社は公共インターネットを使わないプライベートなネットワーキングサー
   ビス(例えばケーブルによる音声サービスなど)を提供することができるが、
   これにも透明性要件が課され、また事実上の「優先レーン」を作ったりネット
   中立性を損なったりするような形で使うこともできない。

* ISP 各社には Title II 条項が適用され、FCC は「不公正な、妥当でない」活
   動を防止し、消費者からの苦情を受け付け、すべてのルートに「公正なアクセ
   ス」を保証し、障害のある人々のためにアクセスを保護し、消費者のプライバ
   シーを保護することができる。

* FCC は Title II の解釈が公共の利益に合わないと考えたならばそれを無視す
   る(または「我慢する」)ことができる。FCC が価格を規制したりブロードバ
   ンドプロバイダに対して Universal Service 基金への寄付を要求したりする
   ことを認める Title II 条項が ISP 各社に適用されることは _ない_。また、
   新しいルールがブロードバンドに新しい税金や料金を課すこともなく、家庭や
   企業への接続性のラストマイルを「バンドル切り離し」して競合社に使わせる
   よう ISP 各社が求められることもない。


**これが何を意味するか** -- 「オープンインターネット」は「無料のインター
   ネット」を意味するものではない。今回の新しいルールがあなたの使うインター
   ネットサービスの料金を安くする訳でもなければ、バンド幅の上限が撤廃され
   る訳でもなく、また近所の人たちが一斉にストリーミングビデオの視聴を始め
   たとたんに起こるあの厄介なスローダウンがなくなる訳でもない。

   そうではなくて、ISP 各社が好きな提携会社を選んで談合で契約を結び、それ
   を通じてコンテンツやサービスを顧客に届けることができなくなるという意味
   だ。Comcast は(例えば)Microsoft に追加料金を支払わせて検索サービスと
   して Bing を Google より優先して使うことが許されないし、Netflix の速度
   をわざと落として自社独自のビデオ・オン・デマンドサービスが比較的良く見
   えるようにすることも許されない。同様に、何かホットな新しい新興企業が登
   場しても(次に来る WhatsApp、SnapChat、Etsy、Tumblr、Pinterest といっ
   たものを想像してみよう)彼らはもはや ISP 各社が自分たちを好かないから、
   あるいは自分たちがその ISP のサービスと競合するから、という理由で自分
   たちのトラフィックをスローダウンさせるのではないかと心配する必要がない。
   アプリやサービスが合法的であって損害を与えるものでない限り、ISP はそれ
   を他の者たちと同等に扱わねばならない。


**抜け目ない政治** -- ネット中立性の論争に昨年一年間注目し続けてきた方な
   らお気付きのように、FCC の新しいルールは FCC 委員長 Tom Wheeler が従来
   提起していたもの(2014 年 5 月 16 日の記事“FCC、インターネット「優先
   レーン」を一歩進める”参照)よりも Obama 大統領が求めたもの(2014 年
   11 月 14 日)にずっと近い。従来 Wheeler はケーブルテレビ業界のロビイス
   トとして働いてきたし、ISP を common carrier と再分類することなくブロー
   ドバンドを規制する第三の試みをするだろうと広く予想されていた。ただ彼も
   選択肢としての再分類に常に言及していた(2014 年 2 月 20 日の記事“FCC、
   ネット中立性ルールに三度目の正直を願う”参照)のではあるが。

<http://tidbits.com/article/14762>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1224.html#lnk6>
   "FCC、インターネット「優先レーン」を一歩進める"
<http://tidbits.com/article/15235>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1249.html#lnk3>
   "Obama 大統領がネット中立性に介入"
<http://tidbits.com/article/14533>
   日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1211.html#lnk1>
   "FCC、ネット中立性ルールに三度目の正直を願う"

   この心変わりの理由は何か? 一つの要因は、Wheeler 委員長の「優先レーン」
   計画が各界からはっきりと否定的な反応を受けたことだった。しかしながら、
   Obama 大統領の動きも役割を果たしたように見える。確かに、FCC は独立の機
   関であって大統領が FCC に方針を命じることはできないが、Title II に基づ
   いて ISP を再分類するよう Obama が公式に求めたことで、Wheeler 委員長は
   どうやら進退窮まったようだ。

   FCC には投票権を持つ 5 人のメンバーがいる。Wheeler 委員長と、4 人の委
   員だ。委員は無党派の立場だが、現在 2 人 (Clyburn と Rosenworcel) が民
   主党員で 2 人 (Pai と O'Reilly) が共和党員であることはよく知られている。
   問題はここだ。民主党員の委員たちだけが、Wheeler の「優先レーン」のやり
   方に(しぶしぶながら)_賛成_ した。ISP の common carrier への再分類を
   公然と宣言することで、Obama はこの民主党員の委員たちにネット中立性を守
   る立場に立つ根拠を与えたのだった。もしも Wheeler 委員長が「優先レーン」
   を押し通したならば、きっと 4 対 1 でつぶされてしまっただろう。けれども、
   Wheeler が Title II による再分類を選んだならば、事実上彼には 2 票の賛
   成票が保証されたようなものだった。

   下院の監視・政府改革委員会の委員長は、Obama 大統領が FCC の意思決定プ
   ロセスに対して過度の影響力を行使したか否かの判断のため調査をすると発表
   した。(PDF リンク)

<http://oversight.house.gov/wp-content/uploads/2015/02/2015-02-06-JEC-to-Wheeler-FCC-open-internet.pdf>


**反応は** -- 提起されたネット中立性ルールに対する反応は予想通りのもので
   あった。Free Press や Electronic Frontier Foundation のような団体は賛
   成意見を表明し、Information Technology and Innovation Foundation など
   の業界団体は反対を表明した。ほとんど誰もが「落とし穴は細部にある」と述
   べたが、FCC がまだ提案するルールを公表していない以上、現時点ですべての
   細部を知っているのは FCC 自身のみだ。

<http://www.freepress.net/blog/2015/02/04/why-title-ii-reclassification-net-neutrality-biggest-deal-ever>
<https://www.eff.org/deeplinks/2015/02/huge-win-open-internet-fcc-officially-embraces-title-ii>
<http://www.itif.org/pressrelease/title-ii-unwarranted-reversal-policy>

   当然ながら ISP も common carrier に再分類されるのには反対で、そうなれ
   ば投資が落ち込み、新たなビジネスモデルを作り出す試みを抑え込んでしまう
   と主張している。Verizon の CFO Fran Shammo は最近、Title II による再分
   類は「極めてリスクの多い道」であると述べ (PDF リンク)「自社のネットワー
   クへの投資を見る視点を完全に変えざるを得ない」とも述べた。

<https://www.verizon.com/about/file/4985/download?token=goxiSQg_>

   何十億ドルもかけたビジネスの観点からは、今回 FCC がした自制の約束、価
   格の上限を設定しない、新たな料金を課さない、接続性のラストマイルを開放
   するよう ISP に強制しないといった約束も、空々しく聞こえるだけだ。FCC
   には自制を実行するために何ら公式の手続きをする必要がないのと全く同様に、
   FCC がその約束を再び取り下げるために、何ら公式の手続きの必要はない。投
   資家たちの観点からも、これらのビジネスに大きく賭けても規制の結果として
   僅かの利益しか戻ってこないのではないかと考えたとしても無理からぬことだ
   ろう。それに、将来の FCC 委員長なり大統領政権なりが何をもたらすことに
   なるのかなど、誰にも分からない。


**これから何が起こる?** -- FCC は暫定的に、新しいネット中立性ルールへの
   投票を 2015 年 2 月 26 日に予定している。もしも新しいルールが通過すれ
   ば、Federal Register に出版されるので、不服のある人は誰でも 30 日以内
   に Petition for Reconsideration (再考の嘆願) を申し立てることができる。
   けれども私たちは今や核心に到達した。これは、FCC のルール作成プロセスの
   終わりであって、今後はもはやパブリックコメント期間が何ヵ月も設けられる
   ことはない。FCC が嘆願に基づいて何らかの調整を施すことはあり得るけれど
   も、FCC はそれに反応することを義務付けられてすらいない。

<https://www.federalregister.gov/>

   仮に FCC が新しいルールを通したとすると、いずれは通信業界が裁判に訴え
   るだろう。問題はそれがいつ起こり、どのような根拠の下に訴えがなされるか
   だ。議論の内容がどんなものになり得るかについての早期プレビューが見たい
   なら、AT&T が同社の公共方針ブログに既に何か載せているかもしれない。

<http://www.attpublicpolicy.com/fcc/title-ii-closing-arguments/>

   議会もまた関係する。大統領とは違い、議会は FCC に何かをせよと命じるこ
   とが _できる_。共和党は、Communications Act (電気通信法) に "Title X"
   を追加することにより FCC が ISP を Title II の下で再分類せずにオープン
   インターネットを規制できる権限を与える法案の草稿を配布している。しかし
   ながら、これは当分実現の見込みはない。共和党は議会で過半数を占めている
   けれども、現在大統領の拒否権を覆せるだけの数を持っていないからだ。でも、
   次の政権になってどうなるかは、誰にも分からない。

<http://www.scribd.com/doc/252859175/Republican-House-Net-Neutrality-Bill>

   その一方で、ISP を common carrier として扱うというのが、この国の法律に
   なりそうだ。少なくとも当分の間は。


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   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15399#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15399>


Apple Pen の可能性は?
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     文: Josh Centers: <josh @ tidbits.com>, @jcenters
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15396>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   iPad に関連した話の中で、Steve Jobs は「スタイラスペンを期待しているな
   ら、そんなものはない」と言ったことがある。この発言を、Apple が iPad 用
   のスタイラスペンを開発中という噂を打ち消すものとして引用した人もいた。

<http://www.imore.com/heres-why-apple-might-make-stylus-ipad>

   けれどもそういう評論家の多くは、Jobs が「マルチタスキングについてだが、
   タスクマネージャを期待しているなら、そんなものはない」と言ったこともあ
   るという事実を見逃している。当時、彼はタスクマネージャを含む iOS 4 を
   既に発表していたのだから。それに、他にもいくつかのものについて Jobs が
   馬鹿にしたような発言を(おそらくわざと誤らせるために)述べ、その後まさ
   にそのテクノロジーを Apple がリリースしたことがあった。iPod 上のビデオ、
   電子ブック、Windows 用の iTunes などだ。でも、TidBITS 読者の皆さんなら、
   私がとうに決着済みのことを蒸し返しているに過ぎないとお気付きだろう。

<http://www.engadget.com/2010/04/08/jobs-if-you-see-a-stylus-or-a-task-manager-they-blew-it/>

   私たち TidBITS は噂には大して注意を向けないのだが、スタイラスペンにつ
   いては三つの理由があって特に注目すべきだと思う。Apple が既に必要なテク
   ノロジーを持ち合わせていること、スタイラスペンを提供することにビジネス
   上の利点があること、そして、Apple 顧客にとって大きな利益があることだ。

   ここでは、それら三つの理由の一つ一つについて、順に検討してみよう。話の
   便宜のために、この記事ではそのスタイラスペンが "Apple Pen" と呼ばれる
   と仮定しておこう。Apple の現行の命名法にぴったり合っていると思うから。


**Ink のあるところ、Pen あり** -- 他の多くの Apple の噂と違って、スタイ
   ラスペンを Apple が調べていることを示す証拠はたくさんある。

   Apple はスタイラスペンに関係する特許を 2014 年だけで 11 件も申請した。
   そのうち 10 件は 12 月初旬以前に、もう 1 件は年末ぎりぎりに出した。

<http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2014/12/apple-files-their-tenth-smart-pen-patent-of-the-year.html>
<http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2015/01/apple-invents-a-superheterodyne-pen-stimulus-receiver-to-overcome-the-classic-stylus-latency-problem.html>

   Apple が特許を申請したことは、必ずしもそのテクノロジーが将来日の目を見
   る証拠とはならない。Business Insider の書類に、Apple の突飛な特許がい
   くつか載っている。例えば、仮想の Mac キーボード、iPhone の 3D インター
   フェイス、スマート自転車、タッチに反応するベゼル (パネルの枠)、さらに
   は「振って印刷」というものさえある。

<http://www.businessinsider.com/apples-craziest-futuristic-patents-2013-8>

   また、メジャーなテクノロジー会社ならばどこでも、可能な限り多くのテクノ
   ロジーのために特許を申請するか買い取るかするものであることも忘れてはな
   らない。これは主として法律的な理由によるもので、競合会社が新製品を開発
   するのを困難にするためであり、特許訴訟に対する防衛のためでもある。特許
   荒らし、つまり特許を所有し防衛するが他には(トラブル以外)何も生み出さ
   ない会社が、特許の軍拡競争に拍車をかけたからだ。

<http://www.popularmechanics.com/technology/gadgets/a7213/patent-trolls-how-bad-is-the-problem/>

   けれども、Apple があまりにも膨大な量のスタイラスペン特許を持っているこ
   とは興味深い。中には 2014 年よりずっと前のものもある。同社はずっと以前
   からこのテクノロジーに興味を持っていた。ただ、Apple の外にいる者は誰も、
   それが再び研究室の外に出る日が来るか否かを知ることはできない。

<http://www.patentlyapple.com/patently-apple/patents-smart-pens/>

   再びだって? その通り。忘れてしまった方のために説明しておくと、Apple
   は他のどのテクノロジー会社よりも早くからスタイラスペンにかかわっていた。
   それは 1993 年にデビューした Newton と呼ばれる小さなデバイスだ。(大き
   な影響を残したこのデバイスの失敗の歴史については Michael Cohen の記事
   “Newton: 史上最大の素晴らしき大失敗”(2013 年 8 月 9 日) を参照。)

<http://tidbits.com/article/14006>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1186.html#lnk5>
   "Newton: 史上最大の素晴らしき大失敗"

   初期の Newton の手書き認識機能は数多くの物笑いの種となった("Eat up
   Martha" や "egg freckles" を覚えているだろうか?)が、それはすぐに改良
   された。ただ、改良の速度は名声を回復するに十分なほど速くはなかった。

<http://en.wikipedia.org/wiki/Newton_%28platform%29#In_popular_culture>

   けれども、改良されたそのテクノロジーは Mac OS X 10.2 Jaguar で Inkwell
   という形で生まれ変わり、その後 Ink という名前に変わった。それは今日の
   10.10 Yosemite の中にも生き続けている。ただし、対応するデバイスが接続
   されない限りその環境設定パネルは隠されている。Ink が死んだという噂は、
   大いなる誇張だ。

<http://www.macobserver.com/tmo/article/the-most-enduring-and-endearing-features-of-os-x-throughout-the-years.-part>

   結局のところ、もしも Apple が何らかの種類のデジタルスタイラスペンをリ
   リースする気になりさえすれば、そのためのツールやリソースは既に揃ってい
   るということだ。

   最後にもう一言。最新の噂がある。出所は分かっていて、 KGI Securities の
   Ming-Chi Kuo だ。Kuo は Apple に関する予想に優れた評判を得ている。彼が
   アジアの供給業者の内部に情報源を持っているからだ。彼の前回の予想は、よ
   り大型の iPhone、金色の iPhone 5s、それに iPhone 5c が iPhone 5 を置き
   換えるというものだった。

<http://appleinsider.com/articles/15/01/18/kgi-apple-likely-to-launch-stylus-to-enhance-upcoming-129-inch-ipad-user-experience>
<http://daringfireball.net/linked/2015/01/20/kuo-stylus>
<http://wallstcheatsheet.com/stocks/is-this-analyst-the-most-accurate-apple-product-predictor.html>

   Kuo が 2013 年にした予想を TUAW が分析したところによれば、正確な洞察は
   いくらかあるものの、彼の予想の正確さはコイン投げとそう変わらないようだ。
   彼の最近の予想外れは、Apple Watch が 2015 年 3 月に登場するというもの
   だった。(彼はたった一ヵ月だけ早く見積もり過ぎた。2015 年 1 月 27 日の
   記事“巨大な iPhone、Apple に巨大な Q1 2015 を;Apple Watch 発売日明ら
   かに”参照。)

<http://www.tuaw.com/2013/12/30/2013-rumor-retrospective-all-the-leaks-were/>
<http://www.ubergizmo.com/2015/01/analyst-confirms-apple-watch-and-12-inch-macbook-airs-q1-2015-launch/>
<http://tidbits.com/article/15369>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1257.html#lnk1>
   "巨大な iPhone、Apple に巨大な Q1 2015 を;Apple Watch 発売日明らかに"

   また、Kuo の最良の予想の中には彼のアジアの供給業者の情報源が触れられて
   いるけれども、彼がスタイラスペンを予想した際にその種のものが触れられて
   いなかったことも言っておくべきだろう。

   多少誇張された Kuo の実績はさておくとしても、Apple Pen の最良の証拠は
   そこにしっかりしたビジネス上の利点があることだと私は思う。


**ビジネス上の利点** -- Apple Watch が 2015 年 4 月にデビューした後には、
   Apple は 1.5 インチから 27 インチまでさまざまのスクリーンサイズを持つ
   デバイスを提供することになる。これに Apple TV を加えれば、購入可能など
   んなサイズでもそのサイズのスクリーンの Apple デバイスがあることになる。

   では、Apple はその先どこへ向かうのか? Apple Car の iDoor を開けて外へ
   出れば、見えている唯一の拡張方向といえば水平向き、そう、アクセサリだ。
   ここで鍵となるのは Apple Watch で、これはまず iPhone のアクセサリとし
   て働くところから出発する。もう一つの鍵は Apple がヘッドフォンのデザイ
   ン会社 Beats Electronics を買収したことだ。(2014 年 5 月 28 日の記事
   “Apple、Beats を $3 Billion で買収”参照。)

<http://tidbits.com/article/14792>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1225.html#lnk0>
   "Apple、Beats を $3 Billion で買収"

   Apple ファンたちは、ものを書く道具にある種の愛着を持っている。人気ある
   Apple ポッドキャスター Myke Hurley には、その話題に絞った番組さえある。
   The Pen Addict だ。Apple コミュニティーにいる著名人で Field Notes ブラ
   ンドのポケット手帳が大好きな人も多い。Daring Fireball の John Gruber
   と The Loop の Jim Dalrymple もそうだ。

<http://www.relay.fm/penaddict>
<http://fieldnotesbrand.com/>
<http://daringfireball.net/linked/2009/11/25/field-notes-below-zero>
<http://www.loopinsight.com/2014/11/12/field-notes-ambition/>

   うまくデザインされたペンは、既存のどんな Apple 製品にもひけを取らない
   ほど工業技術の結晶と言えるし、ペンは腕時計と同じくらいにファッションの
   粋を表現するものともなる。もちろん、スタイラスペンを常時持ち歩く人なら、
   それが普通のペンとして紙にも書ける二役を果たしてくれればさらにありがた
   いと思うだろう。

   私が何を言いたいかもうお分かりだろうか? Jony Ive なら、きっともう一度
   ペンをデザインできる機会があれば飛び付くだろうと私は思う。彼は既にペン
   を二つデザインしている。また Apple リテール店の責任者 Angela Ahrendts
   もきっと喜んで Apple Pen を売りたいに違いないと私は思う。どの報道を見
   ても、彼女は Apple Store を腕時計のような小さくて高級な製品を販売する
   チェーン店にすることを目指しているように見える。高級な物書き道具があれ
   ば、まさにぴったりではないか。

<http://mac.softpedia.com/blog/Jony-Ive-s-Earliest-Designs-Pens-Landline-Phones-Power-Drills-Photos-404946.shtml>

   高額な製品を販売できる機会があることも、想像してみよう! 腕時計と同様、
   ペンもまたさまざまの材質のものを開発できる。Apple はアルミニウム製とス
   テンレス製に加えて、金を使った Apple Pen を提供できるだろう。その点は
   Apple Watch と全く同じだ。Apple はわざわざ Apple Watch のために新しい
   金合金を開発したのだから、それに新たな使い道を求めるのは当然ではないか。

   その上、スタイラスペンは既に実績のある製品カテゴリーだ。Apple でさえ、
   既にいくつかのスタイラスペンを販売したことがある。FiftyThree Pencil や、
   Livescribe 3 Smartpen Pro Edition などだ。Pencil の評判があまりにも良
   かったので、FiftyThree はこの製品に社運を賭けている。

<http://store.apple.com/us/product/HHAE2VC/A/pencil-by-fiftythree>
<http://store.apple.com/us/product/HE043ZM/A/livescribe-3-smartpen-pro-edition>
<http://venturebeat.com/2015/02/05/13m-downloads-on-fiftythree-bets-on-stylus-sales-as-all-drawing-tools-in-its-paper-ipad-app-go-free/>

   これらの製品にはすべて、共通の大きな難点がある。これらはそれぞれ、たっ
   た一つのアプリでしか働かないのだ。これらほど高機能でない、より多目的の
   スタイラスペンは先端がぐにゃっとしていて、静電容量式のタッチスクリーン
   のために作られていることが多い。そういうぐにゃっとした先端のものはまる
   で消しゴムで字を書くような感じで、使っていてイライラする。Studio Neat
   Cosmonaut のようにしっかりした先端のスタイラスペンもあって、こちらは使
   いやすいという話を聞くが、それでも他の問題点を抱えているらしい。

<http://www.studioneat.com/products/cosmonaut>

   ここに、まさに Apple 製品のための完璧な処方が用意されているではないか。
   実績ある製品カテゴリーなのに、現状は欠点のある製品で溢れている。Apple
   は革新者 (innovator) として知られているが、むしろ刷新者 (renovator) と
   形容する方がふさわしい。Apple はパーソナルコンピュータ、MP3 プレイヤー、
   スマートフォン、タブレット、スマートウォッチのいずれも発明はしなかった。
   ただ、より良くしただけだ。昔の BASF コマーシャルになぞらえて言えば「こ
   こ Apple で、私たちは皆さんが買う機器を発明しません、私たちは皆さんが
   買う機器を良くするのです」という具合だ。

<https://www.youtube.com/watch?v=ZJHPpsb3FzM>

   Apple には Apple Pen の導入に向けたさらにもっと強い誘因がある。iPad の
   売り上げが低下していることだ。Apple Pen の噂は、多くの場合今より大型の
   iPad Pro の噂と並べて言われている。iPad Pro がどんなものになるだろうか
   という詳しい分析はまた別の記事に譲るとして、とにかくその組み合わせは十
   分うなずける。最新の iPad 広告を見ながら想像してみよう。

<http://www.youtube.com/watch?v=ROZhrRm88ms>

   何が見えただろうか? そこには、ミュージシャン、木工技師、整備士、デザ
   イナー、写真家など、多くのプロフェッショナルたちがいる。Apple は数年前
   から iPad でプロフェッショナル市場に狙いを定めてきた。それに、Tim Cook
   は Apple 四半期業績報告の中で、しばしば Fortune 500 企業に iPad を浸透
   させたいと語っている。

   私は iPad Pro がよく売れることを確信している。私が去年エイプリルフール
   記事に書いた Mavericks/iPad 混ぜ合わせの冗談(2014 年 4 月 1 日の記事
   “iPad Air に OS X 10.9 Mavericks をインストールし走らせる”参照)に引っ
   掛かったという便りは今も届く。騙された評論家も二人いた。それはつまり、
   人々がもっと機能的な iPad をどんなに切望しているかということだろう。

<http://tidbits.com/article/14617>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1217.html#lnk2>
   "iPad Air に OS X 10.9 Mavericks をインストールし走らせる"

   大スクリーンの「キャンバス」は、スタイラスペンがあることでさらに意味を
   増し、アーティストや、デザイナー、ライターたちにより大きな仕事の可能性
   を与える。私は Apple が Microsoft Surface タブレットに恐れおののいてい
   るとは思わないが、Microsoft Surface タブレットは Apple が欲しがってい
   る市場、つまりアーティストたちに確かな人気を得た。Penny Arcade の Mike
   "Gabe" Krahulik がアーティスト向けに Surface Pro の圧力感知式スタイラ
   スペンを激賞した際、それは間違いなく Apple でも首脳たちの心をチクリと
   刺したことだろう。

<http://www.penny-arcade.com/news/post/2013/02/22/the-ms-surface-pro>

   Apple Pen は特定分野のみのためのデバイスになる可能性は高いので、価格は
   高額になると思う。少なくとも $100 以上しても私は驚かない。贅沢な金製の
   モデルならばもっと高くなるだろう。(まずは iPad 好きの会社重役たちから
   売れ始めるだろう。)

   iPad 上で正確な入力をしたいと思うプロフェッショナルたちにも、価格が高
   くてもそれだけの価値はあるだろう。なぜなら、Apple は他のどのメーカーに
   もない価値を提供することができるのだから。


**私たちは Apple Pen に何を期待できるか** -- 紙にインクで書く道具として
   もかつて誰も使ったことがないほど最高のものであって欲しいという点は別と
   して、私たちが Apple に Apple Pen で提供して欲しいと思う主要な利点は、
   iOS 全体を通じ、どんなアプリでも機能することだ。たった一つのアプリのみ
   に縛られることなく、FiftyThree の Pencil と同じ正確さと圧力感知機能を
   提供して欲しいと思う。

   もちろん、Apple Pen は Bluetooth 4.0 で接続することになるだろうが、充
   電はどうやってするのだろうか? Lightning コネクタを使うのか、それとも
   Apple Watch の誘電式充電の何らかの変種で、同じアダプタを共有しつつ使う
   ようになるかもしれない。ひょっとして何か素敵なデスク上充電器で、昔から
   のペンホルダーを思わせるものを Apple ならば作ってくれるかもしれない。

   Apple Pen には取り外し可能な、交換可能な先端部を付けて欲しい。そうすれ
   ば、ペンを巡って新たなアクセサリ市場が作られるだろう。Apple とその提携
   社たちは精密作業用、太い筆書き、さらにはブラシなどのための交換用先端を
   提供するようになる。書道用の先端は必須だ。Steve Jobs は、僧侶のごとく、
   僧侶と共に書道を学んだのだから。

<http://www.hollywoodreporter.com/news/steve-jobs-death-apple-calligraphy-248900>

   書道といえば、当然 Apple Pen は iOS の手書き認識機能を提供するのだろう
   と思う。けれども真にユニークなものであるためには、ただの手書き認識では
   いけない。他のものと違う革新を伴っていなければ、Apple 製品ではない。

   ここで Apple が革新できる一番明白な道は、Apple Watch の Taptic Engine
   の変種を使って触覚によるフィードバックを提供することだろう。単なる仮定
   上の話だが、Taptic Engine は紙の上にペンで書く感触やキャンバスの上に筆
   で絵の具を塗る感覚をエミュレートできるのではないだろうか。もしも Apple
   がそれをうまく作れたなら、Apple Pen はアーティストたちにとって抑え難い
   魅力を持つものとなるに違いない。

   私が考えたもう一つの可能性は、Apple が Bluetooth マイクロフォンを Apple
   Pen に内蔵させて、Siri 用のリモコンとして使えるようにすることだ。ただ、
   それをすると Apple Watch の魅力を減らしてしまうリスクはあると思う。い
   くら Apple が自社製品の共食いを恐れないとしても、こんなに最新鋭の製品
   同士を共食いさせたいとは思わないだろう。

   Apple Pen はどうやって持ち運ぶのか? 伝統的な解決法は、デバイスの中に
   スタイラスペンを収納するスロットを作ることだ。けれども私は Jony Ive が
   この方法を選ぶとは思わない。第一、信じられないほど薄い iPad を太らせて
   しまう。それよりも、Apple の Smart Cover に倣って磁力による何らかの取
   り付け手段を選ぶ可能性の方があると思う。iPad のエッジ部分に完璧にフィッ
   トするようペンを機械加工するところが目に見えるような気がする。けれども、
   人々の注目を集めることが Apple の望みだとすれば、普通のペンと同じよう
   に服のポケットの中に入れる必要があるのかもしれない。

   Apple Pen や iPad Pro を普通の、プロフェッショナルでないユーザーたちを
   も惹き付けるものとするために、Apple は何ができるだろうか? アマチュア
   の Apple アナリストで時々ポッドキャストも作っている Zac Cichy が、その
   ためのアイデアを二つ出してくれた。

<https://twitter.com/zcichy>

   一つ目は、アジアの言語の入力を楽にできるようにすることだ。そうすれば、
   Apple が切望する中国市場で間違いなく大ヒットとなるだろう。中国語の書き
   言葉のほとんどが(日本語の書き言葉の多くの部分も)何千もある表語文字か
   ら成り、一つの文字が一つの単語または概念を表わしているので、もしもそれ
   らの文字の入力が Apple Pen によって手軽にできるようになれば、何十億人
   もの人たちにとって大きなアクセシビリティの進歩となるだろう。

   二つ目は、目の前に十分明らかに見えている使い方、すなわちスケッチによる
   コミュニケーションだ。スケッチは Apple が Apple Watch の機能として大き
   く宣伝しているものの一つで、友だちや恋人との間でシンプルな、お絵描きの
   アニメーションでコミュニケーションできるようにする。私が思うに、この機
   能はいずれ間違いなく Apple の他のプラットフォームにも広がるに違いない。
   その際、ペンを使ってするよりも良い方法が、他にあるだろうか?

<https://www.apple.com/watch/new-ways-to-connect/>
   (日本語)<https://www.apple.com/jp/watch/new-ways-to-connect/>
   "Apple - Apple Watch - 新しいつながり方"

   流行に乗り、芸術的で、実用的で、利益にもなる。これぞまさに Apple では
   ないか。だからこそ、私はいつの日か Apple Pen が登場すると思うのだ。


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   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15396#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15396>


視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 5
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     文: Mariva H. Aviram: <mail @ mariva.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15402>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   アクセシビリティのコミュニティーにいる人たちは、未来について考えつつ多
   くの時間を過ごしている。生命工学、電子工学、ロボット工学、コンピュータ
   サイエンスにおいて、どんな発展の兆しが見えようとしているのかと。それが
   なぜかと言えば、適応テクノロジーには大きな改善がなされたにもかかわらず、
   健全な身体を持つ人たちが当たり前と思っている世界に機能障害や身体障害を
   持つすべての人が同じようなアクセスを得られるようになるまでにはまだまだ
   長い道のりが残っているからだ。

   このシリーズのこれまでの四つの記事で、私はコンピュータユーザーに影響を
   与えるさまざまの視覚障害、目のケアの専門家からのアドバイス、アクセシビ
   リティのための内蔵機能やサードパーティのアクセシビリティ用アプリなどを
   扱ってきた。シリーズ最終回の今回の記事では、いろいろなハードウェアの選
   択肢、人間工学、適応テクノロジーにおける新たな革新などを探訪してみたい。


**電子デバイス** -- ソフトウェア以外にも、低視力のユーザーが便利に使える
   電子デバイスが数多くある。例えばテキストカメラやスキャナ、ビデオ拡大器、
   テキスト読み上げマシン、特殊モニタ、特殊キーボード、閲覧机などだ。本や
   雑誌、その他テキスト題材が好きな人は、電子ブックリーダーがあれば人生が
   変わるかもしれない。

   特に E Ink について、眼科医 Benjamin B. Bert 博士はこう述べた:

<http://www.berteye.com/>

     私に言わせるなら、最近のテクノロジーの発展の中で最も素晴らしいもの
     の一つが Electronic Ink (E Ink) リーダーの発展だ。バックライトを使
     わないので眩しさの問題がほとんどなく、それでいて文字のサイズが変更
     でき、テキスト読み上げ機能の付いているものさえある。E Ink リーダー
     のお陰で、もはや読書なんか二度とできないと思っていた多くの人たちに
     読書の機会が開かれたのだ。

<http://www.eink.com/>

   (優秀なテキスト読み上げアプリ、例えば KNFB Reader のようなものがあれ
   ば、リーダーデバイスを別途持ち運ぶよりも便利なことがあるかもしれない。
   これらのアプリはただのリーダーよりも多くのことができる。AssistiveWare
   の Wrise は設定可能なワードプロセッサで、低視力や失読症のユーザーが複
   数単語予想機能を使うこともでき、読み上げの音声、読み上げ速度、音量、テ
   キストフォーマッティングなども変更できる。Wrise は 2015 年 2 月 15 日
   まで $29.99 でセール販売中だ。)

<http://www.knfbreader.com/>
<http://www.assistiveware.com/product/wrise>
<https://itunes.apple.com/us/app/wrise/id938050665>


**モニタ** -- ちょっと思い付いたのだが、コンピュータのモニタ全体が E Ink
   のような電子ペーパーになれば、さらにはバックライト付きのフラットパネル
   モニタかタブレットも使ってテキストに付随する画像やビデオを自動的に表示
   するようにすれば、低視力ユーザーにはありがたいのではないだろうか。

<http://en.wikipedia.org/wiki/Electronic_paper>
   (日本語 
)<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC>
   "電子ペーパー - Wikipedia"

   検眼医 Stewart F. Gooderman 博士は、それはいいところに気付いた、少なく
   とも従来型のコンピュータモニタの厄介な本質を突いている、と言ってくれた。
   彼は私に次のように説明した:

<https://plus.google.com/102286009439603829583/>

     バックライト付きディスプレイの問題点は、境界がないことと偏光にある。
     ピクセルにははっきりした境界がなく、中心から縁へと光が次第に弱まる。
     光を反射するのではなく、光を発しているからだ。なので、視力に問題の
     ある人たちには、バックライト付きモニタはぼやけの上にぼやけを重ねる
     ものとなる。

   もちろん、私の思い付きも完璧な解決にはならない。とりわけ、E Ink はリフ
   レッシュ速度が遅い。けれども、コンピュータのモニタを丸ごとバックライト
   のない E Ink ディスプレイにする目的は大体においてテキスト情報を読み取
   るためであり、たいていのユーザーはテキストを読むためにほとんどの時間を
   費やしているのであろう。ユーザーが画像やビデオを見たいと思えば、従来型
   のディスプレイを別途設けておけばそれでよい。

<http://en.wikipedia.org/wiki/Electronic_paper#Disadvantages>

   実際、Dasung Tech は CES 2015 の会場で PaperLike という 13.3 インチの
   E Ink モニタを実演し、市場に売り出すつもりだと言っていた。報道によれば
   価格は $645 から $970 までさまざまに予想されているようだが、多くの低視
   力ユーザーにとって価格の問題は痛いところかもしれない。

<http://blog.the-ebook-reader.com/2015/01/15/paperlike-13-3-e-ink-monitor-by-dasung-tech-videos/>

   けれども Gooderman 博士はテキストを読むためと画像を見るために別々のディ
   スプレイを使い分けるという私のアイデアを気に入らなかった。「あなたの言っ
   ていることの問題点は二つのものを見る必要が生じることで、それは理解から
   気を散らす結果となるだろう。第一、不便だと思う。本を読みながらひっきり
   なしに巻末の注釈へ行ったり来たりしなければならないようなものだ。」

   私の兄が経験したように、一つの場所から別の場所へと目の焦点を合わせ直す
   ことは、視力障害のあるユーザーにとってとりわけ破壊的な経験となる。上記
   の Dasung PaperLike ではこの問題が解決されているが、その代わりに画像の
   ための高解像度のディスプレイをあきらめて、現代のコンピュータにしてはあ
   まりにも小さなスクリーンで我慢しなければならないことになる。

   バックライト付きモニタを私たちが使う状況に関して言えば、適切に使うとい
   う点が重要だ。Gooderman 博士の助言はこうだ。「一般的に言って、LCD スク
   リーンを横の方から見れば、上方にも下方にも、アーチファクトが多くなる。
   スクリーンは真っ直ぐに、視線がスクリーン表面に対して垂直になるように見
   るのが良い。それから、アーチファクトが多くなってきたら、それはもっと良
   いモニタに買い替えるべきサインなのかもしれない。」

   モニタの購入を検討する際には、自分自身が見るときの必要を考慮することが
   重要だ。市場にはたくさんの選択肢が出回っていて、それぞれに独自の長所と
   短所を持っている。LCD パネルのモニタは、三つの一般的テクノロジーのいず
   れかに依存する:

<http://www.cnet.com/topics/monitors/buying-guide/>
<http://www.tftcentral.co.uk/articles/panel_technologies.htm>

* **Twisted Nematic (TN、ねじれネマティック液晶)**: 負けず嫌いのゲーマー
   たちは、安価で広く使われているこのモニタが好きだ。ピクセル応答速度が速
   いからだ。けれども、視野角が狭く、色の再現性が悪いのが欠点だ。色覚異常
   のユーザーは TN モニタでもうまく使えるかもしれない。

* **Vertical Alignment (VA)**: VA 方式のモニタの応答速度は TN モニタよ
   り遅いが、VA モニタの方が明るく、より正確に色を再現できる。けれども黒
   のレベルが比較的低く、その結果ゴーストが発生することがある。Patterned
   Vertical Alignment (PVA) モニタでは黒のレベルが改善されているが、やは
   りゴーストが発生する。

<http://www.tftcentral.co.uk/articles/content/panel_technologies_content.htm#pva>

* **In-Plane Switching (IPS)**: IPS 方式は、視野角が広く、常時正確な色
   の再現性を発揮するという意味では最良のパネルテクノロジーだ。けれども、
   コントラストや、黒のレベル、輝度がいずれも低く、応答速度も比較的遅い。

   たとえあなたが自分の必要に最も適したモニタを選んだとしても、それでもや
   はり Computer Vision Syndrome (CVS、コンピュータ視覚症候群) の症状、例
   えば目の疲れ、視野のぼやけ、目の充血、頭痛などを経験するかもしれない。
   そんな場合、いわゆるコンピュータ眼鏡が役に立つことがあり、時には大幅に
   症状が改善されることもある。TidBITS にコメントを寄せた Lance Diernback
   は、コンピュータ眼鏡を使うことでそれまでコンピュータを使う度に感じてい
   たひどい目の疲れや片頭痛が消えたという。既に眼鏡をかけていても、あなた
   のレンズ処方箋に合わせたコンピュータ眼鏡をカスタム作成することができる。

<http://www.allaboutvision.com/cvs/computer_glasses.htm>
<http://lifehacker.com/5980509/do-computer-glasses-really-work>
<http://www.visionsource.com/blog/what-do-computer-glasses-do/>


**人間工学** -- モニタを見ることについて、Bert 博士は次のようにアドバイ
   スする:「通常の状況下では、真っ直ぐ正面を見ている時に視線がちょうどモ
   ニタの上端に来るようにすべきだ。そうすれば、あなたが作業中のものが視線
   を少し下に向けるだけで見えるようになり、大多数の人たちにとってそれこそ
   が最も快適な使い方となる。」適切な人間工学(エルゴノミクス)は視覚障害
   のある人に限らず誰にとっても重要だが、既に視覚に困難を抱えている人にとっ
   て悪いエルゴノミクスはトラブルを増やすだけだろう。ここでは、次のような
   情報源が参考になる:

* The Occupational Safety & Health Administration (労働安全衛生機関) に
   よる適切なコンピュータワークステーションのセットアップに関する勧告

<https://www.osha.gov/SLTC/etools/computerworkstations/>

* Cornell University Human Factors and Ergonomics Research Group の発表
   したガイドライン "Ergonomic Guidelines for Arranging a Computer
   Workstation: 10 Steps for Users"

<http://ergo.human.cornell.edu/ergoguide.html>

* wikiHow の "How to Set Up an Ergonomically Correct Workstation"

<http://www.wikihow.com/Set-Up-an-Ergonomically-Correct-Workstation>


**照明** -- Gooderman 博士は、作業環境の全体を快適にしコンピュータ作業を
   長時間続けられるようにするためには周辺光が何より大切だと強調した:

     照明はソフトで間接的なものにし、一ヵ所だけ明るかったり眩しかったり
     することがないようにすべきだ。顔やスクリーンに光が差し込んでもいけ
     ないし、明る過ぎるのも良くない。照明の全体的な明るさの程度は、普通
     のオフィス空間より暗めにすべきだ。書類作業のためにはデスクの上にソ
     フトな光のスタンドを追加しよう。照明の状態が悪いならば、知識豊富な
     照明の専門家に頼んで修正してもらおう。その際、現在取り付けられてい
     る照明器具を適切な光源と調整具を備えた新しいものに取り替える必要が
     あるかもしれない。照明の調整は、例えばルーバーのような補助具を使っ
     て光の散らばり方を変えることでもある。いざというときには、スクリー
     ンの上にフードを取り付けよう。

   もっと詳しい情報が知りたければ、Canadian Centre for Occupational Health
   & Safety (カナダ労働安全衛生センター) が一般的な照明エルゴノミクスのイ
   ラスト付きガイドと、照明エルゴノミクスに関する調査結果と解決法ガイドを
   出している。

<http://www.ccohs.ca/oshanswers/ergonomics/lighting_general.html>
<http://www.ccohs.ca/oshanswers/ergonomics/lighting_survey.html>


**文字サイズ** -- 特殊な視覚障害(例えば私の兄のように視野の中ではっきり
   見える部分がごく小さな範囲に限られ、小さくてくっきりした文字を読みたい
   ような場合)を除いて、たいていのユーザーはスクリーン上の文字サイズを大
   きくした方が生産性が増すと考えるだろう。(あるいは、可能なら、印刷した
   資料にも大きな文字を使いたいと思うだろう。)

   American Academy of Optometry (アメリカ検眼学会) の Optometry & Vision
   Science 記事 (2014 年 6 月) のプレビュー "Reading From Computers and
   Print Size" から引用すると:

<http://www.aaopt.org/optometry-and-vision-science-ovs-announces-preview-june-2014>

     印刷したページについては、文字サイズが大きければ読む速度が増すこと
     が知られている。でも、コンピュータ上で、眩しさその他影響力の強いコ
     ンピュータスクリーン要因が加わっても同じことが言えるだろうか? 私
     たちの調査は若い年代 (18 歳から 35 歳まで) ともっと上の世代 (55 歳
     から 65 歳まで) を調べ、実際にある程度の関連性があることを見つけた。
     さらに、その関連性の定量化も行なった。フォントサイズが 1 mm 増える
     ごとに、平均的な生産性と正確度が増した。モニタ表面に反射の眩しさを
     加えても、被験者たちは頭を前へ傾けるようになったが、生産性や正確度
     に影響は見られなかった。年齢層によっても(適切な眼鏡を着用して)こ
     れらの関連性に変化は見られなかった。これらの調査は、コンピュータに
     ユーザーの生産性や姿勢が通常より大きなフォントサイズによって改善さ
     れることを示唆している。


**低視力関係の団体** -- 低視力のユーザーたちに対して、以下のような団体が
   支援を提供している:

* American Academy of Optometry (アメリカ検眼学会)

<http://www.aaopt.org/>

* California Pacific Medical Center の The Frank Stein and Paul S. May
   Center for Low Vision Rehabilitation

<http://www.cpmc.org/services/eye/LVRprogram.html>

* Andrew Heiskell Braille and Talking Book Library (New York 公共図書館
   の一部門)、電話番号は 212-206-5400。Heiskell Computer Support Clinic
   は低視力および盲目の利用者を Mac と iOS でも、また他のプラットフォーム
   やテクノロジーでも支援している。

<http://www.nypl.org/locations/heiskell>


**モノのインターネット** -- 今回の私たちの探訪が世界に関与することは初め
   から終わりまですべてコンピュータによってのみなされるという考え方に陥っ
   てしまうことのないよう、あらゆる種類の製品の開発者たちには私たちが毎日
   の生活で使うさまざまのデバイスやシステムの中にアクセシビリティ機能や適
   応テクノロジーを含めることこそ重要だと認識してもらいたい。

   すぐ上で紹介した Andrew Heiskell Braille and Talking Book Library の支
   援技術コーディネーター Chancey Fleet は、次のように説明した:

<http://www.nypl.org/locations/heiskell>

     盲目および低視力のコミュニティーにいるユーザーの大多数は、しっかり
     したアクセシビリティ機能がもっと多くの種類の製品に組み込まれること
     を歓迎するだろう。例えば、電子レンジ、サーモスタット、フィットネス
     機器などで、音声でフィードバックを話すものや、色やサイズやコントラ
     ストを調整できるオプションを持つものを見つけるのはとても難しい。そ
     うしたデバイスは今日では大多数がデジタル化されているけれども、私た
     ちがスマートフォンやコンピュータでありがたく使っているようなアクセ
     シビリティを導入しているものは大体においてまだない。ほんの少しの創
     造性さえあれば、ほとんどあらゆるデバイスにアクセシビリティを含める
     ことが可能だろう。例えば、米国で視力障害のある乗客のために先駆的な
     タクシー用テクノロジーとしてシンプルなアクセス用タッチスクリーンが
     Lighthouse International と Creative Mobile Technologies の提携に
     より実現したのが好例だ。

<http://www.creativemobiletech.com/post1713.shtml>

   そして、特にコンピュータ主体とは思えないようなタイプの電化製品が、今日
   ではますますコンピュータによるコントロールを受けるようになっているのを
   踏まえて、Fleet は「モノのインターネット (Internet of Things)」の持つ
   可能性と、その難点とを議論した:

<http://en.wikipedia.org/wiki/Internet_of_Things>
   (日本語 
)<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88>
   "モノのインターネット - Wikipedia"

     いわゆる「モノのインターネット (Internet of Things)」は、アクセシ
     ビリティを生み出す新しい機会を導入するとともに、アクセシビリティを
     壊す新しい機会も導入する。例えば、サーモスタットアプリ Nest はアク
     セス可能、つまり低視力や盲目の人もスクリーンリーダーや拡大ツールを
     使ってこのアプリを使える。それと同時に、もしも何らかのハイテク機器
     にアクセスするのが一つのアプリのインターフェイスを使ってしかできな
     かったとすれば、そしてそのインターフェイスに何らかの理由でアクセス
     できなくなれば、その機器はもはや何の役にも立たなくなる。ローテク機
     器に点字や、高コントラストの点々、その他の方法で説明を付けただけの
     ものの方がずっと役に立つようになってしまう。

<https://nest.com/thermostat/life-with-nest-thermostat/>

   Fleet はそれに続けて、製品デザインにおけるフル・アクセシビリティのため
   の取り組みについて簡潔に明確化してみせた:

     念頭に置いておくべきは、必ずしもすべての低視力や盲目のユーザーが電
     化製品の管理にスマートフォンを使えるだけの欲求、資力、あるいは実際
     上の知識を持っているとは限らないことだ。電化製品自体をコントロール
     することが一般大衆にとって望ましいことであり実際的である限り、その
     電化製品はユニバーサルデザインを考慮して作られるべきであり、さまざ
     まに違った障害を持つユーザーが障害を持たないユーザーと同様に効率的
     に使いこなせるようにすべきだ。

   Fleet によれば、ユニバーサル(つまりフルにアクセス可能)なデザインには
   いくつかの重要な利点がある:

* ユニバーサルにデザインされたデバイスは、より多くのユーザーが使える。例
   えば iPhone にはスクリーンを見やすくする機能や、コンテンツを音声で読み
   上げる機能、オーディオを補聴器に送れる機能、手でタイプするのが難しい人
   たちがリマインダーやテキストメッセージを声で入力できる機能がある。

* さまざまに違った障害を持つ人たちは、ユニバーサルにデザインされたデバイ
   スを使って友人や家族、同僚たちを助けることができる。例えば、もしもコン
   ピュータの購入を検討中の母に私が機種の助言をするとすれば、私は良いアク
   セシビリティ機能を持ったものを選ぶだろう。そうすれば、将来私が母を手助
   けすることができるからだ。

* 障害を持つ人々のために役立つ革新の多くは、結局は「普通の」ユーザーから
   も人気を得ることになる。その良い例が口述筆記だ。これはもともと細かな運
   動障害、例えば反復性ストレス障害 (RSI) を持つ人たちを支援するためのも
   のだったけれども、今ではたまたま手が塞がっている普通の人にも便利な機能
   となった。


**未来のテクノロジー** -- 現在の適応テクノロジー、例えばスクリーン拡張と
   調整のツール、スクリーンリーダー、テキスト読み上げ、口述筆記、音声認識
   などに対する希望を言えば、そのいくつかは良いものだけれども、きっと今後
   も引き続き改良されるだろうという点だ。

   とりわけ一部の低視力ユーザーたちは、オーディオで操るインターフェイスの
   分野での大幅な進歩に望みをかけている。その種のハードウェア機器は楽器に
   似たようなものになる可能性もある。しかしながら、この面での未来は必ずし
   も明るくない。Apple でさえ、そのアクセシビリティ機能の品質に多少の手落
   ちを見せ始めている。(2015 年 2 月 2 日の記事“Apple、アクセシビリティ
   で競争力を失う”参照。)

<http://tidbits.com/article/15388>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1257.html#lnk6>
   "Apple、アクセシビリティで競争力を失う"

   熱心なハイテクファンの多くは、Oculus Rift 仮想現実ヘッドマウントディス
   プレイのニュースを聞いてワクワクした。ただしそれが具体的に低視力ユーザー
   の役に立つかどうかはまだはっきりしない。コンピュータ化された目に取り付
   ける機器の分野はまだあまりにも新しく、目の健康を気にする人たちが懐疑的
   になるにはそれだけの理由がある。(そうしたデバイスが眼鏡をかけている人
   たちにとってうまく着用できないことも言うまでもない。この点は視覚的アク
   セシビリティへの途方もなく大きな障害となっている。)

<http://www.oculus.com/>

   例えば Google Glass は、眼科医の間に懸念を引き起こすに十分の危険性を秘
   めている。Toronto 大学の電子工学およびコンピュータ工学の教授でありコン
   ピュータ化された視覚システムの専門家でもある Steve Mann は、さまざまの
   面から Google Glass のようなデバイスが目の疲れを引き起こすことを詳しく
   述べている。

<http://www.forbes.com/sites/eliseackerman/2013/03/04/could-google-glass-hurt-your-eyes-a-harvard-vision-scientist-and-project-glass-advisor-responds/>
<http://spectrum.ieee.org/geek-life/profiles/steve-mann-my-augmediated-life>

   個人のアイデアから生まれたり、ソーシャルネットワークの概念から生まれた
   りした革新で、人をワクワクさせるようなものもある。例えば、3D デザイナー
   の Michael Balzer は 3D プリンタを使って妻の頭蓋の模型を作成し、外科医
   たちが彼女の目から腫瘍をうまく取り除けるようにした。その過程で Balzer
   は医療における新たな標準となるべきものを開拓した。それからまた、非営利
   ソーシャルネットワーク Be My Eyes もある。これは、目の見えるボランティ
   アたちがスマートフォンを使って盲目のユーザーたちから毎日のこと(道案内、
   製品ラベル、その他)に関するリクエストに応えるというものだ。

<http://makezine.com/magazine/hands-on-health-care/>
<http://www.bemyeyes.org/>


**将来への展望** -- 私が経験したウイルス性結膜炎はとりわけひどく、それと
   合わせてアレルギー反応も起こり、そのため回復の過程も複雑化し長期化した。
   今でも毎日数回ずつ人工涙液を点眼しなければならないが、大体において私の
   目は正常に戻っている。その点については、私はこの上なくありがたいことだ
   と思っている。そして実際、今の私は何らかのトラブルを評価する羽目になる
   度に、自分の目の状態をそのための個人的試金石としている。(「これって、
   私の目の健康と機能よりも重要なことだろうか? 違う? それなら、ちゃんと
   正しいままにしておこうじゃないか。」)

   私たちの能力は、とりわけ私たちの感覚器官は、まさに生命自体と同じく、と
   ても貴重でとても壊れやすい。私たちは、実際に危機が迫ったり傷付いたりし
   ない限り、それらを当たり前のものと思いがちだ。今回の経験で私は多くのこ
   とを学んだが、中でも心に響いたのは、考えもなく無駄に浪費してしまいがち
   な生活の基本が、実はとても重要だという事実だった。

   私たちは共に、自分たちの健康と安全を守るために手段を講じようではないか。
   そして、テクノロジー開発者、諸団体、職場に、予防的措置と、協調的方策を
   求めようではないか。彼らすべてが、あなたのため、私のため、他のすべての
   人たちのために、安全でフルにアクセス可能な環境を作り出すという難問に取
   り組まねばならない。なぜなら私たちの視覚と、世界への関与とには、すべて
   それだけの価値があるからだ。

   最後に、このシリーズの記事をまとめておこう:

* 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 1
* 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 2
* 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 3
* 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 4
* 視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 5

<http://tidbits.com/article/15330>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1254.html#lnk3>
   "視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 1"
<http://tidbits.com/article/15351>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1255.html#lnk3>
   "視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 2"
<http://tidbits.com/article/15365>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1256.html#lnk3>
   "視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 3"
<http://tidbits.com/article/15374>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1257.html#lnk4>
   "視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 4"
<http://tidbits.com/article/15402>
   (日本語)<http://jp.tidbits.com/TidBITS-jp-1258.html#lnk5>
   "視覚障害のある人のためのコンピューティング、その 5"


   ----
   コメントリンク: <http://tidbits.com/e/15402#comments>
   Twitter リンク: <http://tidbits.com/t/15402>


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 2 月 9 日
----------------------------------------------------------
     文: TidBITS Staff: <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15406>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

**Evernote 6.0.6** -- Evernote が、社名と同じ名前の情報管理アプリのバー
   ジョン 6.0.6 をリリースし、Spotlight 検索と高度検索を改善するとともに、
   索引付けの際の CPU 使用量を削減した。これらの検索の改善に伴いノートの
   再索引付けが必要となるので、一時的にパフォーマンスに影響が見られるかも
   しれない。今回のアップデートではまた、Evernote の添付ファイル基盤構造
   の信頼性が改善され、Presentation Mode Auto-Layout 機能が追加されてプレ
   ゼンテーションを手軽に複数個のスライドに分けることができるようになり、
   多数のクラッシュも修正されている。この記事の執筆時点で Mac App Store
   版の Evernote はバージョン 6.0.5 のままだ。(Evernote からも Mac App
   Store からも無料、59.7 MB、リリースノート、10.7.5+)

<http://evernote.com/evernote/>
<https://itunes.apple.com/us/app/evernote/id406056744?mt=12>
   (日本語)<https://itunes.apple.com/jp/app/evernote/id406056744?mt=12>
   "Mac App Store - Evernote"
<https://discussion.evernote.com/topic/81051-evernote-for-mac-606-released/>

   Evernote 6.0.6 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/15401#comments>


**Mellel 3.3.8** -- RedleX が Mellel 3.3.8 をリリースし、いくつかのマイ
   ナーなメモリリークを修正するとともに、iCloud からアップデートを受け取っ
   た後や多数の引用を含んだ書類の処理の最中に起こったクラッシュを修正した。
   このワードプロセッサへの今回のアップデートではまた、長い書類を 100 パー
   セント以外のズームレベルにして作業するとアーチファクトが出てしまった問
   題を修正し、Find フィールドで矢印キーを押すとクラッシュすることのあっ
   たバグを修正し、iCloud メニューが時折空になってしまった問題点を解消し
   ている。(RedleX からも Mac App Store からも新規購入 $39、無料アップデー
   ト、97.5 MB、リリースノート、10.6+)

<http://www.mellel.com/>
<https://itunes.apple.com/us/app/mellel/id415467848?mt=12>
   (日本語)<https://itunes.apple.com/jp/app/mellel/id415467848?mt=12>
   "Mac App Store - Mellel"
<http://www.mellel.com/release-notes/>

   Mellel 3.3.8 へのコメントリンク:
<http://tidbits.com/article/15400#comments>


ExtraBITS、2015 年 2 月 9 日
----------------------------
     文: TidBITS Staff: <editors @ tidbits.com>
     原文記事: <http://tidbits.com/e/15405>
     訳: Mark Nagata <nagata @ kurims.kyoto-u.ac.jp>

   今週の ExtraBITS では、クラウドバックアップサービス Backblaze が先日実
   施したハードドライブ信頼性調査の生データを発表し、Verizon がデータプラ
   ンを太っ腹にし、Apple が Microsoft に勝利した理由を The New York Times
   が論じ、Obama 大統領が控え目な NSA 改革を発表した。


**Backblaze、ハードドライブ信頼性調査の生データを発表** -- クラウドバッ
   クアップサービス Backblaze は昨年一年間かけてハードドライブ信頼性に関
   するデータを発表してきたが、今回同社は 2013 年と 2014 年双方の調査の全
   データセットを公表した。データはそれぞれの年ごとに CSV (カンマ区切り)
   形式になっており、どんな統計プログラムにもそのまま入れることができる。
   同社は、将来の調査においても同様にデータを公表することを予定している。

<https://www.backblaze.com/blog/hard-drive-data-feb2015/>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/15397#comments>


**Verizon、データプランを太っ腹に** -- Verizon Wireless がデータ量上限が
   1 から 3 GB までの More Everything プランで料金を変更せずデータ量上限
   をそれぞれ 1 GB ずつ増やすと発表した。(またはデータ量上限をそのままに
   して月額料金を $10 安くすることもできる。)このキャリヤはまた、今回新
   たに 6 GB ($70)、12 GB ($110)、14 GB ($120)、16 GB ($130) のデータプラ
   ンも提供する。ただし、今回の変更の恩恵を受けるには購読者が自分でプラン
   の切り替え手続きをしなければならないようだ。

<http://www.prnewswire.com/news-releases/more-options-and-even-more-value-coming-for-all-more-everything-customers-300030499.html>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/15395#comments>


**いかにして Apple は Microsoft に勝ったか** -- 20 世紀の終わりには、
   Microsoft がコンピューティング界の誰にも止められない最強の力であって、
   Apple は絶体絶命の窮地にいた。けれどもその後 Apple は単に回復したのみ
   ならず、今やあの Redmond の巨人の二倍の大きさだ。The New York Times の
   James R. Stewart が、何が Apple の隆盛を引き起こし、何が Microsoft を
   比較的下落させたかを論じる。要約して言えば、Apple にはより良いビジョン
   の感覚があり、自社の製品を共食いすることを恐れなかったことだ。

<http://www.nytimes.com/2015/01/30/business/how-and-why-apple-overtook-microsoft.html>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/15391#comments>


**Obama 大統領、控え目な NSA 改革を発表** -- 「スパイ活動の情報に遅れず
   ついて行こう」シリーズの記事をお読みの方なら、National Security Agency
   (NSA、国家安全保障局) が一般市民のデータを大量収集していたことをよくご
   存じだろう。今回 Obama 大統領は、その種のデータの収集と保存のやり方に
   ついて二件のマイナーな変更を行なうと発表した。米国の諜報機関はアメリカ
   人のデータのうち無関係のものを削除することを義務付けられ、また外国人の
   同様のデータについては保存期間が最大 5 年間までとされる。さらに、諜報
   機関が何を集めているかを White House が定期的に審査することになる。

<http://www.nytimes.com/2015/02/03/world/president-tweaks-the-rules-on-data-collection.html>

   コメントリンク: <http://tidbits.com/article/15392#comments>


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